49 次の場所
アマツ視点
「僕はあなたの敵です。バルフェルトさまの次に魔王になるのは僕です」
「はぁ?!」
なんだそれ。うけるな。
グリオンでも冗談を言うんだな。
「君はどうして魔王になりたいんですか」
「自分の居場所が欲しいからな。平和に暮らしていけるようになりたい」
グリオンは喉から笑って「あなたは最初からそうでしたね。愚問でした」
俺の方が理由聞きてぇよ。急すぎるって、今まで魔王になれって言ったのに断ってたのによ。
「そっちは?」
「あなたのことが嫌いですからね、あなたが作る世界を僕は否定したい」
「やっぱここで殺したほうがいいわよ」とオリブが握りこぶしを作ってた。
「いいじゃねぇか、おもしろいし」
いつかまた敵になるかもしれない。ここで倒すのもいいかもしれない。
魔王になるっていう同じ志の奴がいた方がなりがいがある。
きっとこれから互いに、魔族を統一して戦うことになるだろう。
それでもいい。
「俺はもう勇者じゃないからな。次会ったときはお前を倒して魔王になってやるよ」
「次は僕があなたを倒してますよ」
よく言うぜ。
「っていうか、実質バルフェルトを倒したんだから実質俺が魔王だろ」
「本当のバルフェルトさまは、もっと強いですよ」
こいつのスタンス変わらないなぁ。
それがグリオンの自分らしさなのかもな。
変わらないからこそ、自分なんだ。
「また会いましょう。アマツ・ツカサ」
左腕が切られたままグリオンは歩き始めた。
少しだけの間、宿を借りさせてもらっていた身体を見ると懐かしいと思うと同時にたくましく思えた。
「行かせてよかったのか」
「いいよ、どうせ俺がまた勝し」
俺が勝つっていうのもあるけど、あいつの魔法と四魔同盟の人脈は使える。
四魔同盟を束ねられたら、魔族統一が楽になる。
「早く行こう!」とライが駄々こね始めた。
キャロたちがなだめていた。先に歩くみんなを見て俺は立ち止まっていた。
魔王になるって決めたからな。寄る場所ができた。
「ちょっと先行っててくれよ」
「? どこに行くっていうの?」
「すぐ戻るから」
バルフェルトを演じていたグリオン相手に俺は為す術がなかった。
ロマネスクが来なかったら負けていただろう。一人じゃ勝てないってわかっていた。
でも、やっぱり強くならないとダメだ。
魔王城の円卓の間に、一つ他の椅子と違って大きな壊れかけの椅子があった。
背もたれは一メートルほどの大きさだ。俺の身体にあった椅子だ。
「これが魔王バルフェルトの玉座か」
座ってみると、座り心地は悪い。
バルフェルトより強くならないと、きっと四魔同盟は俺と一緒に行動してくれないだろう。
魔王新派と経済魔族、は肯定だけど、グリオンや他の魔物はきっとついてきてくれない。
だから、もっと強くならないとダメだ。
魔王になるって決めたんだ。
座って居心地が悪いのは、きっと俺の居場所じゃないからだ。
きっとこれからも戦い続けていく。でもいつかは休める場所が見つかるはずだ。
「忘れ物でもしたのか」
ロマネスクたちが円卓の間に入ってきた。
「もうこんなところ寄りたくないんだけど」「早く次のところ行こう」「ご飯でも食べに行きましょう」
バルフェルトに転生して、魔族からも人間からも敵とされてきた。
今は手に入れたこの居場所を大切にしていきたい。
「そうだな、次の場所にいくか」




