臨時休業6〜シリアスなシーンでもイケメンがいればちょっと嬉しい〜
騎士団本部までは街の中を歩いて移動しなければならない。『町娘変装セット』で一応変装しておくことにした。
街中を歩いていて気付いたことがある。そこはかとなく、空気がピリついている。普段よりも見張りの兵士が多く配置されている。
まるで厳戒態勢だ。
目立たないよう、悪役令嬢オーラを引っ込めてこそこそと移動し、騎士団本部へと辿り着いた。
大きな鉄の扉の前には鎧を着た騎士が立っている。
近付くとますます威圧感がある。おっかないけど、話しかけるしかない。
「あの……」
じろりと見下され、気付いた。
クールな眼差し。長いまつ毛。鎧兜で目元しかわからないが、おそらくイケメンだ。
不謹慎だけど、ちょっとテンション上がってきた。
「何の用だ」
「ランドロフ様に会いに来ました」
「名を名乗れ」
「あー……えっと……」
素直に名乗っていいものかと考えあぐねていると、扉の奥から足音が聞こえてきた。
「下がりなさい」
「ランドロフ様!」
そこにいたのは、お目当ての人物であるランドロフ様だった。
並んでみると、やはり桁違いの男前だ。顔だけだったら、ぶっちぎって良い。しかも騎士団長。スペックだけ見たら最強の優良物件なのに、残念ながらド変態。
おそらくイケメン騎士もランドロフ様の本性は知らないんだろう。恐れ多そうに頭を下げている。
尊敬する団長が実は嫁の尻に敷かれまくってSMプレイの域まで達しているだなんて、知らない方がいい真実かもしれない。
「彼女は私の知り合いだ。あとは私に任せてくれ。さぁ、こちらへ」
そう指示されて、イケメン騎士は素直にその場を去っていった。
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