サツジンハン。
遅くなってすみません。
ここは……何処だ?
真っ暗だ。何も見えない。何も……聞こえない。
俺、どうしちまったんだ?
たしか、俺はアリスのために生き血を……。あ、俺は死んだのか?魔界で自殺して出血多量で死んだのか??こんな形で人生が終わっちまうとはな。でも、死ぬほど大量に出血したんだろ?じゃあ、これでアリスは城のみんなを守れたかな。
『月方 京也』
やけに機械じみた声が聞こえた。
ツキガタキョウヤ?あ~俺の名前、そういえば京也だったな。しばらくジルって呼ばれてたからなぁ。てか誰??
『お前の命をくれ』
命をくれって……。俺、もう死んでるんじゃねぇの?
『お前が命をくれれば、もうアリスの関係者に手を出すのをやめよう』
アリスの関係者に……?あ!まさか、あんたが連続殺人の犯人なのか?
『ああ。ちなみに次のターゲットはソフィアだ』
っ!やめろ!ソフィアには手を出すな。これ以上、アリスを悲しませないでくれ……。
『ああ。その代償としてお前が命をくれたら、な』
俺の命?俺の命でみんなが助かる……。でも……
だめだ!俺は死なない。アリスと、約束したから。死なないって約束したから……!
『ならば、ソフィアを見殺しにするのだな。お前が命をくれるまで、この殺人はつづく。全てはお前次第だ。月方 京也……』
っ!!!
『我が名はウィーヴァル。気が変わったら我を呼ぶがいい』
「…………ル……ジル、ジル」
ん、アリスか?
「ん……」
まぶたを開くとアリスにソフィア、ノームにレッド、グリーン……。みんながベッドに横たわる俺を覗き込むようにして見ていた。
「ジルのバカ」
目が覚めて一番にそう言われた。
「悪い。結界は、張れた、か?」
さっき切った左手首がズキズキとうずく。力が入らなくて、うまく話せねぇ。カッコわるいな、俺……。
「ええ。血、ありがと」
「ああ」
俺の血もちゃんと役に立ったんだな。アリスも元気そうだし、命が危ないってことは無さそうだな。ウィーヴァルもこれでもう殺人は出来ないだろ。あいつのこと……別に口止めされてるわけでもねぇし、言ってもいいんだよな?
「殺人犯、はウィーヴァル、で俺の、命を、くれたら、もう誰も、殺さないって」
俺の言葉にその場に居た全員が反応した。一番大きく反応したのはノームだった。
「小僧、ウィーヴァルに会ったのか!?」
ノームが大きく目を見開いて訊いてくる。ウィーヴァルてそんなに有名な奴だったのか?
「ああ。俺、死ねば良かった、か?」
「結界はちゃんと張ったわ。だから、あんたが無駄死にする必要は無かったわよ」
無駄死に…か。アリスらしいな。
「あ、ソフィア……」
「なんですか?」
「次の、ターゲットは、お前だ……気ぃ付けろよ」
ターゲットが分かってれいればきっと守れるはずだ。しかも、そのターゲットはソフィアときたらぐんと殺人を止められる可能性は高まる。ソフィア、強いし。
「私はあんな馬鹿に殺されるほど弱くありませんので、心配無用です」
ほらな。これでとりあえずは一安心だな。
「そうとなれば、早速作戦を立てようじゃないか。小僧、よくやった。大手柄じゃ」
一応、役に立てたみたいだな。良かった。貧血で体調はめちゃくちゃ悪いけど。
読んでいただき、ありがとうございました。今回も少し短かったかもです。次回は作戦会議&戦いって感じになると思います。よろしくです。