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初めてのお客様2〜えっちを通り越してもはやドスケベの域〜

スンスンと泣くフローレンスを落ち着かせ、ようやくカウンセリングが始められそうだ。男性がいたら話しづらいかもしれない、とクロウリーに一旦席を外させる。


「それで、どういった下着がご所望ですの?キュート系とか?セクシー系とか?」

「……私、最近『サキュこい』にハマってて……」

「サキュこい?」

「『サキュバスでもガチ恋しちゃっていいですか?』っていう恋愛小説なんですけど、そこに出てくるサキュバスのハニーナちゃんみたいな感じだったら、素敵だなぁって……」


これです、とフローレンスから本を渡された。なりたいモデルがいるのなら、話が早くてありがたい。

どれどれ、と表紙を見て、私は白目を剥きそうになった。


「なんですかこのエッロイ女!」

「ですよね!えっちですよね!」


表紙のイラストには、服というよりはほとんど布を纏った巨乳のサキュバスが描かれている。大事なところだけ隠れているだけで、ほぼ全裸みたいなものだ。

えっちを通り越して、もはやドスケベ。

最近の中学生はこんなものを読んでいるのか、とショックを受けたが、それくらいの頃は自分もちょっとえっちな少女漫画をドキドキしながら隠れて読んでいた。

どの世界でも、思春期に起こりがちなことは同じなのかも。


「私が一番好きなのは三話の誘惑シーンで、グレイの部屋に夜這いに行くところなんか特に良くって……」


フローレンスは限界オタク丸出しでサキュ恋への愛を語り続けている。


しかし、初っ端からなかなか難しい依頼が来てしまった。流石にこのサキュバスの格好をそのままコピーするわけにもいかない。露出狂まっしぐらだ。

サキュバスをイメージした下着といえば、やっぱり黒だろうか。華やかな大ぶりのレースを散りばめ、これでもかというくらいセクシーにすれば、それっぽいのはできる気がするけど。

少し安直過ぎるか。


「でも、ハニーナちゃんはこう見えて意外と奥手なんです、だから……」


限界オタクの早口語りを聞き流しながら、頭の中で色々イメージを巡らせる。

散々語り尽くして満足したのか、「ごめんなさい、塾の時間になっちゃった……また来ます」

と家に帰っていった。


そして、ようやく終わったのか、と呆れ気味のクロウリーが部屋に戻ってきた。経緯を話すと、クロウリーは苦笑いを浮かべた。


「そりゃ大変だったな。でも良かったのか?あの子のを作るとなると、アンタは後回しになるが……」

「まぁ、構いませんわ。雑巾ブラジャーのゴワゴワ感にも慣れてきましたし、それに……可愛い下着は女子の夢、ですから」


とりあえず、もう少し考えてみよう。


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悪役令嬢が好みの下着を手に入れるために気合いを入れて続編を書きたいので、よろしくお願いします!


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