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リュドヴィックの圧

「本当に、何もわからないのですね……」


 神官様の言葉が辛い……ごめんなさい。事前情報仕入れてなかったの、もう(ゆる)して下さい……。

 そんな思いが伝わったのかはわからないけど、二人は話の続きを始めてくれた。


「それで、神官様。彼の『ギフト』はなんなのでしょうか?」


「そこまでは私ではわかりかねます。申し訳ございません」


 申し訳なさそうに謝る神官様を、リュドヴィックさんがなだめた。


「いえいえ、こちらこそ突然来てしまい、失礼致しました。この者につきましては、どうか自分にお任せを。聖騎士団員として、責任を持って管理致します。本日は、ありがとうございました」


 リュドヴィックさんはお礼を言うと、私に手招きして呼んだ。


「おい、行くぞ」


 神官様に一礼するとリュドヴィックさんは、教会から出て行ってしまった。私も慌てて後を追……おうとして、神官様の方へ向き直って頭を下げた。


「神官様、ありがとうございました!」


 うん。お礼がちゃんと伝えられてよかった。私は微笑む神官様に手を振りながら教会の外へ出た。


 ****


「あの〜リュドヴィックさん?」


 足早に歩くリュドヴィックさんになんとか追いつくと、真剣な声色で告げられた。


「これから、お前の処遇を決める。ただの記憶喪失ならと侮っていたが、『勇者』となれば話は変わるからな」


 その言葉に、私はますます困惑してしまった。


『勇者』ってそんなに大事なの……?


 そりゃ、ファンタジー作品においては『勇者』は特別っていうのは、流石の私にもわかる。わかるけど、いざ自分がってなると、全く実感が湧かない。

 私の気持ちなんて知る由もなく、リュドヴィックさんはどんどん進んで行った。

 しばらくして辿り着いたのは、白い石レンガ造りの建物の中でもひと回り大きく、上から大きな剣と薔薇がクロスした模様かな? それが描かれた垂れ幕のかかった建物だった。


「あの~? ここは一体……?」


 シンプルながらも荘厳な雰囲気に思わず息を飲む私に、リュドヴィックさんが教えてくれた。


「ここは、ルクバト聖騎士団のポーリス支部だ。今更になるが、オレはルクバト聖騎士団員でな? ここから本部に連絡して、お前をどうするか決めようと思う。いいな?」


 訊いているようでその実、『お前、文句ないよな?』という圧を痛いくらい感じた。

 その圧に屈した私は、深く頷く事しか出来なかった。

 だって、こんなに男の人から威圧されるなんて……『前世』じゃなかったんだもん。

 それに、まだ『男』の身体にも慣れてないし……仕方ないよね?

 言い訳を心の中でしながら、私は中へと入って行く。リュドヴィックさんの後に続いて。

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