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義妹の新しい家庭教師


エマの家庭教師は、ペルー侯爵家の縁戚にあたる男爵家の女性が新たに就任した。

男爵家の次女である若い女性は、最近、離婚したばかりだったのだ。

相手側の有責での離婚であったが、女性が実家に出戻ることは不名誉と言われるため、帰った実家にも居辛かった彼女にとって、親族の勧める働き口は渡りに船であった。


女性はローズという名前で、その名の通り、華やかな美人であった。


この新しい家庭教師にエマは懐いた。

以前の家庭教師と違って、エマに優しく甘いのだ。まるで姉のようだとエマは喜んだ。ローズの授業では今までと違って眠る事もなく、かといって脱走することもなくなった。

真面目に授業に取り組むようになったのである。

その状況にエドワードも親族たちも喜んだ。

特にエドワードはローズに対して信頼を置き始めたのである。

何しろ、ローズが家庭教師になってから、その教育課程の進行具合は確実に上がったのだから、それも当然かもしれない。


だが、その教育は以前からの教育の諸々がかなり下回ることを意味していた。

ローズは男爵令嬢である。嫁ぎ先も下位貴族だったのだ。

彼女がエマに教えているのは、下位貴族の教育課程であり、礼儀作法である。


本来、高位貴族と下位貴族とでは淑女教育のレベルが違う。

下位貴族に許されることでも、高位貴族では許されない事が多々ある。裾の持ち方から歩き方、お辞儀一つとってもその違いは明らかなのだ。


そもそも、高位貴族の礼儀作法を教えるにはそれなりの人物から学ぶ。それは、王宮の元上級女官や、その専門機関、または母親から教わるのが常識であった。

現にサンドラは母親であるカトリーヌから学び終わっているし、メアリーは母親と家庭教師の両方から教わっている最中でもあった。


高位貴族のマナーをエマはこの瞬間、放棄したことを意味した。

それが如何に愚かな事か、侯爵家の者達は気付かなかった。

いや、カトリーヌとサンドラは気が付いていたが、これ以上、言う言葉が彼女達にはなかったのだ。


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