未来の妃!?
当日のエマはそれはそれは美しかった。
ただでさえ一級品の美少女が、この日に為とばかりに着飾った姿は天使もかくやと言ったほどである。
髪には天使の輪っかが光り輝き、磨き抜かれた肌がなまめかしく、ぷっくりとしたサクランボの唇は思わずキスをしたくなるほど可憐で、選び抜かれたドレスは大人びた中に可愛らしさがあった。
それは、大人の女性と少女の中間である今のエマにしか着こなせない類にものであり、それがより一層彼女の魅力を引き立たせていた。
「メアリーお義姉様、そんな地味な格好で行くの?」
「…変かしら?」
「だって~、今日は王太子殿下のお妃選びよ? もっと可愛い恰好しないと選んでもらえないわよ~」
「…エマは今日一段と綺麗ね」
「あら、当たり前よ! 王子様を射止めないといけないんだもの!」
エマは自信満々の笑みで宣言し、メアリーは内心溜息を吐きながらそれを聞いたのである。
王家主催の夜会はそれは華やかであった。
光り輝くシャンデリア、白い大理石、一流の音楽隊が軽やかに奏でている。
その中で、王太子は招待客である令嬢達に挨拶をされた後に、会場の中央でダンスを踊っていた。
そうして夜会は盛況なうちに終わり、後日、王太子殿下のお相手が発表された。
選ばれた婚約者、未来の王太子妃はエマであった。




