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魔力極振りの迷宮探索  作者: 大山 たろう
第二章 体育祭
7/33

生徒会長の判断

 翌日。


 「拓海、生徒会長に呼び出されたんだって?何があったんだ?」


 「え、そぉーなのぉー?」


 登校早々、徹と司に問い詰められる。未だ倦怠感(主に寝不足)があるから勘弁してほしいのだが。


 「ま、まぁな......人手がいるから、定期的に手伝ってほしい......みたいな?」


 拓海は適当にはぐらかすと、二人を置いてさっさと席に着いた。


 すると、隣に見慣れない女子が歩いてくる。


 「ねぇ、何かあったの?」


 隣に来たのは飯倉さん。

 事情を知らなさそうなのだが、勇者一行なので警戒しながら問題ない程度に話す。


 「昨日、放課後に呼び出されてね......」


 「あら、それはご苦労なこと。どうせトリマキみたいに侍らされるだけよ、早く離れてしまいなさい。あなた、いつもよりひどい顔よ。」


 なぜ彼女がここまで強く言うのかわからなかったが、実際は魔力を譲渡するだけなので、大丈夫だろう。てか今いつもひどい顔とか言わなかったか。

 「まぁ、つらくなったら相談するよ。その時はよろしく。」

 俺がそう言うと、飯塚さんは少し顔を赤らめながら、

 「ばっか、別に心配なわけじゃないからね!」

 と言い残し、勇者一行のほうへ戻っていった。


 次話す布石&ツンデレいただきましたー!

 これは今度相談という名目で二人でお話しできるカードを手に入れたってことだ!やったぜ!

 そう考えていると、背筋がぞ扉のほうから二対四つの嫉妬の視線。


 それから逃げるように俺は机にうつぶせになる。


 早く、チャイム鳴ってくれ......



 長かった嫉妬の時間も終わり、先生がいつものように眠そうに入ってくる。

 連絡事項も特にないようで、出席だけ確認すると、さっさと教室を立ち去ってしまった。


 そういえばあいつらとばったり会う可能性あるんだな......前ボススライムからドロップした仮面でもつけようかな。先に呪いがないか確認してから......


 そう考え、鑑定持ちの司か、詳細鑑定があるが頼みづらい会長に頼むか悩むのであった。



 結局、放課後に生徒会室を訪れた俺。

 魔力譲渡の日程やペースを決めていなかったため、ちょうどよいと思ったのだ。

 同じバッグを持ってきているため、入れっぱなしになっていた仮面を取り出すと、会長に見せる。


 「すみません、これの詳細鑑定お願いしていいですか?」


 と聞くと、会長は悪い笑みを浮かべながら、俺にこう問う。


 「まさか、ただでって言わないよね?」


 やっぱり対価を求められるか。まぁ、この人だから、おそらく......


 「一回分で」


 「二回分」


 やはり、この人に交渉で勝てる気がしない。俺はおとなしくその条件を飲むのであった。


 「これの結果は紙に......いや、携帯で情報送るわ。紙を渡されても処理が面倒でしょうし」


 「助かります」


 「電話番号これだから登録しといて。メッセージで送るわ」


 と渡されたのは電話番号の書かれた紙。今日はアポなしなのにここまでスムーズってことは......ここまで先輩の掌の上ってことか。ため息をついても仕方ないので、電話番号を登録した。


 先輩が携帯に打ち込んでいる間に、俺はもう一つの用事を済ませておく。


 「魔力譲渡はどれくらいに一回するんですか?」


 「うーん、そうねぇ......一日に一回、これがいっぱいになるまで、かな」


 そう言って渡されたのは小さいキューブ。これは恐らく魔力バッテリーだろう。しっかし、これ結構高いはずなんだが......


 「これは貯蓄できても百ってところね。しかも使い捨ての。再利用可能の時点で大型化するし、容量もそれ以上はどうしても大型化してしまって、家にも一つしかないわ。それで、どうかしら?」


 「それだけならお安い御用ですよ。『魔力譲渡』」


 すると、俺の魔力がぐんぐん吸われて、灰色だったバッテリーが少しずつ赤色になった。


 どれくらい吸われたのか確認する。


 「ステータスオープン」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

藍染 拓海 人間 男 魔力タンクlv10


HP10/10

MP50/200

筋力10

体力10

敏捷10

知力10

魔防10

器用10

幸運10


スキル

魔力譲渡lv2

魔力回復増加lv2

魔力操作lv1

支援魔法適正

スキルポイント   11

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 先輩が百って言っていたことから俺の魔力譲渡がロスを発生させていそうだ。


 そう推測を立てながら、先輩に報告する。


 「もう少しレベルが上がって、魔力譲渡もレベルが上がったら二個分行けそうです」


 「あら、それは良かった。とりあえず一週間分、預けておくわ。」

 そう言って今日の分を除いた六つ分を渡してくる。が、休日は迷宮にもぐるので補充はしたくない。


 「すみませんが、休日に迷宮にもぐる用がなくなるので今週はあと四つ分でお願いします」


 「わかったわ。では金曜日に持ってきて頂戴。その時にまた大事な話をするわ。」


 「わ、わかりました」


 大事な話というのが突っかかったが、金曜と言ったから教えてはくれないだろう。なのでおとなしくそう言って、生徒会室を出るのだった。


 その後、 先輩から送信されたデータを見る。


 そこには、こう書かれていた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

分体(ドッペルゲンガー)の仮面


キングスライムからドロップした仮面。


スキル 分体(ドッペルゲンガー) 習得(一回限り)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

!会長からの一言!

