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導きし者の正体

「うぅ? ここは?」


 身体がふわふわする感覚で目が覚めた。……覚めた?

 ……なんか、起きているような寝ているような……? ぼんやりするな……。


 そんなことを考えていると、目の前に淡い光が現れて思わず手で顔を隠す。

 光は弱くなっていき、徐々に形になっていった。その姿は、上半身が人間で下半身が馬の……。


「ケンタウロス……!?」


 私がそう言うと、ケンタウロス? の人? の姿がはっきりとしてきた。美しい金髪に金色の瞳。そして、立派な髭と肉体の男性がそこにはいた。


 はじめて見るケンタウロス? に驚いていると、あの声が目の前から聴こえて来た。


《我は『サジタリウス』。世界の神也》


「ということは……唯一神の?」


《左様》



「なんで私を転生させたの……ですか? それも男に?」


《貴殿が望んだ故に》


 望んだ? 私が?


《左様。そして、貴殿であるからこそ、我が世界を救済出来ると感じた故に……転生に至り》


 ちょ、ちょっと待って!!


「情報が多いよ! てか、心読まないでくれますか!?」


 私の苦情にサジタリウス神? は答えない。ただ、話を続けるだけだ。


《貴殿は自分を未だ認識されず》


 またそれですか!? どういう意味なのさ!!


《認識されよ。貴殿は……既に『過去』で在らず》


 過去では……ない?


《左様》


 つまり、どういうことなの……?


《この世界に脅威迫れり》


 話変えられた!?


《脅威の名は『サテュロス』。我であり、我でない者也》


 あの……話についていけないんですけど?


 サジタリウス神は私の方をずっと見たまま、顔色一つ変えずに告げた。


《貴殿なればこそ、果たせるであろう。そして、第二の生を生きられよ》


 その言葉を最後に、意識が遠のいていく。


 ちょっと! 何も解決してないんですけど……?


 私の思いも虚しく、サジタリウス神の姿がぼやけて行く。そして……。


 ****


「ううう?」


 目を覚ますと、そこは寮のベッドの上だった。ゆっくり身体を起こすと、日が落ちかけていた。


「うっそ!?」


 そんなに寝てたの!? いや、正確には寝てない……はず。覚えてるもの!


「サジタリウス神に、サテュロス……神?」


 正直何が脅威なのか全然わからないんだけど、それが私の転生の理由……の一つなんだろう。なんで私なのかとか、何度も言うけど解決してないけども!!


 悶々としていると、部屋の扉が開いて、オクト君が帰って来た。


「おっ、イグナート! ただいまーってどした? なに渋い顔してんだ?」


 オクト君の鋭い言葉に私は……あえて別の話題をする事にした。


「おかえり。いや、身体が鈍っている感じがしてさ……」


 実際、そんな気もしているから間違いではない。すると、オクト君が少し考える素振りをする。


「そっかー。まぁ、そうだよな。……うーんでも謹慎ってそういうもんだし? ま、気持ち切り替えてこーぜ? あと何日くらいだっけか?」


 そう訊かれ、私は数え出す。


「えっと、謹慎が始まって一週間と二日前だから……ざっと約二週間無いくらいかな?」


「おー案外まだまだなげぇな……」


 オクト君が優しくも哀れみの目で見てくる。その目やめて……オネガイ。


「まぁ、自業自得なんだけどね……あはは……」


 乾いた笑いしか出てこない。そんな私に、オクト君は優しく微笑む。


「そんじゃま、気分転換に飯食おうぜ?」


 ……本当に、オクト君は優しくて……良い人だ!


 こうして私は、団員服から着替えたオクト君と一緒に食堂へと向かうのだった。

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