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魔力極振りの迷宮探索  作者: 大山 たろう
第一章 入学
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入学、ステータス登録

 始まりの日から約三年


 四月七日

 俺藍染 拓海は、晴れて高校生となった。




 高校は家から自転車で行ける範囲で学校を選んだ。


 学力的にもちょうどよかったのもあるが、一番の理由はバイトができることだ。



 この国では、探索者という職業はバイトのできる学校なら登録することができる。


 つまり俺は





 探索者になりたいからこの学校を選んだといっても過言ではない!





 顔をニヤつかせていたら、ふいに脳内にあることがよぎった。



 しかし入学する以上勉強もしないとだよな



 と、一転これからの勉学に頭を悩ませながら、校門をくぐってすぐの駐輪場に自転車を止め、クラス割の表を見に行った。


 こんな名前のため、出席番号一番を見ていたら見つかる。


 お、あった。


 俺は一組かー


 一年一組一番って覚えやすいな


 とくだらないことを考えながら、一年校舎の階段を上がり、教室のある五階へ。



 教室の中へ入ると、数人の男女のうち一人がこちらに向かってきて―――ってまずい!







――――陽キャだ!



 そう感じた俺はとっさに斜め後ろへ下がる。



 しかしすぐに壁にぶつかってしまい、逃げ場がなくなった。


 「一年間よろしく! 僕は天ノ川 勇気!突然だけど、一緒に探索者にならない? 僕たち明日登録しようと思ってるんだけど!」

 

 「よ、よろしく...僕は藍染 拓海...です...探索者は...ちょっと...」


 「そうか...ごめんね!急にこんなこと言っちゃって!」


 そういうと、陽キャ...天ノ川 勇気は元居たクラスのところへ走って行ってしまった。そこには天ノ川のほかに男子一人と女子二人がいた。おそらく探索者仲間だろう。




 ってか天ノ川! 勇気!もうユニークジョブ勇者とか獲得しそうな名前だな!



 などと無駄なことを考えながらやっとの思いで座席表を見る。


 すると隣から茶髪の女子がやってきて


 「ごめん、ちょっと横ずれてくれない?」


 あ、前に堂々と突っ立ってると見えないよな。


 「ごめんごめん。」


 そういいながら横にずれる。


 (今の子、めっちゃ可愛かったなぁ......)

 髪は茶髪のロング、顔も好みでスタイルも良い!これは学年でも一、二を争う美女(知らんけど)だな!


 そんなことを考えていると、先ほどの女子が席に座る。名前は......飯倉 紗耶香か。よし、覚えた。


 っと、ストーカーまがいのことはやめて、俺の席はっと......お、やっぱりか。


 やはり出席番号一番の定めというべきか、一番前の一番左だった席に座り、荷物を下ろす。


 こんなかわいい子と同じクラスとは! 学校生活楽しみだ!


教室

 チャイムの音が校内に鳴り響く。


 周囲を見渡すと、見知らぬ男女が多種多様な反応を見せていた。

 ある男子は周囲を拒絶するように本を読み

 ある男子は周囲をまとめ上げるようにほかの人と会話をする

 ある女子は男子を値踏みするような視線を送り

 ある女子は周囲の視線を気にしておどおどしていた。


 まあ、学校が始まった反応としては一般的か...

 とりあえず陽キャのやばそうなやつは顔覚えとくか...


 すると、ガララッという音とともに扉が開く。

 入ってきたのは身長180くらいの細身の男性。


 顔がとても眠そうだが、大丈夫だろうか。


 という心配をよそに、その男は話をする。


 「えー、一年間このクラスの担任をする、高坂だ。よろしく。先に言っておくが、俺は怠惰にすごしていたい。だから面倒ごとは極力副担に言ってくれ。以上。次に今日のスケジュールだが入学式だけだ。時間まで待機。質問は?......ないようだな。それじゃ。」


 そう言うと、先生は教室から出て行った。


 なんというか見たまんまの先生だったな......ゆるそうで助かった!


 などと考えていると、大きな声が聞こえた。


 「みんな、聞いてくれ!ぼくは天ノ川 勇気。」

 

