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母の離婚と三度目の結婚


お母様がお義父様と離婚しました。

理由は簡単なことで、ローズがお義父様の子供を身ごもった事が切っ掛けです。

エマの不出来さとそれに今まで気付かなかった自分の不甲斐なさで落ち込んでいたお義父様を慰めていていつしかそういう関係になったそうです。お義父様は兎も角、ローズは間違いなく確信犯でしょう。


お義父様の有責での離婚でしたが、お母様は慰謝料はお取りにならなかったそうです。

お母様曰く、これから大変なのだから、とのことで、お義父様を終始憐れんだ眼差しを向けておられました。

もっとも、お義父様を憐れむよりもこれ以上ペルー侯爵家に関わりたくない気持ちの方が大きいようですが……

離婚話の時に無理やりついてきたローズと親族たちを見ればそれも理解できます。

親族たちに付き添われ、ローズは贅を尽くしたドレスに身を包んでの登場でした。身重なのですからコルセットをそんなに締め付けて大丈夫なのでしょうか?とつい心配してしまうほどでした。

勝ち誇った笑顔のローズとご満悦な親族らを交えてのこれからの契約を交わしたのです。

項垂れたお義父様を放っておいて、お母様が今後一切、自分たち母娘に関わらないという書類にサインをさせました。事実上の絶縁と共に法律で縛り上げたのです。

もし関わって来たり、私的に会おうとしたりすると法的に罰金を支払わされる契約まで盛り込まれておりました。念には念をという事でしょうか。罰金の金額も有り得ない高額なもので、凄いとしか言いようがありません。完全に縁を切ってしまって、金輪際関わり合いになりたくない事がわかる書面でした。



それから一年後、なんと、お母様と叔父様は結婚しました。

叔父様はずっとお母様の事がお好きだったらしく、それ故に結婚しなかったそうです。お義父様との再婚話が出た時はまだ若造に過ぎなかったため何も言いだせなかったそうですが、今回はもう他の人に取られたくないと猛烈なアピールでお母様を落としたそうです。

お陰で、母娘共々、新婚という状態なのです。

若い私たち夫婦よりもお母様たちの方が熱々なため、何時、私に弟や妹が出来ても驚きません。

紆余曲折の末に漸く落ち着くところに落ち着いた感じです。



この後、王太子夫妻の間に数多の王子と王女が生まれ、全員が母親似の美貌の持ち主として国民の人気回復に繋げたことは大変喜ばしく、母親に似ない優秀な王族として成長を遂げた時は、教育の大切さをしみじみと実感いたしました。

美しい王太子妃として、脚光を浴びたエマでしたが、その御伽話のような結婚式とは裏腹に、時が経つにつれ忘れられ、何時しか話題に上る事もなくなった頃、病によって亡くなったと発表されました。

王妃(エマ)が亡くなった頃には既にペルー侯爵家は親族共々没落しており、嘗ての義父も心の病で病院から一歩も外に出られない状態だったそうです。

影の薄い王妃でしたので、葬儀もひっそりと執り行われました。


幼少から風邪一つ引いたことの無いエマが病とは…何やらきな臭い気もしなくは有りませんが詮索はいたしません。

ただ、王家としては役割を終えた者の処置をしたといった処なのでしょう。 

 


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