臨時休業8〜貴方も貴族ならラップくらいできますよね?〜
「はぁ……どうしましょう……」
一番の当てがなくなってしまった。
ため息をつきながら、トボトボと街を歩く。
この間にも、クロウリーは投獄されて辛い思いをしてるかもしれない。拷問されていたっておかしくない。
そう思うと、無駄な時間を過ごしている自分に無性に腹が立ってきた。
下を向いて歩いている場合じゃない。
顔をあげると、壁に一枚のチラシが貼ってあった。
『女王陛下主催!MCラップバトル』
「これは……」
MCラップバトル。詳しくはないが、ラップで戦う人達がいるのはなんとなく知っている。
しかし、驚くべきは優勝賞品だ。。
なんと、黄金のトロフィーを女王陛下自ら手渡し。
「これ、これです!」
いきなりの朗報に、つい大声が出てしまった。
女王陛下自らということは、会話ができるチャンスがあるかもしれない。
開催日は三日後。そして、受付日時は本日中。
早速、エントリー場所へと向かうと、人だかりが出来ていた。
老若男女ではなく、ゴツい男が圧倒的に多い。
全員ライバルかと思うと、気持ちが引き締まる。
「MCラップバトルにエントリーしたいのですが……」
「はいよ。もう一人は?」
「もう一人?」
「two on two だから、相方がいないとダメなんだ」
受付の人が言うにはtwo on two とはつまり、タッグバトル。
ただでさえ知り合いが少ないのに、ラップができる人間なんて。
ラップバトル。つまり、口喧嘩が強ければ良い。
そうだ。一人、思いついた。
口喧嘩、というよりは一方的な罵倒かもしれないけど。
その人物に会いに、私は急いで歩き出した。
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