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俺、下僕です。  作者: 猫宮 胡桃
11/26

ライホウ。

遅くなって本当にごめんなさい。待っていてくれた皆さん、ありがとうございます。お待たせしました。

今回は”ファリーヌ”が登場します!

 俺達は屋上で冷たい風に当たりながら待っていた。12時を……

「いよいよ始まったわね」

 アリスがしんみりとした空気を打ち破るように言った。そう、12時になったんだ。レジームゲームが始まったんだ。

「アリス。これからどうするんだ?」

「相手が戦いを仕掛けてくるのを待つわ。こっちから仕掛けるなんて馬鹿なまねするわけ無いじゃない」

 じゃあ、戦いに備えてればいいんだな。


『ア~リスちゃ~ん♪』

 外から甘ったるい声が聞こえた。聞いたことのある声だ。

「ファリーヌの奴、もう来たのね。ソフィア、始末してきて。1人でできるわね?」

 始末って……。しかもファリーヌの奴とか言ってるし……。この前は「ファリーヌお姉さま」って言ってたのに。

「ハイ。あんな雑魚、私1人で充分です。全部、いいですか?」

 アリスの姉さんのこと、こいつ雑魚とか言ってるし……。

「ええ、全部吸っちゃっていいわ」

「了解です」

 そう言ってソフィアは柵を飛び越えてファリーヌの元へ向かった。


「キャー」

 ソフィアがいなくなってから数十秒でファリーヌの悲鳴が聞こえた。その直後、ソフィアが屋上に戻ってきた。ぐったりとしたファリーヌを抱えて。

「それは何?」

 アリスは不服そうに尋ねる。

「こいつ、戦いに来たのでは無いようでしたので連れてきました」

「そう。で、何かしら?ファリーヌお姉さま」

「今日はアリスちゃんとお話したくって……」

 つくづく似てない姉妹だな。

「30字以内で用件を言いなさい」

 アリスは国語のテストに良くある問題のような口調で言う。

「アリスちゃんと、手を組もうと思ってお願いしに来たの。」

 手を組みに来た?良かったじゃないか、あっちから来てくれるなんてな。

「お断りいたします。ソフィア、吸いたい?」

「ハイ!!」

 なんで断った?せっかくのチャンスなのに、もったいねぇ。

「あのね、ちょっとでいいからお話、聞いてくれないかな?」

 なんか、弱そうだな。ファリーヌって。本当にアリスの姉さんなのか?

「アリスちゃんの大好きなショートケーキ、あげるからぁ」

 食べ物で釣ろうとしてる……。ショートケーキかぁ、俺も食いてぇ。

「あたし、ショートケーキなんて好きじゃないわよ。それに自分の好きなものは皆も好きとかいう考え、いい加減やめたほうがいいわよ」

 ショートケーキ好きなのはファリーヌの方だったのか。んにしてもアリス、はっきり言っちゃったな。きっとファリーヌも傷ついたと思うぞ。

「えぇ~、じゃあ何が欲しいの?なんでもあげるよ。レアチーズケーキ?モンブラン?」

 傷ついてはなさそうだな。てか、ぜんぶケーキじゃねぇか。でもアリス、レアチーズケーキはもらってもいいんじゃないか?貰って、俺にくれよ~。

「なんでもいいのよね?」

 アリスが不気味な笑みを浮かべる。

「うん。アリスちゃんの欲しいものなら、なんでも買ってあげるよ~」

 ファリーヌ、敵対心とか無さそうだな。

「じゃあ、ファリーヌお姉さまの命、いただけませんか?」

 アリスの方は殺気出しまくりなんだけど……。

「命?それはダメだよぉ。死んじゃったらお話できないもん」

「じゃあ、帰ってください」

「え?アリスちゃんはもっといい子だと思ってたのに。酷いよぉ」

 こりゃもう心理戦だな。アリスのほうが強そうだけど。

「酷いのはお姉さまの方です。何でもくれると言っておきながら、ダメだなんて」

 アリスは眼に涙をためて言う。きっと、嘘泣きだろ。でもすごいな、女優になれるぞ。

「泣かないで、アリスちゃん。命じゃなかったらなんでもあげるから」

「じゃあ、お姉さまのこのゲームへの参加資格」

 ファリーヌのこと、ゲームに参加できなくするっていう魂胆か。

「え?それも無理よぉ」

「2度も嘘をつくなんて……。お姉さまはあたしの事がお嫌いなのね……」

 アリスはためていた涙を流し始め、顔を手で覆って「酷いわ」って震える声で言う。こんな演技、できる奴なんてそういないぞ。

「アリスちゃん、ごめんね。ショートケーキ100個でどう?私の命よりも価値はあるわよ」

 ファリーヌ、自分の命はショートケーキ100個以下の価値だって言ってるし。どんだけ好きなんだよ。

「そうですか。じゃあ仕方ないわね」

 アリスはてっきり諦めたんだと思った。

「ショートケーキを1000個あげますから、命をくれませんか?お姉さま」

 アリスも、食べ物で釣りに入ったか。

「100個じゃなくて1000個もくれるの?お医者様に止められて自分の家では食べれなかったのよ……。うわぁ、どうしようかしら?」

 ファリーヌ……ケーキで心動かされんなよ。まあ、そのほうがこっち的には嬉しいんだけど。

「お姉さま。レアチーズケーキも、モンブランも1000個ずつあげるわ。これでどうかしら?」

 アリス、太っ腹だな。やっぱ金持ちはすげぇ。

「本当なの?アリスちゃん!ケーキ、ちょうだい!」

 マジかよ。ケーキのために死ぬなんて悲しすぎだろ。

「じゃあ、命はもらっていいのね?」

「やっぱり、ダメ。歯医者さんに怒られちゃうもん」

 そういう問題っすか……。

「そう。じゃあ、帰ってください。あと、1つお願いしていいかしら?」

「うん!」

 また、命とか参加資格とかって言うんだろうな。

「あたしを敵に回さないで下さいね、ファリーヌお姉さま」

「うん!約束する」

 そう言って黒ずくめの来訪客は姿を消した。


「ふぅ、これで敵はあと4人ね」

「ああ。頑張ろうな」

 なんか、このゲーム勝てそうな気がしてきた。

読んでいただき、ありがとうございました。ゲームスタートとか言っておきながらなんか、すみません。そのうち、きっと戦います。少々お待ち下さい。

次回もよろしくお願いします。

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