 教卓の前に一人の男子が立っていた。あれはさっきの陽キャか。


 「誰か、僕たちと一緒に探索者になってくれる人はいないだろうか?僕たちは明日登録に行くから、明日までに気が向いた人は僕のところに来てほしい!」


 と言うと、彼の友達らしきグループのもとへ戻っていった。

 このクラスには陽キャが多いらしい。なんと居心地の悪いことか。


 入学式になる。


 俺は言われた通り席に座る。


 校長先生は俺たちを気遣ってくれたのか、割と早い段階で話が終わった。


 が、次に来た髪の毛が寂しい教頭先生の話が長かった。

 高校生の自覚を持てだの、犯罪に手を染めるなだの、当たり前のことばかり言ってるくせに話が長い。

 と、うんざりしていると、ちょうど教頭先生の話も終わったようだ。


 次に、在校生挨拶で出てくるのは、生徒会長だった。




 カツ、カツ、カツ。




 小気味いい靴の音を鳴らしながら入ってきた生徒会長は、美しかった。

 先ほどの教頭のせいでぼーっとしていたら、名前を聞きそびれてしまったが、相当噂されているだろう。


 黒髪を腰元まで伸ばしている、胸が小さい以外は完璧超人と言われそうなほどのオーラ。

 その佇まいに、一瞬見ほれてしまった。


 彼女はマイクを近づけ、何も見ないで在校生挨拶を始めた。


 すげえすらすら読むな......


 一度もかむことなく終わった在校生挨拶の次は、新入生挨拶だ。誰が任されているか、毎度毎度知らないんだよな......


 と思っていると、よく知る名前が呼ばれた。


 「在校生代表、天ノ川 勇気君」


 おまえか!美人の先輩の後に、お前がしゃべるのか!


 少しうらやましい気持ちと、勇者に対するいら立ちが綯い交ぜになって、頭を抱えていた。



 気づけば、挨拶も終わり、式を終えるところだった。


 新入生から教室に戻るよう指示が出たので、教室に戻ろうと、会場になっていた体育館を出る。


 その時、会長と目が合った気がしたのは、たぶん気のせいだろう。


 俺は気に入られたなんて思わない人だからな!と思いながら教室に入る。



 全員が戻ってきたのを確認して。先生は「解散。」とだけ言い教室を去った。


 よし、俺も帰って探索者登録しに行くぞ!


 俺はウキウキしながら帰路を急ぐのだった。


ステータス

 家に帰ってからすぐに準備をする。


 証明書になる学生証と、昼ごはんと水筒を用意し、先ほどまで背負っていたカバンに詰めると、はやる気持ちを抑えながら自転車である場所へ向かう。


 向かう先は三年前、隕石が落下し、門が鎮座する場所......のすぐそばに建てられた三階建ての建物である。


 その建物は門の奥へと挑む職業、『探索者』のサポートをする、『探索者ギルド』の施設となっている。


 探索者ギルドの建物の外は、大きく囲うようにしてできた壁と、中から外へ敵対生物を逃がさないための門があった。


 俺は自転車を置き門を超え、役所の中にある登録窓口へ向かう。すでに数人が登録に来ているようで、少し待ち時間は発生したが、問題なくいけそうだ。


 順番が回ってきたので、俺は受付の前に行き、


 「登録しに来ました!」


 と、学生証を受付に提出する。


 受付の人は学生証を確認してから


 「はい。登録しますのでこちらの席にてお待ちください。」


 言われるがまま俺は銀行のように区切られたうちの一つに入ると、そこにある椅子に腰かける。


 一分もしないうちに、契約の紙を渡される。


 「親御さんにもサインをいただいた上で、次に来るときにここに出しに来てください。」


 「わかりました。」


 「ではステータス付与をしましょう。こちらに来てください」


 と言われたので、受付の人についていく。


 たくさんある部屋のうちの一つに入ると、水晶玉があった。


 「では、これからステータス付与に必要な魔法陣を体に書き込む作業をします。これくらいのサイズですので、とっさに触れる場所でどこかお選びください」


 「おすすめとかってありますか?」


 「多いのは手の甲や胸、変わった方だと太ももとかいましたね。個人の意見としましては、胸をお勧めします。心臓の真上あたりですね。」


 「じゃあそこにします。」

 

 「わかりました。では水晶玉に指で触れてください」


 水晶玉に触れる。すると指に張り付くようにして円形の魔法陣が出た。


 「それをシールのように貼ってください」


 俺は言われた通りにそれをシールのように胸に張る。


 「これでステータス付与は完了です。使い方はわかりますか?」


 「はい。大丈夫です」

 

 それについてはばっちり予習済みだ。


 俺は胸に刻まれた魔法陣に手を当てる。


 「ステータスオープン」


 すると、目の前に半透明のウィンドウが現れる。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

藍染 拓海 人間 男 無職 lv1


HP10/10

MP10/10

筋力10

体力10

敏捷10

知力10

魔防10

器用10

幸運10


スキル



スキルポイント   0

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 となっていた。



 「本日は、ここで終了です。探索者としての活動は書類を持ってきていただいてからになりますので、迷宮にはまだは入れません」


 「わかりました。」


 残念だが、仕方ない。

 

 探索者ギルドを出て、昼ごはんを口の中にかき込むと、それを水筒の水で流し込んでから、家へと帰るのであった。

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