表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/84

プロローグ3〜悪役令嬢、ブラジャーを買いに行く〜

町娘変装セットと書かれた箱には、白いブラウス、茶色のロングスカート、赤チェックのスカーフ、シンプルな革靴が入っていた。いわゆるファンタジーにありがちな、一般人女性のコスチュームが一式揃っている。

やはり下着はなく、私は大きく肩を落とした。

ノーブラとキツキツコルセットの、どちらがマシか。頭の中で天秤にかけてみる。


ブラウスは白。触った感じ、生地は薄め。


うん、仕方ない。うっかり透けるかもしれないし、ノーブラはナシ。今すぐにでも脱ぎたいけど、代わりの下着を手にするまで、このコルセットで我慢しよう。


それでも、煌びやかなドレスから着替えると、心まで軽くなった気がする。


この国のことも、自分のことも何もわからない。とりあえず、下着を手に入れてから今後のことは考えよう。


城下町へと繰り出すと、早速商店らしき建物があったので入ってみた。

店内を見て回ろうとすると、恰幅の良い女主人に呼び止められた。


「あれ?リリア様?」


なぜバレたし。

結構しっかり変装したつもりだったのに。

衝撃で言葉も出ない。


「その服、町娘変装セットだろ?うちの商品じゃないか」

「そ、そうだったかしら。オホホホホ……」


だったら仕方ないか。お嬢様っぽい言葉遣いで適当に誤魔化しておく。

令嬢と分かっていながらもやたらとフランクな物言いが気になるけど。

それでは、気を取り直して。


「ブ、ブラジャーをあるだけ見せてくれるかしら?あと、セットでショーツもお願いね」


恥ずかしくて女主人から目を逸らしつつも、悪役令嬢っぽく人差し指を顎に当てるポーズをしてみる。


「ブラジャー?ショーツ?なんだいそりゃ」


女主人は首を傾げた。

お願いだから、あってほしい。


「下着、なんですけど……」


令嬢なのに、元の人格がはみ出てつい敬語になってしまった。

危ない、危ない。


「あぁ、コルセットならあるよ」

「そうじゃなくて、締め付けないタイプが欲しいのだけれど……」

「……あんまり売れないけど、こういうのはどうだい?」


よかった、あるんだ。

ごそごそと奥に引っ込んだ女主人を、期待の瞳で待つ。

しばらくして、女主人が持ってきたものを見て私は絶句した。


だっっっっさ。


使い古した雑巾みたいな色のタンクトップらしきもの。生地感もヨレヨレで、半端なくイケてない。

嫌すぎる。絶対に着たくない。


「これしかないの?」

「あぁ。全然売れないから色褪せてこの色さ」

「本当に?」

「ないものはないねぇ。いっそ自分で作った方が早いんじゃないのかい?お父様のジュペリエール様にいつもみたいにおねだりしたら?」


女主人の言葉は決して冷たいものではない。むしろ、この体の持ち主とそれなりに親しかったのが伝わってくる。

でも。良くも悪くもポンコツな令嬢だったことも推測できた。


「お父様か……」


そうか、令嬢ならお金は掃いて捨てるほど持っているはず。

令嬢の父はジュペリエール伯爵というらしい。

帰ったら、一旦相談してみよう。


「とりあえず、これをちょうだい」


せっかく来たんだし、着るのは憚れるけど一応雑巾色のキャミソールを買っていくことにした。

面白いと思ったら評価・ブックマークして頂けると嬉しいです!

悪役令嬢が脱ノーブラして好みの下着を手に入れるために気合いを入れて続編を書きたいので、よろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