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いざアウストラリス山

 あれから二週間。

 メディアの町が『パビルサグ』に襲撃されることもなく。

 また、ヌンキでの救護活動も進んでいるとのことで、私達は準備期間の四日間を終えた。


「準備は良いであるな?」


 アンドレアスさんの掛け声に、頷く。

 今、私達はアウストラリス山の登頂用の入り口にいる。馬達と私達は雪山装備だ。

 アウストラリス山は雪山だからだ。

 標高なんかは計測されていないらしくて不明だけれど、かなり高くて入り組んでいるらしい。


 ここに来るまで、なぜか魔物にも『パビルサグ』にも襲われることがなかった。だからこそ。リュドヴィックさんは『何かある』と訝しんでいたし、ブリアック卿とアンドレアスさんも警戒していた。


 なので、私も気合を入れ直す。横目でオクト君を見ると、彼もまた、気合を入れているらしく、両手で顔をパシパシと叩いていた。それに苦笑すると、私達は山を登り始めた。


 ****


 最初は順調だった。だけれど、どんどん雑魚とはいえ魔物達が襲ってくるようになって……私達は思うように、進めずにいた。


 少し進んでは、魔物を倒し、そして休憩して、進んで……その繰り返し。


「くっそ! こいつら邪魔だぜ! ぜんっぜん進めねぇじゃねぇかよ!」


 オクト君がい苛立ちながら、目の前にいる一つ目の青い球体に羽の生えた魔物を縦に、真っ二つにする。


「それほど、この山は汚染されているということだろう! 抜かるなよ!」


 リュドヴィックさんにそう言われて、警戒心をあげる。


 私も苛立ちを隠せなくなってきていた。雑魚に絡まれている場合じゃないのに! 早く!

 

 ……気持ちばかりが焦る。

 双剣で切り裂きながら道を開き、進んで行く。今度は突然の吹雪が襲ってきた。


「ああー! もう! 頼むから、私達の邪魔をしないでくれよ!」


 私がそう叫ぶと、コダマのような反響音が響く。


 その時だった。


〔あらあら、大変そうねぇ。手伝ってあげましょうか?〕


 ややハスキーな、女の人の声が風に乗って聴こえてきた。


「な、なんだ!?」


「敵か?」


「何者であるか?」


「警戒」


 オクト君、リュドヴィックさん、アンドレアスさん、ブリアック卿が警戒を強める。


 この声は、みんなにも聞こえている? なら、サジタリウス様じゃない! けど、サテュロスでもない? なら、誰?


 思うや否や、私達は猛吹雪に包まれ意識を失った。


 ****


「うぅ……?」


 目を覚ますと、そこは白い空間だった。当たりを見渡しながらみんなの名前を呼ぶ。


「リュドヴィックさん! アンドレアスさん! ブリアック卿! オクト君!」


 だけれど、誰からも反応がない。というか、前後左右の感覚がない。段々と不安になってきた頃。

 突然目の前に、黒い魔女帽子に露出度の高い黒いドレスを着た、銀髪のグラマラスな美女が現れた。


「いらっしゃい。男前なのに可愛らしい『勇者』様?」

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