メンズブラ17〜トガった商品にも意外と需要はある〜
リリアの元に、最近他の女性と挙式を上げた元婚約者のランドロフ卿が訪ねてきた。
「自分の下着も作って欲しい」
ランドロフ卿のまさかの発言に、リリアは耳を疑った。
そして、なんやかんやで、依頼を引き受けることになったリリア達。
しかし、メンズブラに関して、何も情報がない。
少しでも情報を得るために、現世とコンタクトをとる必要があると考えたリリアは黒魔術師を頼り、無事スマートフォンを手に入れた。
店に戻ると、クロウリーがオーダー通りの試作を作っていた。
しっくり来ないデザインに頭を悩ませていたが、シンプルな無地のものを試作としてランドロフに見せてみると、他の試作も見られてしまうことに。
しかし、全ての試作を気に入ったというランドロフ。
後日、選べないから任せるといった旨の手紙がリリアたちの元に届いた。
丸投げされ、困惑するリリアとクロウリー。
必死に考えた結果、『全部作ってみる』ことになった。
方向性は決まった。
我が社専属糸紡ぎ妖精フィル&チャルカ兄妹に使用する布の依頼をし、ドワーフの工房に赴いて、金具の注文を済ませる。
二週間で材料が完成すると、前回同様、クロウリーの縫製作業をサポートする。
彼が無理をしないよう、監視の意味も込めて。
そして、きっちり二週間かけて、商品が完成した。
早速ランドロフ様に完成の手紙を送ると、その日のうちに駆けつけてくれた。
騎士団ってひょっとしたら滅茶苦茶暇なのかもしれない。平和で何よりだ。
「ずっと楽しみにしていたんだ」
「ご期待に添えるよう、我々も力を尽くしました」
ランドロフ様はキラキラと目を輝かせた。
そう、悪い人じゃないんだ。ただ、性癖がヤバいだけで。
「念のため、先に今回のコンセプトをお伝えしますね」
ずばり、下着としての実用性は捨て、用途は個人で着けて楽しむという一点のみ。
女性用とは異なり、バストを保護したり、重みで生じる揺れを抑えたりする機能は不要と考え、アクセサリーとしての機能のみに絞り込んだ。
デザイン性に全振りできるとなると、その幅もかなり広がる。
「そ、そうか……」
「しかし、デザインに関しては、多様に楽しめるようにしてあります」
今回の商品は特に言葉での説明が難しい。
見せた方が早いので、テーブルの上によく見えるよう広げる。
男性向けのブラジャー。いわゆるメンズブラ。
妻とお揃いが良いというオーダーに合わせ、ミモザのブライダルインナーと同じ、淡いアイボリーのシルクから成る生地。装飾は無く、シンプルさが際立つ無地のデザイン。
つまり、二番目の試作とほとんど同じだ。
「もちろん、これだけではありません」
付属のチェーンを取り出し、机の上のブラジャーに装着した。
すなわち、取り外し可能のアクセサリー。
ゴールドのラメ糸からなるチェーンはミモザの花の刺繍が所々に連なっている。
こちらをつけることにより、全体がぐんと華やかな印象になる。
「おぉ……」
ランドロフ様が感嘆のため息を漏らした。
「まだまだ、こんなもんじゃありません」
ニヤリ、と笑みを浮かべた。
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