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臨時休業12〜野球と米騒動は紙一重〜

そして、フローレンスの家の裏にあるワープの泉まで、リリア様を迎えに来た。今から汚水塗れの自分に出会うと思うと、気が滅入ってくる。


「本当に来てくれるのでしょうか……」


不安げなフローレンスと共に、じーっと水面を見つめて待つ。しかし、中々変化はなく、雑談でもしたくなってきた。


「最近も『サキュこい』は読んでるんですか?」

「えぇ、もちろん!色々あって、今は極悪宇宙人ドラギオン率いる最恐チームとスペース野球をしているんですが、試合シーンがまた熱くて……」

「えぇっと、サキュバスと人間のラブコメだったのでは?」

「そうなんです!話せば長くなるのですが……」


サキュこいを愛するあまり、盲目オタクと化したフローレンスは早口で展開を教えてくれたが、内容が電波過ぎて理解が追いつかなかった。


「米騒動のくだりなんて本当に手に汗握る展開で……」

「ちょっと待ってください。野球要素はどこにいったんですか?」

「いえ、相手チームの監督の特殊能力で米騒動が起きるんです。両チームともお米がなくなって大ピンチになるんですが……」

「両チームとも?なんで?」


意味不明過ぎる。っていうか、相変わらずイカれた小説だ。

フローレンスは私のツッコミを華麗にスルーして今後の考察を語り始めたので、理解を諦めて聞き流すことにした。


リリア様、頼む。早く来てくれ。


ひたすら念じ続ける。

とうとう私の祈りが届いたのか、水面がまばゆく光り始めた。

水の流れが人型を形成し、姿がゆっくりと露わになる。

そこにいたのは現実世界の私こと、狛枝かなめだった。

しかし、その出立ちは元の地味なOLには程遠い。高価そうなスーツに身を纏い、メイクもバッチリの、いかにもな女社長スタイルだ。


「遅れてすみません。汚れるのが嫌だったので、お手洗いを急遽改造してから来ました」


濡れているものの、見た限りは清潔で特に悪臭もない。ナイス改造。


「あらフローレンスさん。ご機嫌よう」


そう言って、リリア様は優雅に微笑んだ。


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