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小さな淑女たちのお茶会


そんな日々の中、私が八歳、エマが七歳の春に公爵家から茶会の招待状が届きました。

貴族社会において、令嬢方の交流会は六歳から九歳の間に行われます。いわば、茶会デビューと言ったところでしょうか。

そこで初めて他の貴族令嬢達との交流がなされるのです。

もっとも、家同士の付き合いなどが大きく関係してきますが、友人を作る機会でもあるのです。


サンドラお姉様は六歳から既に「お茶会」に参加されております。

比較的早いデビューでしたが、マナーの完璧なサンドラお姉様ですから、当然かもしれません。

因みに、サンドラお姉様がペルー侯爵家で「お茶会」をされたことは一度もありません。

こんな事を言うと、サンドラお姉様が主催者側にまわらない不出来な令嬢に聞こえてしまうかもしれませんが、ペルー侯爵家には年がら年中訪れる親族とエマがいるのです。

彼らがいるのに「お茶会」など開けるはずありません。そのような事をしたら、ペルー侯爵家の「恥」を外部に漏らしてしまう事請け合いです。

なので、サンドラお姉様は、ブラトン伯爵家で「お茶会」を主宰しておりますわ。

叔父様も快く承知してくださったとか。


もっとも、サンドラお姉様としては、私とエマが同類に見られたらたまらない、との事です。


「私の可愛いメアリーがお転婆さん(じゃじゃ馬)軽やかな(頭空っぽ)エマと一緒にされたら大変だもの」


麗しい笑みを言い放ったサンドラお姉様ですが、ひょっとして、エマの事をお嫌いなのでは?と思う事が少々あります。


まぁ、”完璧の淑女”とまで言われるサンドラお姉様ですから、致し方ありません。


そして、初となる「お茶会」の舞台は公爵家。

断わることは決して出来ない上位の相手です。

お母様もエマのマナーの出来は知っていますから、かなり難しいお顔をしております。未だに貴族令嬢としての挨拶も出来ないエマです。「お茶会」で何も起こらないはずがありません。


お茶会の招待状を受け取って喜んでいるのは、お義父様とエマだけです。

エマはこの晴れの舞台に向けて、ドレスを新調して欲しいとお義父様に可愛らしくオネダリしています。「お茶会」の主役は自分だと言わんばかりの熱気です。

自分に似合うドレスはどんなものか、より可愛らしく見せる方法、引き立てる小物類をライカと共に熱心に鏡の前で話し合っていました。


エマの場合、自分を着飾らせるよりも、マトモな挨拶をできるように練習する方が先なのでは? 


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