臨時休業10〜汚水まみれはマジ勘弁〜
「素人二人が組んでも勝算ないわよね」
ミモザは腕を組んで、至極真っ当な意見を言った。
負けたら、次のチャンスは巡ってこないかもしれない。
絶対に勝たなければ。
なんとかします、とミモザには別れを告げ、自宅へと帰ってきた。
ベッドの上で、策を考える。
ラップバトル。そういえば、少し前にそのキーワードを聞いたような気もする。
記憶を遡り、ピンときた。
確か、出会ったばかりのクロウリーの発言だ。
『クロウリーと苦労人で韻が踏めますわね、と以前リリア様に言われた』
他にも、あった気がする。
『プロレスとヒップホップは淑女の嗜みですわ』
『狛枝かなめとお前は黙れで韻が踏めますわね』
ヒップホップといい、韻といい。
ひょっとしたら、リリア様もラップ経験者かもしれない。
悪役令嬢がラップを嗜んでいるというのは、世界観ぶち壊しもいいところだが、今更なのでら深くは突っ込まないでおこう。
スマートフォンの通話ボタンをタップすると、すぐに繋がった。
「あら、かなめさんご機嫌よう」
「ど、どうも」
元いた世界の私こと、狛枝かなめらしからぬ堂々とした口調。
自分の声帯から放たれるお嬢様言葉にもいまだに慣れず、戸惑いを覚えてしまう。
しどろもどろになりながらも経緯を伝えるが、返ってくる相槌があまりにも適当過ぎて不安になってきた。
「あの、聞いてます?」
「ごめんなさい。昔から人の話を聞くのが超絶不得意で。つまりどういうことなんです?」
やっぱり。マイペースここに極まれり、だ。
「……結論だけ言いますね。ラップバトルで勝ちたいんです。だから、コツを教えて欲しくて……」
「ラップバトル?出ます。今ちょうどお手洗いにいるので、便器に頭を突っ込んで、早急にそちらへ向かいます」
それは待ってほしい。一応私の身体なのだから、汚水まみれは勘弁願いたい。
「お、落ち着いてください」
「だって、ずっと出てみたかったんです!こんな形で夢が叶うとは……」
慌てて嗜めると、リリア様は興奮気味に話を続けた。
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