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勇者アマツ・ツカサは魔王になる  作者: 川上アオイ
第四章 アマツ・ツカサは魔王バルフェルトにはなれない
47/49

47 入れ替わり

「言ったじゃん! みんな戻って来るって!」

「何をしたんだ。アマツ……!」

「俺はなにもやってないんだよ、まじで」


なにもやってない……?

それじゃあ、誰が? まさかロマネスクが!

でも、ここにいないということは、やはりアマツがやったのか。


「ああぁ」とアマツはなにか納得したみたいに声を出した。

「なんだ」

「よくやったなぁ、ライ!」


どうして魔女を褒める。こいつがやったのは僕の足止めをしたくらいだ。

噓をついて、僕の思考を邪魔したくらいだろ。


「その魔女が何をしたっていう。呪いだってたかだが、噓を信じさせるくらいだろ」

「お前、まだ気づいてないんだな。キャロ、ライの耳を塞いでくれ」

「? はい!」


魔女に聞かせたくない情報なんてあるのか。

まぁ口が軽そうだから、聞かせたくないのだろうな。


「言っておくけどライが聞いたらきっと調子のるから伝えないだけだからな」

調子にのる?

「その子の呪いは、噓を信じさせるだけだろ」

アマツはやっぱりと、首を横に振った。


「ライの呪いは、噓を信じさせるなんて優しいもんじゃない。

噓を実現させるんだよ」

「噓を実現……だと」


まさか『アマツもみんな戻ってくる』、あれが……?

ふざけてるのか、そんなので僕の魔法を無視して戻って来られて困る。

今思えば、これ以外にも魔法がライに当たらなかったことやロマネスクを

超越するほどの魔力があったのは、呪いの力だったのか。


本当に馬鹿げてる。腹の底が熱くなってくる。

やっぱり魔女から殺しておくべきだった。もう油断はしない。


ここにいる奴らに好き勝手やらせると、もしかしたら……。


「最後にしようぜ」

「なに?」

「俺がお前を倒してやる、バルフェルトになるのも飽きただろ」

「君の顔を見るのが飽きたけどね」


アマツの言う通り、もう最後にするしかない。

彼が死ぬところを見て仲間を殺してやる。また生き返ったとしても

殺しつくして生き返るのをやめたくさせてやる。


「ロマネスクが来る前にお前を倒してやる」

「僕も早く倒して楽したいから、全員で来ていいよ」


挑発にのってやっぱりみんなで来てくれたな。どいつもこいつもバルフェルトさまより弱い。

ドゥルガーだけは大精霊ってだけあって倒せないが、アマツは僕の身体のせいか

魔法も動きもどれも弱い。


ロマネスクの娘も所詮鍛えられただけのただの人間。

ライという魔女は戦力外だが、嘘をつかせて何かが起きるのはめんどくさい。


「お前のその力を封じる」


魔女に近づくと、僕の動きに気付いたのかアマツが割って入ってきた。


「させるかよ!」

「噓つき仲間の間を割かないでほしいな」

「いつの間にそんな仲良くなってんだよ」


ライの顎を壊すだけでもいい。僕はあの子の力を封じる必要がある。

その後は、アマツ、キャロ、ドゥルガー、オリブの順に一人ずつ戦闘不能にさせればいいだけだ。


「俺もさ戦う時相手の動きを考えながら戦ってるからよ」

「それがなんだ」

「つまりさ、俺もお前がやろうとしてることやってやるって言ってんだよ」

「──ン!」


平手打ちで下顎の骨を砕いただと? そんな馬鹿力どこにあるんだ。

僕の原始魔法(ユニークスキル)の魔物だってロマネスクに殺されて

数は減っているはずだ。


(なにをやった?)


念話で問いかけると、アマツは頭をそらして笑っていた。


「すごいだろ」


彼の右手についていた指はいくつか千切れているか明後日の方向を指していた。

なるほど、力任せでやったのか。道理で僕がもっている力以上に叩けたわけだ。


(そんなに魔法を使わせるのを嫌なんだ)

「そうだよ、また闇の魔法を使われても困るもんでな」

(魔法が使えないとしても、僕が勝つに決まっている)

「ドゥルガー! 俺に鎌を渡せ!」


アマツが鎌を持ち、振るい続けるが脅威でもなんでもない。オリブやドゥルガーの攻撃だって

当たろうとも痛くもない。

彼らが勝つ方があるわけない。ロマネスクもいなくて、バルフェルトさまの体を持たない

アマツなんて取るに足らない。勇者だって怖くない。

準備が整えばどんな奴にだって、バルフェルトさまは勝つ。


(邪魔だ)


右手を払おうとした瞬間、誰かの念話が僕の動きを止めた。


(パクーチがやられて、ロマネスクがすぐそこまで来ています!)

(なんだと!)


やっぱりあの女じゃ、勝てないのか。

今すぐ準備をして──。


「ッ」


次のことを考えるあまり、大鎌が肩まで入り込んでいた。

またあの馬鹿力で無理やりやるのか。自分の身体がどうなってもいいのか。


(……パクーチがやられた?)


魔力がまだ残っている。生きているじゃないか。

一体誰がこんなことを──……。


「やっと騙されてくれた」


クソがァ! この魔女、やっぱり消しておくべきだった。

焦るな、たかがだ傷をつけられたくらいで僕がこいつらに負けるわけない。

再び右手を払うと、グリオンの上半身は大きく吹き飛んだ。


(まずは一人!)


このまま全員まとめて殺してやる。

顔面に衝撃が走り、前を見るとグリオン(アマツ)が立っていた。


「痛ぇな!」

(は?)


はじけ飛んだ上半身だけでなく、破損していた右手まで傷まで治っている。

なにをやったんだ。いや、こんな芸当できる奴一人しかいない。

キャロを睨みつけると、グリオンの指を嚙んでいた。


「グリオンさま、今までありがとうございました」

(貴様貴様貴様!!)


僕がこんな格下に、騙されて傷を負わされるだなんてありえない。

こんなことあってたまるか。


「悔しがっていところ申し訳ないけど俺たちの勝ちみたいだ」

「何を言っている。……え」


声に出せている? どういうことですか。」

それにどうして目の前にバルフェルトさま()がいるんだ。

まさか入れ替わりしているのか。

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