スポーツブラ10〜他人にタンスの中を見られるのは地味に恥ずかしい〜
「……というのは冗談で、貴女からの意見を頂きたいのです。そもそも私は下着を購入したことすらありませんので。今着けているのも貴女のタンスから適当に漁ったものですし」
他人にタンスの中を見られたと思うと、無性に恥ずかしくなる。別に見られて困るようなスケスケのセクシー下着を持っているわけでもないんだけど。
いや、そもそもそれ以上に恥ずかしいものを見られていることに気付いた。
流石に風呂には入ってるだろうし。
リリア様とは一連托生。裸も見られ放題見放題だから、もう身内みたいなものだと考えよう。
そう思い直して、プレゼント用の下着について考えることにした。
もしも、自分が遠くに住む母親にプレゼントをするなら。
「分かりました。私のおすすめは……」
「ストップ。今から外出の準備をします」
私の言葉を遮って、リリア様は堂々とそう言った。
「今日はお休みの日にします。お母様のプレゼント選びにレッツラゴーですわ。貴女にはビデオ通話でアドバイスして頂きます」
「い、今からですか?」
「はい。それでは準備をしてまいります。二時間後にまたお電話しますので、ご機嫌よう」
いきなり仕事を休んで良いのかな、と思ったが、そういえばリリア様は社長だった。
そりゃあ融通が効く。実に羨ましい。規模こそ差があれど、私も一応社長だけど。
それから二時間後、ビデオ通話がかかってきた。
絶句する。そこに映っていたのは、全身ドピンクでフリフリの『私』だった。
「……何か?」
「その服装は……」
「あぁ。エレガント&ファビュラスなファッションだと思いませんこと?」
「思いません。むしろ真逆です」
既視感を覚える。
なんていうか、高笑いとカメラが似合いそうな服装だ。
こんな服装で外出するくらいなら、ジャージの方がまだマシなレベルだ。
「着替えてくれないと切ります」
「そう……超イケてると思うのですけど」
そう言って、リリア様は渋々と着替え始めた。
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