 これ、おそらくだけど仮面型スキルスクロールよ。つければ習得できるからつけちゃいなさい。


 とあった。スキルスクロールっていろんな形状あるんだな。にしてもドッペルゲンガーとは一体......


 呪いもないようなので、トイレに隠れ、一度装着する。


・スキル 分体(ドッペルゲンガー) 習得


・スキル 分体(ドッペルゲンガー) 使用可能


 そう聞こえたので、さっそく使うことにする。


 『 分体(ドッペルゲンガー)


 すると、急に視界がぐにゃりと曲がった。


 気が付くと、個室のトイレに男が二人いた。意識は俺があるから、俺が本隊......?しかし、相手側に俺と同じ自我がないとは限らないだろう。ここはひとつ。


 「自我はあるか。」


 と聞いてみた。すると、 分体(ドッペルゲンガー)は、首を横に振った。


 よし、俺が本体で間違いないだろう。


 「ステータスオープン」


 すると、いつもとは違う画面が出てきた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

藍染 拓海 人間 男 魔力タンクlv10


HP10/10

MP1/200

筋力10

体力10

敏捷10

知力10

魔防10

器用10

幸運10


スキル

魔力譲渡lv2

魔力回復増加lv2

魔力操作lv1

支援魔法適正

分体(ドッペルゲンガー) lv1

スキルポイント   11



分体(ドッペルゲンガー) 人間 男 


HP10/10

MP0/200

筋力10

体力10

敏捷10

知力10

魔防10

器用10

幸運10


スキル

魔力譲渡lv2

魔力操作lv1

支援魔法適正


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 なんと、 分体(ドッペルゲンガー)の状態まで表示されたではないか。

 しかも、レベルがない。これはもしかすると......


 ってか、MP50減ってんじゃねーか......スライム倒したときよりひどいなこりゃ......


 しかし、その名前に惹かれるものを感じ、実験をしたくなるのだが―――


 「これ、どーしよ......」


 仮面をつけた瓜二つの男の処理に戸惑うのだった。





 結論から言うと、なんか合体するようにして戻った。


 なんだかんだで金曜日の放課後に。

 月曜日以外は普通の学校生活だった。

 今日の放課後は生徒会室に魔力バッテリーを渡しにいく。

 生徒会室に入ると、生徒会長がやはり一人でいた。

 とりあえず、補充を任された四つの魔力バッテリーを渡す。


 「完璧ね。これからも頼むわ」


 「わかりました」


 「ところで、今日大事な話をするっていうのは覚えているか?」


 「あ......そういえばそうでしたね、何があるんですか?」


 「まぁ、そこにかけなさい。ゆっくり話しましょう」


 そういわれたので、いつものように向かい側の席に座る。

 すると、腕を組みながら、会長は何やら難しい顔をしている。


「とりあえず説明をするわ。あなたに任せたいのは体育祭の護衛よ。」


 「......細かく説明お願いします」


 俺がバレたくないというのは説明したはずなのだが。


「まぁ、そう慌てない」


そう手で制された。


 「まず、三年前からステータス所持者による事件が増えているのは知っているか?」


 「まぁ、ニュースでもよくやっているんで、一般常識程度には。」


 「それで十分。それで、この学校はゴールデンウィーク明けに体育祭がある。つまり、郊外から見知らぬ人が来ても違和感ない状況になる。ここまでの状況は理解できるわね?」


 「まぁ、理解できます......あぁ、そのために力には力で対抗するということですね?」


 「そういうこと。ちなみに、護衛対象は学校関係者及び生徒、そして保護者よ。そして護衛するのはあなたの 分体(ドッペルゲンガー)だけでいいわ。仮面をかぶっているから身バレの心配はないでしょう?」


 一応そこら辺まで考えてくれていたようだ。その条件で行こう。


 「わかりました。ちなみに敵が来るとか、何か情報とか予知でつかんでないんですか?」


 恐らくつかんでいながらも話していない。そしてその理由は恐らく......


 「今伝えるということは、未来が変わることと同義なの。だから当日、敵の場所を指示するわ。そうしないとズレが大きい。」

 まぁ、それが妥当か。

 「わかりました。貸し一つですよ」


 「貸し......ね。それを作るのがこれほど怖かった相手はこれまでの人生であなたが一番よ」


 「誉め言葉として受け取っておきます」


 そう言って、俺は生徒会室から立ち去る。


 この仕事に関しては、責任が伴う。なにせ命を守る職務を任されたわけだ。これは負けないように今まで以上にステータスの向上に努めなければ。


 そう考え、明日決行する作戦の詳細を詰めるように頭を酷使するのだった。





 そのころ、生徒会室。


 「あの仮面、五階層ボスレベルのドロップじゃないでしょう......」


 月曜日、仮面を鑑定したとき、生徒会長は嘘をついた。


 あの仮面が、ただものじゃないと一人知ったから。これは知るべきではないと思ったから。


 嘘と言っても、ほとんどの記述はあっていた。

 ただ、一文を隠した。それが今後どのような影響を及ぼすかなど、予知を持つ生徒会長ですら知らない。


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