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勇者アマツ・ツカサは魔王になる  作者: 川上アオイ
第二章 アマツ・ツカサは勇者の娘を育てる
24/49

24 友だちからでお願いします

「魔王になるのか、あのアマツが?」

珍しくロマネスクが口を開けて惚けていた。

「そうだ、俺は魔王になる。なってやる」

「ほう? ならば私が戦うぞ」


「だから、手始めに──勇者ロマネスク。お前に世界を半分やるから俺と手を組め」


ロマネスクの目的は、世界征服だ。なら、俺と目的は一緒だ。

今までの俺だったら勇者として魔王と手を組むなんてことはしなかっただろうな。

だけど、今は魔王だ。


「ええええ! お母さんなの!?」「ロマネスク?!」「勇者さまだー」

今ごろになってオリブたちは『通りすがりの元魔王』の正体がロマネスクだと気づいた。

広場を歩いていた魔物たちもざわざわとうるさい。


「ははははは!」と大声でロマネスクが笑い、頭に被った紙袋を脱ぎ捨てた。

「私と手を組むのを嫌がっていた貴様が? 面白いことを言うな」

「それで答えはどうなんだよ」


前世で命を奪っといて、仲間になることを拒んできて都合がいいのはわかってる。

今まで戦ってきたんだ。だから、この世界では、この物語では俺らが横並びに戦ってもいいんじゃないか。

もし、断ったとしたら戦うしかない。


ロマネスクがゆっくりと剣を片手に歩み寄ってきた。

「世界を半分と言ったな」

切先は喉へと向けられた。薄皮一枚の距離だ。

「足りないか」

「ああ。それだけでは物足りない」


剣は前を進み剣が喉を通りすぎ、俺の背後に落ちた。

「──!」

たった一回の攻撃で俺の体は動けなくなった。

その攻撃は、ロマネスクとのキスだった。


「なにすんだよ!」

クソ俺のファーストキスが奪われた!

「世界だけじゃ物足りない。私はお前もほしい」

「はぁ!?」


恋愛フラグたてたつもりはないんだけど???

今まで命がけで戦ってきた仲から、仲間を通りこして恋愛関係に発展させてくるの意味不明すぎる。

「前世でもこの世界でも、私と対等に戦えた奴を数えるのは片手で事足りた。

だが、私を倒したのはお前だけだ」


「はい……」

それは復讐に走る理由なのでは、ないでしょうか?

「そのせいで、私はいつもアマツ、貴様のことしか考えられるなくなった」

「いやいやいや、だとしても、だとしてもだろ!」

恋愛に走るのはおかしいって……!


「私も恋愛においては、初心者だ。だから、間違っているかもしれない」

よくよく考えたら、俺も付き合ったことないのに人のことを言えた義理じゃないな……。

もう少しだけロマネスクの話を聞いてみよう。


「この感情とは違うかもしれないが、私は貴様を好いている」


「そうかよ」

「……」

「……」

何この間は、周りの奴らも全員ロマネスクが俺にキスしてから静かになってるし。


「アマツさま、これは返答待ちかと」とキャロが口を開いた。

「そういうことね! ええっと……」

俺はロマネスクのことを恋愛対象として見たことない。

今の告白だったのか「好きです!」とかわかりやすくしてくれよ。


ていうか、今ここで返答しないとダメなのか!?

こんな大勢の前で振るのはどうなんだ……。俺だったら泣く。初めての告白が大勢の前で振られたらトラウマになる。

とりあえずここは──。


「……友だちからでお願いします」

「そうか、わかった」

ロマネスクは表情ひとつ変えずに手をさし出してきた。


「よろしく頼む、()()()()()()

「よ、よろしく……」


まさか宿敵から友だちに関係が変わるとは思ってもいなかった。

人生何が起きるかわからないもんだ……。


*****


「どうだ? オリブ戦い方学べたか?」

「学べたけど……けどさ、お母さんとあんたのやりとりがびっくりすぎてそれどころじゃないんだけど!」

「私が誰と付き合おうと構わないだろう?」


育ての母が急に宿敵と付き合い始めたらびっくりするだろうが。

それよりもオリブの特訓だ。明日まで時間がない。


「ロマネスクはここにいつまでいれるんだ?」

「明日までだ、オリブ明日には私の剣を返してもらうぞ」

「ウゲェ……」とオリブは顔を引きつらせていた。

「ってか、一緒に旅しようよー。魔王も一緒だよ?」


まずお前といつ一緒に旅するって決めたんだよ。特訓はするだけだからな。

「最近魔王残党の動きが活発だから先に手を打っとかなければならない」

魔王残党ってグリオンがリーダーのところだよな。元気みたいでよかった。

「何かやってんのか?」

「最近魔物を各地から集めて何かやろうとしている、めんどくさいことにならなければいいが」


あいつ一体何やろうとしてるんだ?

ロマネスクに挑もうとかアホなこと考えてないだろうな。

「まぁお前なら大丈夫だろ」

「…………」


ロマネスクが黙っていた。いつもだったらここで「ふ、当たり前だ」とかいうはずなのに。

まさか「自信がない」とか言い出さないよな。それは、それで見たいけど。


「あ、ありがとう」

……嘘でしょ!? あのロマネスクが純粋にお礼を申し上げている!

まじで俺のこと恋愛視してるのか?

「お、おう」


「アマツ照れてる〜」とライがニヤニヤしていた。

「うるさい、ちゃかすな!」

くそ、また話題がずれた。俺が話したかったことはこんなことじゃない。


「明日までロマネスクがいるなら、オリブと特訓してくれよ」

「いいが、私とオリブでは相手にならないだろ」

「お母さん!」と怒っていた。

でも事実だから反抗はしないみたいだ。


「それでもいい、オリブが戦ってるところをセコンドしたい」

「そういうことか、いいだろう」

お、素直だな。まぁ自分が育てた娘だからか。

「……初めての共同作業ってやつか」

「違うよ???」

ここまでお読みいただきありがとうございます!


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よろしくお願いします!

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