スポーツブラ12〜「どんなパンツ履いてるの?」と上司(おじさん)に尋ねるという新しいタイプのハラスメント〜
「あぁ、そうでしたね」
リリア様は悪びれもせずに、そう言った。
なんで他人事なんだよ。こっちは退職してるんだぞ。
イラっとしているのも意に介さず、リリア様はスタスタと部長に近付いた。
一体何をする気だろう。
戦々恐々と見ているしかできない。
突然画面が180度回転して、床だけが映された。スマートフォンを掲げていた手が下向きへと移動したせいだろう。
「あっ、ちょっと待っ……」
「ご機嫌よう、部長さん。この間のご無礼、お許しください」
何考えてんだこの人。
私の静止を無視して、とうとう部長に話しかけてしまった。
音声しか聞こえないが、殴ってきた人間にいきなり謝られて、部長は間違いなく困惑している。
そりゃ怖いわな。私も怖いもん、
「こ、狛枝さん……ど、どうも」
「……部長は普段、そちらをお履きになってるんですか?」
「えっ」
なんてことを。
『そちら』とは、おそらく、部長が手にしていたパンツだろう。
あろうことか、部長の下着について尋ねてしまった。
逆だったら大問題だ。いや、現状でもどスレートなセクハラには変わりはないんだけど。
「いや、まぁそうだけど……」
「履き心地は?」
「ふ、普通、かな……」
いや、細かく聞くな。
部長も困ってるし、第三者に見られたら私が社会的に死ぬ。
リリア様はどういうつもりなんだろう。
頼むから、何か深い考えがあってほしい。
これで何も考えてなかったら泣く。
ふぅん、とリリア様は実に失礼な相槌を返した。
自分から聞いておいて何だそのリアクションは。
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