アリス。
楽しんでくれると嬉しいです。
よろしくおねがいします。
「ん、んん……」
俺は目を覚ました。というか意識を取り戻した。
ぼんやりとしていた景色がだんだんと鮮明になってくる。
目の前に広がるのは真っ白な天井。
ギラギラと輝くシャンデリア……。
「ここは……天国、か?」
天国が素敵なとこだっては聞いたことがあるけど(田中情報)まさかこんなお城みたいなところだったとはな。
あぁ、短い人生だったぜ。
来世こそは長生きしてやる。
「天国なんて行かせないわよ」
は? ここ天国じゃないのかよ。
まさか、地獄か?
俺、そんなに悪いことしてねぇぞ。
てか誰だよ。
「あんた、誰?」
声がしたほうに視線を移す。
ロングの柔らかな金髪。
奇麗な瑠璃色の瞳。
まるで人形のような顔立ちの女の子。
頭のてっぺんにちょこんと乗っている王冠がよく似合っている。
「その口の利き方は何? 私を誰だと思ってるの?」
いや、アンタが誰なのかはさっき聞いたばっかりなんですけど。
「仕方ないわ、教えてあげる。私は国王の娘・アリスよ」
自慢げに言うが、国王の娘って……。
日本に国王なんていないぞ。せめて総理大臣くらいにしとけよ。
こいつ、田中並みに頭いかれてんじゃねえか。
「じゃ、ここはどこ?」
分からないことは積極的に聞くべきだからな。
1つずつ、解明していこう。
って優等生の友達が言ってた。
「ここは魔界だけど。それより敬語で話しなさい」
魔界?
ありえねぇ。
ああ。死後の世界のこと、魔界っていうのか?
で、俺は天国でも地獄でもなく、魔界とやらに来たと。
「魔界ってどういうことだ? 俺はなんで魔界にいるんだ?それに……」
「あなた、質問が多すぎよ」
しまった!これじゃあ、田中と同類じゃないか。
「面倒だわ。ソフィア、説明してあげて」
ソフィア?
「はい」
部屋の端にずらりと並んでいる使用人の中から一人の女の子がこちらに歩いてくる。
ああ、メイドか……。
ん?
メイドが近づくにつれてその子の顔がはっきりと見えてくるわけで……。俺は彼女の顔に見覚えがあった。
「ああぁぁぁぁぁあああああ!」
あのメイド、俺を突き飛ばしやがった奴じゃねぇか!
何でここにいるんだよ。
「こんにちわ。それでは説明しましょうか」
メイドはにっこりとほほ笑むけど、俺には悪魔の笑みにしか見えない。
「頼む」
ついでになぜ俺を突き飛ばしたのかも聞かないとな。
ったく。もうメイドはこりごりだぜ。
「ここは魔界です。わたしが貴方を連れてきました。なぜかというと、姫様に頼まれたからです。『魔界に来たそうな人間を連れてこい』と。わたしが該当者を探しているときに貴方を見つけたのです。『つまんねぇ』といっている貴方を」
まるでロボットかのように、要点だけを話す。
そんな事より、なんで俺なんだよ。つまんねぇって言っただけじゃねぇか。
「わたしは『つまんねぇ』=『こんな人間界なんてつまんねぇ』=『もう、別世界へ行きたい』と解釈いたしましたので」
おいおい。それはちょっと無理あるだろ……
こいつも田中級の脳みそだな。
「で、その姫様はなんで俺を呼んでたの?」
いきなり怒鳴り散らすのは俺の性に合わねぇから、とりあえず冷静な態度を保つ。
「それは……」
俺はショックを受けながらも、その言葉に驚いた。
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