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第5話 そんなママとの温泉旅館

 旅館は温泉街の奥の方にあった。

 途中にコンビニがあったので寄ってもらう。


 2人はお菓子を買っている。


 俺は……2人と離れてコンドームの前にいた。

 

 (うーん。買うべきか……)


 必要な時になくても困るが、ゴム持ってたらヤル気マンマンみたいじゃん。


 ほぼ他人の、ただのお隣さんだし。

 ゴムもってたら、とんだ勘違い野郎だわ。


 悩んでいると、秋桜ちゃんと目が合った。秋桜ちゃんはニコニコすると、舞雪さんのところに走って行った。


 「ママー。おにーちゃんが風船の前で悩んでたよーっ」


 この箱を見て風船って分かるなんて、秋桜ちゃん物知りすぎるよ。もしかして、家にあって見慣れてるとか?  


 俺は胸がギューっと苦しくなるのを感じた。殆ど話したことがないようなほぼ他人なのに、俺はヤキモチをやいているらしい。


 舞雪さんにドン引きされていないかな。

 だが、舞雪さんはいつも通りのクールビューティーだった。


 (……よかった)


 秋桜ちゃんにいくつかお菓子をかって、大人用にも何本か飲み物を買った。舞雪さんはお酒飲めるんだろうか。


 「秋桜ちゃん。ママはお酒好き?」


 「あのね。ママはいつも隼人くん好きって言って、お酒のんでるよ。隼人くんって誰だろうねー。おにーちゃん、やきもちで泣かないでね?」


 大丈夫。

 隼人くんは、俺の名前だ。


 もしかして、舞雪さんは、夜な夜な、俺とエア晩酌を?


 すると、舞雪さんは俯いて首を横に振った。


 (そうだよな。そんなことある訳ないよ。好かれる理由がないし)


 秋桜ちゃんは続ける。


 「ママぁー。なんで何も言わないの? ママもさっきお家で、風船持ってくるか迷ってたのに、なんで内緒なのー? 内緒って言われたことも内緒なのー?」


 秋桜ちゃん。

 きみの秘密保持能力はゼロらしい。


 秋桜ちゃんは止まらない。


 「なんでー? 小さい風船と大きい風船で迷ってたのも内緒なのー?」


 ゴムのSとLで迷ってたのか?

 して、どちらと認定されたのだろう。


 「秋桜ちゃん。ママはどっちの風船にしたの?」


 「うーん。要らないから持ってこなかったみたいー」


 要らないって、どっちの意味だ?

 幼児のボキャブラリーでは肝心なところがわからん。


 色々と謎を残したまま、旅館の前までたどり着いた。俺はカメラをもって、親子2人で撮ってあげた。


 ほんと若くて可愛いママさんだ。

 舞雪さん、いくつなんだろう。



 「親子3人で写ってくださいな」


 うちらの様子を見ていた中居さんが声をかけてくれた。秋桜ちゃんを抱いて写真を撮ってもらう。


 あ、俺のスマホで撮っちゃったよ。


 「あの。すいません。写真送りたいんで、メッセージアプリのID教えてもらえませんか?」


 舞雪さんは少し迷ったが、QRコードを見せてくれた。


 「これ。仕方ないんで、交換してあげます」


 あれっ。イヤそうな顔してる。

 もしかして、舞雪さん、やっぱ、俺のことはちょっと苦手?

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