第9話 そんなママのひとりごと。
「ご、ごめんなさい……」
舞雪さんが身体を離した。
すると、秋桜ちゃんが追撃した。
「離れちゃダメっ。ママっ。ひとりのときお布団で『隼人くん好き好き♡』って言いながら、なんか1人でモゾモゾしてるでしょ。こすもす知ってるんだから!! ちゃんとしないと、そういうのおにーちゃんに言いつけちゃうから」
既にアナタの活躍で筒抜けなんですよ。
秋桜さん。
そのくらいで勘弁してあげてっ。
ほら。舞雪さん泣きそうになってるし。
舞雪さんは言葉を失った様子で、ただ口をパクパクしている。
「トイレ……」
そういうと、舞雪さんはトイレに引きこもって出てこなくなってしまった。
しばらく秋桜ちゃんとお絵描きをして遊んだ。10分ほどすると、少し心配になってきた。
「ね。ママ、もしかして体調悪いのかな?」
「ううん。ママは恥ずかしがり屋さんなの。ねぇ。おにーちゃんはママのこと好きじゃないの?」
……。
きっと、俺は好きだ。
元々は、ただ可愛いくて頑張り屋さんのママさんという印象だったけれど。
ここに来てから、グイグイ感じる。
俺は舞雪さんが好きだ。そして、現在進行形でどんどん好きになっている。
俺はチラッと秋桜ちゃんを見た。
でもなぁ。この子に言うと、ほんと筒抜けだからなぁ。本人に告白してるのと変わらんし。だから遠回しに……。
「んっ。なんというか。一緒にいると楽しいかな」
「ふーん。わかった」
秋桜ちゃんは急に正座になった。
「あのね。ママ、秋桜のせいで、沢山頑張ってるの。ほんとはもっと可愛いお洋服とか着たいのに。だからね。お願いします。ママを幸せにしてあげてください」
秋桜ちゃんは、頭を下げた。
えっ、えっ。
この子って。ほんとは全部理解してるの?
顔を上げてニマニマすると、秋桜ちゃんはトイレに走って行った。
「あのねー。おにーちゃんが、ママのこと好き好き愛してるって言ってるよっ」
おーい。
幼児の誤変換機能ハンパねー!
原文が原型をとどめてなさすぎるんだが。