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勇者アマツ・ツカサは魔王になる  作者: 川上アオイ
第四章 アマツ・ツカサは魔王バルフェルトにはなれない
48/49

48 あなたみたいに

何が起きているかわからない。


「楽しかったか、魔王ごっこは」

「ッな」


背後から声をかけられ振り向くとロマネスクがオーブを片手に立っていた。

精霊の秘宝(ランドマーク)か。バルフェルトさまを倒したというより封印したのはあれだろう。


勇者がいるってことは、パクーチは……彼女は生きているみたいですが逃げたみたいですね。

あの薄情者め。


「アマツやオリブを傷つけておいて、貴様生きて帰れると思うなよ」

「嫌です、し、死にたくないです。キャロ! 僕を守れ」


僕の命令を聞かずに、キャロは立ったままでした。

こんなことをするのは、あの男しかいない。


「それはさせないぜ」

「アマツ・ツカサ! 絶対に貴様は道連れにしてやる!」

「貴様がアマツを殺す前に、私が殺してやる」


ロマネスクを一瞥すると、僕の左腕が切られていました。


「クソが!」


嫌だ、死にたくない。なんで……バルフェルトさま助けてください。

あの人の代わりになろうとしたのが、そんなに悪いことなのか。

俺に、僕にとっては、あの人が僕の居場所でした。


こんな世界で生きるくらいなら、自分がいない方がましだ。

ロマネスクが空間から真っ黒な剣を取り出しました。

夜空のように黒い剣。初めて見ましたが、僕にはそれがなんだかわかりました。


「……それは」

「よくわかったな、バルフェルトの左腕から作った魔剣だ」


魔力でわかったわけじゃない。形が変わったとしても、あの方の腕はずっと見てきた。

だから、こそ変わり果てた姿を見て腹の底が熱くなった。


「どこまで貴様らは、バルフェルトさまを愚弄すれば済むんだ」

「気に食わない奴にしかこの剣は使わないんだ。喜んでくれ」

「ふざけるなよ、ふぜけないでください」

「キャラぶらぶらじゃん」


魔女の声は聞こえていた。知っているそんなこと……。

僕は、自分のことがわからない。


自分より強い存在、バルフェルトさまになれて自分がわからなくなった。

僕は、バルフェルトさまになって魔族を統一することが目標だった。

でも、それからはバルフェルトさまがどうするかわからない。


あの人の話し方、動き方を模倣できても考えまでは全てわからなかった。

わからない。わからない。わからない。自分がどうしてそんなことをしたのか

わからない。なにもわからなかった。


「じゃあな」


ロマネスクが剣を構えていた。

もう殺される覚悟はできている。


「もう僕は死んでいるようなものです。殺してください」

「待てよ」


アマツがロマネスクの前に立っていた。


「僕を助けるなんて腑抜けたこと言わないですよね」

「手下になれよ、まぁ助けることになるんだけどさ」

「断ったらどうなりますか」

「それもそれでいいよ。

ただ俺は魔王になって魔族を、いやこの世界を統べるから結局手下になってもらうからな」


魔族だけでなく、人間も統べるだなんて馬鹿げています。

でも、僕とは違う。統一した後のことを彼は考えているに違いないでしょう。


「どうしたら、僕はあなたみたいになれますか」


声に出ていた。訂正しようとしたら「俺みたい?」とアマツは言葉を続けた。


「誰かになろうと思わなくていいんじゃないか、テメェはテメェだろ」

「僕は、僕か……」


「当たり前だろ。手下にな──」

「手下にはなりません」


こっちが当たり前でしょう。

僕は最初からあなたのことが嫌いでした。

二回もあなたに負けて「はい、あなたの味方になります」だなんて死んでも言いたくない。


「僕はあなたの敵です。バルフェルトさまの次に魔王になるのは僕です」

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