義妹の評価
最初の「お茶会」以降、エマは貴族令嬢から大層嫌われた。
気まぐれなエマは、会話を途中で中断したり、途中で強引に会話に入ってきたり、高位貴族の令嬢に対して横柄な口を聞くなどのやりたい放題。
ある時には、突然、機嫌が悪くなって、主催者に挨拶もせずに帰って来てしまった事もあったのほど。
それだけでなく、他の令嬢が身に着けているアクセサリーを気に入ったと言う理由で奪うのだ。
いや、奪うとは少々違った。結果としては同じ事なのだが、エマ本人がその自覚がなかったのだ。
エマは他の令嬢に「見せて欲しい」と可愛らしくオネダリをして、見せてもらい、それを勝手に身に着けるや、「ありがとう」と言ってそのまま帰宅するのだった。
相手の令嬢も唖然とするほどの所業であった。
そういった事が何度もあり、当然というかトラブルになった。
無理もない事です。
再三にわたり注意を促しているのですが、改善する気配はありません。
「綺麗なネックレスをしているんですもの」
「私が身に着けているブローチよりも素敵だったのよ?」
「取っているわけじゃないわ。少し借りただけよ?」
「相手への許可? どうして必要なの? だってあの子が付けるよりも私が付けた方が何倍も似合っているわ」
「あら? あの子より数倍綺麗な私が使った方が宝石たちもより輝いて見えるわよ?」
と言った具合にまったく悪びれる様子はありません。
他の令嬢からの注意も聞かない上に、お母様が叱ってもその都度親族が乗り込んできてエマを庇うものですから、注意したところで、全く聞く耳を持ちません。
何しろ、エマ自身が悪いと思っていないのですから。
とうとう、侯爵家以上の家から「お茶会」にエマは呼ばれなくなりました。招待状が届かなくなったエマはヒステリーを起こしたのは言うまでもありません。
「どうしてお呼ばれがないの?」
「折角、私が参加してあげるのに招待状がないと入れないなんておかしいわ!」
「のけ者にするなんて酷いわ!」
「なんでこんな意地悪をするの?」
と言って嘆いていますけど、自業自得としか言いようがありません。
淑女らしからぬ態度と行動の数々、何事も限度というものがあります。
それに、相手側からペルー侯爵家に警告も来ましたが、いつもの如く親族たちのお門違いの対応に、相手側も呆れ果てておられました。
この事は、お義父様の耳にも当然入りました。
寧ろ、遅かったくらいです。
エマに甘いお義父様も、今回ばかりはきつく叱っていましたが、エマには効果がありませんでした。
どうも、何故叱られているのか、何が問題なのかも全く理解できていないようなのです。それでも、愛らしい姿で涙を流す姿は、反省しているといった風に見えてしまうのです。エマが何も言わずにポロポロと涙をこぼしていると、それだけで許してしまうお義父様も大概なのかもしれません。




