メンズブラ14〜騎士団は超ホワイトな優良企業〜
リリアの元に、最近他の女性と挙式を上げた元婚約者のランドロフ卿が訪ねてきた。
「自分の下着も作って欲しい」
ランドロフ卿のまさかの発言に、リリアは耳を疑った。
そして、なんやかんやで、依頼を引き受けることになったリリア達。
しかし、メンズブラに関して、何も情報がない。
少しでも情報を得るために、現世とコンタクトをとる必要があると考えたリリアは黒魔術師を頼り、無事スマートフォンを手に入れた。
店に戻ると、クロウリーがオーダー通りの試作を作っていた。
しっくり来ないデザインに頭を悩ませていたが、シンプルな無地のものを試作としてランドロフに見せてみることにした。
変態とはいえ、ランドロフ様とて一応騎士団長だ。多忙の中、わざわざ来てもらうのは難しい可能性が高い。来店をお願いする手紙をダメ元で送ってみると、なんと翌日には店を訪れてくれた。
「お忙しいところ、申し訳ありません」
「いや、大丈夫。昨年の繰越分を合わせると有給が二十日ほど未消化でね。ありがたく使わせてもらったんだ」
なんというホワイト企業。
羨ましい。もとい、ウチも見習わなければ。
「それで、完成したのか?」
「一応試作を作らせて頂きましたので、確認をお願いしたくて……」
ふむ、とランドロフ様は頷いた。
「こちらです」
二番目の試作である、アイボリーのシンプルなデザインの下着をスッと差し出した。
ランドロフ様はそれを手に取ると、ひらりと広げてみせた。じっと見つめ、よく吟味するランドロフ様の真剣な眼差しに見惚れそうになるが、手にしているのはメンズブラでなんとか正気に戻れた。
「実に良い」
ランドロフ様の満足げな言葉に、そっと胸を撫で下ろす。
どれだけ出来に納得できなくても、顧客の希望を叶えなければならない。それがオーダーメイドの持ち味だから。
素人に毛が生えた私でも、そう強く確信する。
「こちらで頼……ん?」
上から布を掛け、こっそり隠してあったハギレの山。それらを見て、ランドロフ様は何かに気付いた。
「それは……?」
「いくつか試作を作ってみたんですが……まぁいわゆるボツです」
「見ても?」
断り辛くて、つい頷いてしまった。
ボツを見られるのは正直気が引ける。
こんなことになるのなら、綺麗に掃除しておくんだった。
ランドロフ様は他の試作を先ほど同様に穴が開くほど見つめてから、ため息を一つ吐いた。
何を言われるのだろう。最悪、怒らせてしまったかもしれない。
戦々恐々と、言葉を待つ。
「素晴らしい!」
そう言って、ランドロフ様は拍手をし出した。
どうしよう。困惑が止まらない。
「最初のも良かったが、これとこれも良いな」
「そ、そうですか?」
「ちょっと時間をくれないか?じっくり悩みたい」
「はぁ……」
そう言って、颯爽と帰っていった。
それから三日後、手紙が届いた。
送り主はランドロフ様。
手紙にはこう書いてあった。
『三つとも素晴らしくて選べなかったから、君たちに任せる』
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