臨時休業9〜女王陛下は今どき珍しいテレビっ子〜
「ラップ、ねぇ……」
「やはり、駄目でしょうか?」
ラップバトルの詳細が書かれたチラシを渡して、頭を下げる。
目の前の人物――かつての恋敵であり、今は騎士団長の正妻であるミモザは、チラシを読み上げた。
詳しくないなりに考えた結果、たどり着いた結論がある。
ラップバトルに必要なもの。それは何を言われても凹まないメンタルと相手の弱点を見つけ、それを徹底的にディスり倒す性格の悪さ。
その二つを併せ持つであろう人間は、私が知る限りミモザしかいない。
「いや、出るわよ。あなたには借りがあるし」
「あ、ありがとうございます」
厄介そうな表情を浮かべ、ミモザはチラシに視線を落とした。
「『今年』はラップなんだ、と思って」
「『今年』は、というと?」
「女王陛下が開催する大会は毎年ジャンルが変わるのよ。去年は漫才だったわ。確かQ-1グランプリって名前だったかしら」
明らかに元いた世界の大会をパクってる。女王陛下は何かしらの手段で向こうの世界の情報を得ているのは確実だ。
こんなアホみたいなヒントで知りたくなかったけど。
「その前は俳句の大会だったわね。女王陛下が赤ペン片手にその場で添削という名の強烈なダメ出しをしてランクが決まるの」
あの番組か。
というか、女王陛下、めちゃくちゃテレビっ子だな。
「のど自慢とかお好きそうですね」
「あぁ、騎士団ではしょっちゅう声帯自慢コンテストっていうカラオケ大会開いて、鐘鳴らしてるみたいよ」
女王陛下が鐘鳴らすんだ。
今回の大会名はQueen of Queenというらしい。通称QOQ。クイーンの中のクイーン、という名前の割には男性参加者がほとんどだ。
これも何かのオマージュだろう。おそらく元になった大会がありそうだ。
「今回は協力してあげるけど、未経験だしあまり期待しないで。っていうか、貴女はどうなの?」
「全くのど素人です」
あちゃー、とミモザは気まずそうに言った。
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