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淑女たちの分析


「彼女、ある意味大物だわ。幼少期からの事を何とも思っていないんですもの。だからこそあのような事が出来るんですわ」


「そうですわね。あそこまで御自分を顧みない方も珍しいですわよ?」


「懲りもせずに、淑女らしからぬ振る舞いをなさるのは反省する意思が全くない証拠ですわね」


「あら? 反省する気がそもそもないのではなくて? 逆に感心するほどの図太さですわ」


「あれは彼女だけの問題ではありませんよ? ペルー侯爵家の親族も大いに問題ですもの」


「確かにそうですわね。あれでは他の者と上手くいかないのも当然ですわ」


今日も淑女たちの「お茶会」は一人の令嬢の話で盛り上がっております。

その令嬢の義姉である私も参加しておりますが、そんなことは知らない、とばかりに話は進むこと。


「でも彼女のおかげで、婚約が相手側の有責で解消できましたから良しとしましょう」


「ええ、誠実な殿方かそうでないかの見極めにもなりますからね」


「全くですわ。女性の色香に惑わされるような男性など御免被りますわ。ああいう輩が役人などになれば必ずハニートラップに引っかかって貴重な情報をペラペラと喋りますのよ」


「宰相であるお父様に既に報告済みですからご安心ください。彼が出世することはまず有りませんわ。でも、もしかしましたら別の役職をまわすかもしれませんわね。騙されやすい方は別の使い道もありますから」


「あら、素直なだけでは? でも仕方ありませんわね」


淑女たちの会話に政治の話は当然あります。

彼女たちは高位貴族なのですから。嫁ぎ先も国を支える者の元にいきますし、なかには婿を取って領地を統治する令嬢もいるのです。政治や経済に明るくないとやっていけません。

そんな彼女たちは『エマ』という存在を大いに利用しているのです。

主に、男性の見る目を。


エマに篭絡された男性は不合格の烙印を彼女達に押されているのです。そうなれば、もう出世は出来ませんし、婿入りなど以ての外。男性達はそのことを知りません。その方が精神的には、いいかもしれませんね。


「彼女の観察眼は侮れません。声を掛けているのは高位貴族が殆どですもの。

下位貴族では資産家ばかりです。狙っている訳でもありませんのに、恐ろしい嗅覚ですわ。

そうでない殿方は、見目良い方々ばかりです。あの方々は彼女にとってアクセサリーのような存在なのでしょうね。将来有望とはいえませんが、下位貴族の令嬢にとっては“憧れの君”もいましたもの」


高位貴族の跡取りにもエマは粉をかけていました。相手にされなかったようですけど。

跡継ぎとして厳しい教育を受けて来た男性にとって、エマのような女は侮蔑の対象なのです。遊びなら兎も角、妻にするなどトンデモナイ事故物件に他なりません。

何時、自分以外の男の子種を孕んでくるか分からない存在。

そう認識されています。

だからこそ、エマに騙されませんし、彼らは家では、そういった女性相手の教育も受けているのです。


令嬢達のエマの評価は実に的確でした。


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