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臨時休業13〜巷で噂の愛され系悪役令嬢〜

「リリア様……ですよね?」

恐る恐る尋ねるフローレンスに、リリア様は力強くふんぞり返った。


「えぇ、わたくしが巷で噂の愛され系令嬢ことリリアです」


その自信はどこから来るのか。実に不思議だ。


呆れて言葉を探していると、リリア様はあ、と何か閃いたような声を上げた。


「さっき溺れかけたので、これが本当の溺愛系ってやつですわね」


余裕ぶってるように見えて、一応溺れていたらしい。

ということはやっぱり下水を浴びている……いや、細かい事は考えないでおこう。

頭を振って、現実に戻る。


「上手い事言った感出してますけど、全然上手くないです」

「でも愛され体質なことに変わりはありません」

「あー……いえ、そんなに別にって言うかむしろ……」

「そんなはずないわ、指さされまくりの人生ですもの。皆の注目の的、すなわち憧れ」

「憧れというより、悪目立ちのような……」


ぼそり、とフローレンスが呟くと、流石のリリア様にも刺さったようで、しょぼんと萎れて分かりやすくショックを受けている。


いや、そもそもこんな茶番を繰り広げている場合じゃない。


「とりあえず、スーツ姿じゃ目立ちすぎるので、私……いわゆる貴族のリリア様の姿に変身させてください」


口頭で説明するとかなりややこしいが、つまり『狛枝かなめ』の姿から『リリア・ローゼンベルク』に変身してもらう必要がある。


「つまり、リリアが二人……リリアAとリリアBになると思うのですが、AとBどちらになさいます?わたくしとしてはAが良いのですが、かなめさんがどうしてもというなら譲って差し上げなくも……」

「いまそれめちゃくちゃどうでも良いです」


生で相対すると、やはり強烈だ。そのトンチキさにため息が止まらない。


「さぁ、行きましょう」


フローレンスの母、イザベラに頼みこみ、変身の魔法をかけてもらい、リリア様は晴れて元の姿を取り戻した。


「よく馴染みますわね。三年履いたスニーカーのようです」


リリア様は真顔でそう言い放った。


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