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スカウト2〜ダメ、ゼッタイ、やりがい搾取〜

「帰れ。俺は意地でも働かない。働いたら負けだ」


通称、ファイアのフィル。かつては腕利きの糸紡ぎ妖精だったが、ブラックな環境に耐えきれず退職。それ以来定職に就かず、資産運用で生計を立てているらしい。


ドアをノックし、名前と用件を伝える。すると、ボソボソとした返事が聞こえてきた。


案の定、変人だ。これはあくまで偏見だけど、現世でもファイアしている人はちょっと変わった人が多かった気がする。


どうやってスカウトすべきか。働きたくなるような魅力的な職場とは一体何なのか。

まさか異世界転生し、悪役令嬢の身で職場作りについて考えることになるとは。

かつて、自分も就職活動をした。履歴書を書き、面接を受け、お祈りメールを受け取る。それを何度も繰り返し、時には涙したこともある。

最終的に、お世辞にもホワイト企業とは言えない会社の経理部でOLをしていたわけだけど、巡り巡って今は悪役令嬢、そして下着屋開店準備中。


「うちの会社は超ホワイトですわよ」

「ブラック会社ほどホワイト企業アピールするんだ」


「週休完全二日制。残業はゼロとは言えませんが、月10時間以内を規定としています。夏季冬季休暇あり。有給取得率99.8パーセント。社宅はありませんが、家賃補助を半分出しますわ」


自分が働きたくなるような、理想的かつ雇用主としても現実的な条件。言ったからには実現しなければならないが、雇用主の努力や工夫でなんとかするしかない。


「育休産休介護休暇あり。新店舗ですので、ピカピカの職場で働けます。どうですか?少しは考えていただけたら……」

「嫌だね。だって既に不動産収入で稼げてるんだから」


働かなくていいのなら、働きたくない。その気持ちは痛いほど分かる。私だって、彼と同じ立場ならきっと同じことを言うだろう。

働かなくていいのに、働きたくなる。そう思わせるには、根本からアプローチを変えなければいけない。


「……やりがい、に関してはどう思われますか?」

「戯言だ。人を使う側が聞こえのいいことを言っているだけのな」

「同感です。やりがい搾取、という言葉もあるくらいですから」


しばらく沈黙が続いた後、入れ、の言葉と共にがちゃりと扉が開いた。



面白いと思ったら評価・ブックマークして頂けると嬉しいです!

悪役令嬢が好みの下着を手に入れるために気合いを入れて続編を書きたいので、よろしくお願いします!


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