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「ああ、彼がそうなのですね? ふふふ。ボクと同じエルフなんて、親近感が湧きますね。あ、ボクは『ランベール・デュゲ』と申します。ここの寮父をやっています。よろしくお願いしますね?」


 アルベリク団長とはまた違った声色だ。なんだろう? なんか、不思議というか……?


「イグナート・アウストラリスです。よろしくお願いします!」


 私は挨拶をする。自分で言うのもなんだけど、結構様になってきた気がするけど、どうなのかな?

 ランベールさんは微笑むと話を続けてくれた。


「ええ、よろしくお願いしますね。オクタヴィアン卿と同室ですので……鍵は彼にお渡しします」


 指名されたオクト君が近寄り、ランベールさんから鍵を受け取る。


「それじゃ……えっと、リュドヴィック卿はどうされます?」


「オレはあくまで教育係だからな。居場所が分かればいいから、部屋の案内は任せる」


 それだけ告げると、リュドヴィックさんは私の方を向く。その瞳には、圧は感じられて思わず身構えた。


「そういう訳だから、イグナート。オレは下で待っている。……案内が終わったら、鍛錬だからな?」


 やっぱり、そうですよね……。


「わ、わかりました……!」


「話はついたみたいですかね? んじゃ、俺達の部屋に行こうぜ、イグナート!」


 右端にある階段へと案内された。リュドヴィックさんは受付? と階段の間にある、ソファが置かれたスペースに移動していた。

 横目でリュドヴィックさんを見ながら、私はオクト君と一緒に階段を上がって行った。


 ****


「俺達の部屋は四階の……402号室な?」


「ってことは、階段から近い感じ?」


「おう! 大正解! ってことで、着いたぜ?」


 あっという間に部屋に辿り着く。鉄製っぽい扉には、部屋番号が書かれていた。


 あれ? 今更だけど……私、この世界の文字読めてる? 読めているよね?


 違和感なく読んでいた。文字を読めることが普通過ぎて気づかなかったけど……転生したこととなにか関係あるのかな?


「ん? どうした?」


 急に黙った私の方へ視線を向けて、オクト君が不思議そうな顔をする。


「いや、なんでもないよ。それより、中に入……らないか?」


 うん。

 無理しているのは充分理解してる。だけど、ここで引くわけにはいかない!

 理想に近づくためにも!


「そっか! ようこそ、部屋へ〜なんてな?」


 そう言って扉を開けてもらい、中に入った。

 広さは約十畳程で、左端に木製の二段ベッドがあり、真ん中に丸テーブルと椅子が二つ、そして右端に机を挟んで棚が置かれていた。


「トイレは入口隣の扉な? んで、湯浴み場は一階で……まぁ、そこは後で案内するとして……中、どうよ?」


「うん。……じゃなくて、ああ、広くて過ごしやすそう……だな!」


「お前結構気にすんのな? 仕草直しゃあ、言葉使いなんてなんとかなるって!」


 オクト君のフォローが痛い。……そんなに女々しいの? 嫌でも気になるんだけど……。


「おっと、俺はベッド上使ってっけど、お前はどうするよ?」


 落ち込んでる場合じゃなかった。っていうか……私、これからオクト君と生活するって、どうして行けばいいんだろう? 『前世の私』はそういうのと無縁だったから、正直困るんだけど?

 困惑と戸惑いを隠しつつ、私は返事をした。


「あ~……私は下でいいよ。その方がありがたいかな?」


「そっか! じゃ、そーゆうことで……早くリュドヴィック卿のとこ戻るか!」


「あんまり待たせたら悪いしね……」


 部屋を出て私達は一階に降り、再びリュドヴィックさんと合流した。教育係って、大変だよね? なんか、申し訳ないな……。


 そんな想いを抱きつつ、私はリュドヴィックさんの方へ視線を向けるのだった。

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