ブライダルインナー5〜毛布掛けイベントでドキドキしてる場合じゃない〜
悪役令嬢に転生した『私』はコルセットよりも快適でデザイン性の高い下着を作るために、下着屋を作ることになった。
リリアは恋敵のミモザからブライダルインナーの依頼を受け、頭を悩ませている。
「ただいま戻りました」
「どうだった?」
「生地は二週間でなんとかなりそうですわ」
「……よし、俺達も負けてられないな」
店に帰り次第、急ピッチで仕事に取り掛かる。
生地がなくてもやるべきことはたくさんあった。
採寸したサイズを元に型紙を作り、試作用の生地を裁断し、縫製していく。基本的な作業はクロウリー中心だが、型紙を切ったり、縫製の補佐をしたりと大忙しだ。
試作を繰り返し、改善していく。必死にアイデアを絞り出し、理想へと近付けていく。
泊まり込みで仕事をするクロウリーが倒れないよう、健康管理にも気を配った。突っ伏したまま寝ている彼に毛布をかけるドキドキイベントもあったが、恋愛にうつつを抜かしている場合ではないので、寝顔を眺めるくらいにしておいた。
そんな日々が二週間続いた。
そして、待ちに待った生地の納品。
フィン達から受け取ったシルクの生地は想像以上に素晴らしいものだった。
純白ながらも、温かみのある発色。そして、最高級パールの如き光沢。
アロマオイル練り込んだかのような華やかな香りと滑らかさ。
「すごい……手触りといい光沢といい、完璧です」
「当たり前だろ。誰だと思ってるんだ」
「この香りは……?」
「ウチのアイデアでアカシアのフレグランスを練り込んだいたんだ」
「まったく、余計なことばかりして」
「フィンちはガチで寝る間も惜しんで頑張ってたかんね」
「お前はきっちり九時間寝てたけどな」
「そうだっけ?頑張ったからおっけーおっけー!」
偉そうにしているが、フィンの目の下には隈がくっきりと残っている。
隣のチャルカも、ネイルの根元が伸びている。しばらくケアしていない証拠だ。
二人とも身を削ってまで、頑張ってくれた。
そう思うと、まだまだ頑張れそうだ。
この生地を使って、最高のブライダルインナーを作ってみせる。
その思いを胸に、ひたすら仕事に励んだ。
決して失敗は許されない。生地を無駄にするわけにはいかない、というクロウリーの緊張が伝わってくる。
彼のメンタルは目に見えてすり減っていた。
彼が一人にならないよう、よりいっそう言葉をかける。
これくらいしかできない自分が、ただ歯痒かった。
そして、ようやく完成間近。
一ヶ月後という期日にもギリギリ間に合いそうだ。
ほっと安心していると、室内に慌ただしくノックの音が響き渡った。
「オイ、大変だ!」
店にやって来たのは、血相を変えたフィンとチャルカだった。
「どうかしましたの?」
「ランドロフとミモザの結婚式が始まってる!」
なんですって。
そう驚いて、クロウリーと顔を見合わせた。
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