臨時休業11〜悪役令嬢、MCバトルに参戦するの巻〜
「あぁ、ワクワクしてきました。MCネームは何にしようかしら」
「MCネーム?」
聞き慣れない単語に、私は首を傾げた。
「バトルの際のあだ名みたいなものですわ。ヘッズたるもの、バチクソイケてる名前にしたいものです」
「ヘッズ?」
「ヒップホップ好きのことです。かなめさん……本当にど素人ですのね」
さっきから質問ばかりしているせいか、呆れられてしまった。いや、マニアックな単語をポンポン出されたら、誰だってこうなる。オタクの悪いところだ。
「その程度のレベルじゃ絶対に勝てません。ましてや本番は三日後なんて、無謀もいいところです。アドバイスだけではどうにもできませんわ」
「ぐぬぬ……」
そう言われると、ぐうの音も出ない。
しかし、言葉とは裏腹に、リリア様の口調はイキイキとしている。
「わたくしが出ます。一人残らず薙ぎ倒してみせますわ」
既にやる気満々だ。
しかし一人残らず、では困る。なんせ、今回はペアを組む必要があるのだから。
「ちなみになんですが、タッグ戦なんです」
「2on2ってやつですわね。お相手は?」
「……ミモザです」
「あら、心強いわね」
あれ?
婚約者を寝取られた相手とは思えないほどの、あっけらかんな言い方に思わず拍子抜けする。
「ランドロフ様のこともあったし、抵抗があるのかと思いました」
「まぁ色々ありましたが、こちらの生活が楽し過ぎて、全部忘れました。それに、元々ミモザさんは嫌いじゃありません。なんていうか……おもしれー女ですわよね」
お前が言うな、というツッコミが喉から出かけたが、なんとかして飲み込んだ。
「というわけで、今からそちらに伺いますわね」
「お仕事は大丈夫なんですか?」
「丁度いい機会ですし、優秀な部下に引き継ぎして、がっつり有給を消化します。こうすることで、下も有給が取りやすくなる……一石二鳥ですわね、高笑いが止まりませんわ」
おほほほほ、と悪役令嬢らしさ満点の笑い声の後、通話が切れた。
大丈夫かな。不安要素しかない状況に、特大のため息を吐いた。
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