表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/16

6話「怪奇!朝のハトドケイ」

「くるぽー!」


重い雨戸をあける。

朝の日差しが差し込んできた。

私の朝は早い。

鶏より早く起きるのが習慣となってる。

おや、自己紹介が遅れましたな。

私の名前はハトドケイ。

鳩時計から生まれた付喪神の怪人です。

まあ、姿はほとんどハトなんですが胸や肩アーマーと思われるところに時計がございます。

ちなみに小さいお友達は私の前に来ますと大泣きしますが。

知識と愛嬌はあると思うんですが。

まあ、鳩だけに顔は変わりませんがね。

以後お見知りおきを。

怪人たちの知恵袋。

そんな役割をさせていただいております。


「こっけこっこー!!」


ほら見なさい。

今、鶏さんが遅れて鳴きました。


「ぽっぽっぽ・・・・・もっと早く鳴かないと私には勝てませんよぽ。」


私はニヤッとする。

先ほど言いましたが鳩だけに顔は変わらないんですがね。

おっと、そろそろマスターのエヌ様が起床されます。

起こしに行くか行かないか・・・・・・

悩みます。


「おや、おはよう。」

「おはようございますぽ。」


おやおや?

起きてきたエヌ様が私に一番にあいさつをしてくれました。

でも惜しい。

起こすのに遅れてしまいました。

前回起こした時には


「うわあああああああああ!見てないでおこしてくぅれ!」


と絶叫を上げられていました。

暗闇でエヌ様の寝顔を見るのはいけない事でしょうか?

鳥目であんまり見えなかったので近づいたのがいけなかったのでしょうか?

反省をしています。

そのため私は自分の部屋の雨戸をあけて朝と知らせるようにしています。

さてそろそろ・・・・・・・


「朝ごはんの支度をさせていただきますぽ。」

「ああ、ありがとう。ハトドケイ、今日は何を作るんだい?」


コーヒーをコップに注ぎ席に座るエヌ様。

いい絵になりますな。

絵を描いて販売したらたくさん売れるでしょう。

まあそれはさておき今日は当番なので何か食べる物を作りましょう。


「私の得意料理。ハムエッグを作りたいと思いますぽ。」


ハムエッグ。

それはフライパンで出来る神秘な食べ物。

香ばしく焼いたハムに合わせる月にも見える美しい卵。

混ぜても美味しいし単品でも美味しい。

私が作った中では最高だと思っている。


「ありがとう。席で待ってるね。」

「しっかり作るのでしばらくお待ちくださいぽ。」


私はキッチンに向かった。

凄い早さで作り始める。

簡単なので手間を取らないしミスも少ない。

まさに計算されたメニューだ。

あっという間に出来上がる。


「お待たせいたしましたぽ。」


お皿に乗せて人数分用意する。

二人分じゃないのかって?

それは・・・・・・・・・


「おう、おはようハトドケイ。」

「早い目覚めですね。ふぁあああ。感心してしまいます。」

「全くだ!俺様もびっくりだな!あっはははは!」


テレビゴリラとレイゾウコ、そしてセンプウキライオンがやってきた。

付喪神が寝るのかと?

答えはアンサー、付喪神はほぼ寝ません。

でも改造され怪人になったため休息が必要になってしまったらしい。

らしいとは自分らしくないのだが。

猫又博士と話し合いをしてそう意見になった。


「用意はしていましたぽ。速く席に着くぽ。」


急速で作り上げ用意する私。


「「「「いただきます。」」」」


皆さんが各自ごはんかパンを用意し朝ごはんを始める。

まだ終わっていないのに全く。

私が席に着くとエヌ様が食べ始めた。

待っていただいたなんて感激です。

にぎやかな朝食が始まる。

しばらくしてエヌ様がこちらを見ている事に気が付いた。

これはお話しできるチャンスでは!


「いかがいたしましたかぽ?エヌ様。」


首をエヌ様の方に向け話しかける。

鳥でしたから今まで視界を横向きで確認していたので。

横の視線は強いんですが前は見えにくい。


「あー、聞きたいことがあって。」

「この私目に聞きたい事!それは何でしょう!」


ずいと顔を寄せる。

すると・・・・・・


― ぺシン! ―


テレビゴリラにチョップをいただいた。

かなり痛い。


「何をなさるんですか。」

「お前、圧強すぎだから。前も子どもたちの前でそんなことがあっただろ?」


ああ、確かにありました。

あれは公園でテレビゴリラさんが子どもたちに私を紹介してくれた時のこと。


「この生き物なんだ?」


と聞かれ私が


「ぽっぽー!それはダンゴムシで甲殻類。ワラジムシもくの生き物で外来種のオカダンゴムシが主流で・・・・・・・・」


と長々話しその圧のせいかテレビゴリラさんに怒られたことがある。

その時、反省いたしましたのに。

まったく私、覚えが悪い子ですね。

とりなおして。


「失礼しました。で聞きたい事とは?」

「さっきから気になってるんですが・・・・・・」

「はい。」


エヌ様が悩んで話し出す。


「鳩らしさを出すために語尾に『ぽ』入らないと思うよ。」


― ぶはっ! ―


皆が食べている者を吹き出した。

まったくもったいない。


「いつも前半に『ポッポー!』など付けていたのに何故それにしたんですか?」

「それは・・・・・・」

「「「「それは?」」」」


皆黙り込む。


「つけないでも良いのですがキャラ的に鳩らしさが必要かと思いまして。」


皆が笑いだす。


「お前は真面目だな。誰も見ていないからつけなくてもいいんだぞ?」

「あははははは!もう笑わさないでください!」

「じゃあ、俺達も語尾つけんといけないのか?『ライオン』てか?」


みんなに笑われる。

少し心苦しい。

みじめだ。

その時だった。


「皆さん、馬鹿にしてるんじゃないんですよ。」


エヌ様が話し出す。


「キャラ作りなんてしなくていい。そのままでいいと言ってるんです。だって皆さん・・・・・・」


エヌ様が各怪人を見る。


「家族ですから。」


心が軽くなる。

本当にエヌ様大好きです。

尊敬します。


その時だった。


「おはようさん。なんや揉めてんか?」

「おはようございます。」

「おはーっす!」


新たな三人が来た。

そうか、家族か。

私は決心した。


「わかりました!これからは人前以外は普通に話します!」


そう大声をあげて立ち上がりキッチンに向かう。

皆さんの朝食作りのために。

家族の為、美味しく作らなければ。


その後、同じ話をし、リビングのテーブルが再び盛り上がるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