義妹はお飾りの妃!?
何を言っているのでしょう、この王太子殿下は!
王太子妃になるという事と、公務をする事は同列ですよ!?
何なんですか?公務をしない妃とは?
それは妃とは言えませんよ?
両陛下も流石に呆気にとられたようで、信じられない目で王太子殿下を見ています。
「エマほど美しく愛らしい女性はいない! 彼女との間に生まれてくる子供達は、皆、眉目秀麗に違いない! 美しい王子や王女の国民も喜ぶことだろう!!!」
確かに美しいという事はそれ自体に大変な力があります。
国民も綺麗な王族がいれば人気も上がる事でしょうけれど、妃の仕事は子供を生む事だけではありませんよ?
「生まれた子供達には一流の教師を付けて教育すればいいだけの事です! そうすれば、美しく賢い王族が誕生します!!! なにも問題ないではないですか!」
…それはエマが子供の教育に関われない事を意味するのでは?
公務を一切しない妃では国内の貴族だけでなく、他国からも侮られますよ?
誹謗中傷にさらされるのはエマだけでなく、王家にも火の粉が降りかかることを理解されてないのかしら?
「エマに公務が出来ないのであれば、他の者達でそれらを補い合えば済むことです!
愛するエマには公務などで煩わされるよりも、夫である私に心身を尽くしてくれれば良いでは有りませんか!!!」
王太子殿下がバカな事を宣っています。
なんです?
エマの仕事は王太子殿下を癒し慰める事ですか?
それは妃というよりも愛妾のする事ですよ!
なら愛妾にした方が良いのでは?
何故、ワザワザ正妃に据えようとするのです!
正気ですか?
「心配はいらない! 公務をしない妃といって、嫌味を言ったり嫌がらせをしてくる者達から彼女を守るために、新たに宮殿を造ってしまえばいい事だ!
そこでの人の行き来も厳しく制限してしまえば、エマが傷つくことはない!」
…それは幽閉ではないのですか?
そんな事されるぐらいなら愛妾にされた方がマシです。
愛妾にして、数年後に家臣に下賜する形ではダメなのですか?
「エマ、私に君を守らせてくれ! 新しい宮殿で私の帰りを待っていて欲しい。エマの仕事は王太子である私の身も心も癒すことが最も重要な事なのだ! 分かってくれるね?」
王太子殿下は隣に座っているエマの両手を握りしめて、真っすぐのエマの目を見つめて熱く語っている。
率直な愛の告白に、エマも頬染めて王太子殿下の甘い雰囲気に酔っているようです。
お義父様は今にも倒れそうなほどに顔色を悪くされていますが、親族たちはエマ同様に王太子殿下の言葉に感動しております。




