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6.5話「奥様、怪人増えてません?」

「あら?お久しぶりね、タケノリくんの奥様。」


近所のスーパーで買い物をしているといきなり声をかけられた。

振り向いてみるとそこには自分の息子と同じクラスの保護者の方がいた。

確か名前は・・・・・


「あ、こんばんわです。山田君の奥様!」


そう、確か山田君のお母さんで会ってると思う。

実を言うとあんまり覚えていません。

だってクラスの中心でPTA会長をしているすごい奥様ですもの。

まあ、うちはならなくてよかったと思っていますが。

だって一筋縄では言うことを聞かないうちの息子、タケノリ一人でさえ育てるのが大変なのに。

他の仕事などを気にしてなんていられないから。


「山田君の奥様なんて他人行儀な事を言わないでほしいです。アキラ君のお母様と呼んでくださってもいいですよ。タケノリくんのお母様。」


出ました。

『奥様用語』

これは遠回しの言い方であたしがあんたの息子の名前を憶えてんだ。

お前も息子の名前ぐらい覚えていろ!

そう言いたいようです。

まったくどこの貴族と会話してんのかしら。


「すみませんでした。」

「いいのよいいのよ。次が楽しみになりましたから。」


ねちっこく覚えて良そうで怖い。

そう思っているとアキラ君のお母様が話しかけてきた。


「私―最近気になっていることがありまして。」


これは効いてほしいアピールだ。

世界の男性、憶えておきなさい。

女性が話題を振ってきたら話を聞いてほしい合図。

間違えても面倒くさい。

無言で聞く。

はしてはいけない。


「最近怪人が増えたと思いません?この田舎の県にも悪魔の間の手が伸びているって考えるとちょっとわたくし怖くて体が震えてしまいますわ。まあ、旦那に連絡すればすぐ来てくれるんですけどね。」

「そうですわね。」


ほら見ましたか?

何気ない話に夫婦ラブラブとアピールを入れてきた。

これが究極のかまってちゃんおばさまだ!


「脱線しちゃいました。話を戻しますけど、旗振りのゴリラと消防士のライオン。サラリーマンのような姿で会社に向かう覆面の改造怪人。」


覆面怪人は確か息子が言っていたような。

怪人たちのボスで食費を稼がないといけないって会社勤めって聞いた覚えが。

無害なら放置しておいても良いかなとは思いますが。


「でも一番の驚きはここ!」


彼女が指を指す。

指の指した方には大きい巨漢の象がいた。

あの子は確か冷蔵庫と象の怪人、レイゾウコでしたっけ。

丁寧なレジ打ちとしっかりとしたお客様対応。

世界中の皆さんが真似してほしいくらい。

でも怪人なんですよね。


「怪人を雇うなんて普通考えられません!このお店も地に落ちたと思いましたわ。接客業に怪人を雇うなんて。」


接客業。

それが彼女にとってネックなんだろう。

人に目が付くところでの仕事をさせてるのが気に入らないんでしょう。

目立ちたがり屋の方だから。

良い人・・・・・・もとい良い怪人なんだけどな。


「あなただって不安でしょ!この県で起きている怪人の進行状況が!他の県では占領されている区画があるぐらいですもの。いつ占領してくるのか分かったもんじゃありません!」

「それは・・・・・。」


怪人とそれに怯える街と言うテレビ特集もやっていたしな。

最近のニュースはそれがトピックの一位を占めてるし。


「ヒーローも何をしてるんだか!全くもー!」


話が長くなりそうだ。

そう思っていた時。


― チャンチャーチャラー・・・・ ―


スマートフォンが鳴る。

自分の着信音とわかっていたのかアキラ君のお母様が鞄から素早くスマートフォンを取り出した。

さすがキャリアウーマン・・・・・・みたいな方だ。


「もしもし・・・・・・あら?ユウジ君のお母様?ええ・・・・はい・・・・・」


多分電話はすぐに終わらないだろう。

私は素早くレジで精算しに行く。

レイゾウコ怪人のレジに。


「うるさくてごめんなさいね。」

「いえ、よく言われるので気にしてませんよ。」


愛嬌の良いレイゾウコ怪人を私は嫌いになれなかった。



買い物が終わると息子を迎えに行く。

学童保育をしてもらっている施設があってパートをしている私には安心だ。

到着した私。

すると・・・・・・


「きゃーーーーー!」

「助けて!!!!」

「怖い――――!」


庭の方で声が聞こえた。

私は颯爽と駆けつける。

そこにいたのは・・・・・・・大きい鳩だった。

鳩の怪人の前に数人の子ども達。

自分の息子、タケノリもいた。

その姿を見た私は体中熱くなる!

私はすかさず鳩怪人にとびかかった!


「くるっぽ!?なんなんです!?」

「あなたこそ何してんの!うちの息子に!」


押しつぶす鳩怪人に私はすかさずボディーブローをかます。

昔は私だって女子プロレスラーを・・・・・・・

その時だった。


「やめて!ハトドケイをいじめないで!」


タケノリが私を掴み制止させる。


「え?」


驚く私。

私は周りを見渡す。

職員の先生方もいた。

もしや・・・・・・・・


「・・・・・・・ポッポー。まいったポ。紙芝居読んでたんだけどな。まだやられるところではないぽ。」


紙芝居の最中だった。

どうやら参加型の紙芝居で読んでいたのはどっかのパン男が細菌男と闘うものだった。

それがわかった私は顔を真っ赤にして・・・・・・・・


「ご、ごめんなさーい!!!!!」


とすぐ降りて誤った。


「「「あっははははははははh・・・・・・」」」

「ぽー。まったくぽー。ぽっぽっぽー!」


学童保育の施設に私の謝罪の声と笑い声が響き渡るのであった。


恥ずかしかった私は直ぐにタケノリを引き取り帰ることにした。

去り際、ハトドケイさんに手を振る息子。


「大きくなったら鳩になる!」


息子の思いを聞きに少し複雑な私だった。

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