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魔力極振りの迷宮探索  作者: 大山 たろう
第二章 体育祭
13/33

初のパーティー探索

「あ、そうだ、会長って名前なんて言うんですか? 前聞いてなくって......」


「あら、そうだったの。改めまして、私は飯塚 ......いや、やっぱりやめたわ。」


「えぇ......何でですか......」


「聞いていないほうが悪いんじゃない、それか紗耶香にでも聞いてみたら?」


 なぜ本人が教えてくれなくて、妹に聞けだなんていうのかわからないが、この人は教えてくれなさそうなので、さっさと話題を切り上げると、補充した魔力バッテリーをわたし、からの魔力バッテリーをもらう。


「それでは」


「え、えぇ。休日、頑張ってね」


 生徒会室を出ると、明日に備えるために準備を進めるのだった。



 そのころ、生徒会室では。


「......だったはずなのに!」


「私に縋りつくぐらいに! 名前を聞こうとしてくる未来のはずだったのに! どこで変わったのよポンコツ予知!」


 そう、彼女の見ていた予知結果では、拓海が名前をどうしても教えてほしい、と懇願するはずだったのだ。


 しかし、いつの間にか未来は変わっていた。特に今回不幸な未来を避けるために誰かに伝えたこともない。


 彼女には、未来が変わった理由がわからなかった。



 その理由は、今、わかるものではなかった。




 あれから、約四か月。


 夏休み最終日。


 え?夏休み?俺が毎日パソコン触って迷宮潜ってレベル上がらずに家に帰る話が聞きたいのかね?


 飯塚姉妹からお誘いはきたが、俺はそこへと向かう勇気などない。

 あの美女二人に囲まれて、我慢できないほうが正常だろう。


 あんなこんなあったが、ステータスはこうなった。


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 藍染 拓海 人間 男 強化型歩く魔力タンクlv32


 HP10/10

 MP288000/288000

 筋力10

 体力10

 敏捷10

 知力10

 魔防10

 器用10

 幸運10


 スキル

 魔力譲渡lv8

 魔力回復増加lv9

 魔力操作lv5

 支援魔法lv4

 感覚強化lv9

 隠密lv5

 暗視lv7

 #狂化_バーサーク__#lv7

 分体(ドッペルゲンガー) lv9

 スキルポイント   109



 分体(ドッペルゲンガー) 人間 男 


 HP10/10

 MP0/288000

 筋力10

 体力10

 敏捷10

 知力10

 魔防10

 器用10

 幸運10


 スキル

 魔力譲渡lv8

 魔力操作lv5

 支援魔法lv4

 感覚強化lv9

 隠密lv5

 暗視lv7

 #狂化_バーサーク__#lv7

 幻術眼lv2

 偽装lv4

 罠感知lv3


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 今では九千ずつ上昇していく魔力値。

 しかし、ほかのステータスはやはり上昇しないか。


 俺はこの段階で九千上昇ははっきり言って異常だが、最終職になるとこれくらい上がってるやつはゴロゴロいる。


 それよりも上昇しない弊害がここで出てきてしまった。


 身体強化とかも見様見真似である程度様になってくるが、そっちは実際の数値は上昇しないので、一部攻撃が思ったより弱い。


 これだと俺は、百階層だなんていけないだろう。


 このステータスで現在60階層だ。


 半分行ってる、と思ったかもしれないが、これから上は魔物が知能を持っているのか、さらに攻略が遅くなる。


 しかもマップデータが一般公開されておらず、大会社と契約している一部の探索者だけが閲覧できる仕様のため俺はさらに進行ペースが遅くなっている。


 それに加えて夏休みも終わり、長期的に迷宮にもぐれない。


 解決策などあるはずもなく、俺はあきらめたように足から魔力で体を射出すると、学校付近まで一気に上空を吹っ飛ぶ。


 街中で魔法を使おうと問題ないが、事件などになった場合は通常より厳しい罰が与えられるそうだ。が、飛行機が飛ぶくらいの高さを飛ぼうとか言っているわけでもないので、大丈夫だ。


 久しぶりの学校へと向かう。門にいたのは生徒会長の......ああ、まだ名前聞いてないや。まぁ、いいや、生徒会長が門で仁王立ちしていた。


「ねぇ、拓海君?」


「はい、なんでしょう?」


「あなた、夏休み、連絡取れなかったけど、どこいたの?」

 そう聞かれた。後ろに鬼を携えながら。


「何処って、想像の通りですよ」


「あなた、魔法バッテリー補充お願いできないせいで、私の予知、溜まってるんだけど?」


 あぁ。忘れてた。そういえば夏休みあってないから、そりゃそうなるか。


「今すぐ補充なさい。」


「生徒会室でしてきますね」


 そう言って、さっさと校門をくぐると、教室へと向かう前に生徒会室へと向かった。


 中にあったのは、今までの比にならない、大きな机から零れ落ちるほどの魔力バッテリーだった。


「これ、補充しなさい。できるまで泊まり込みよ。」


「......は?」


「は?とはどの口が言うのですか。私も......一緒に泊まり込みますから、魔力を早く補充してください!」


 確かに、予知を使えないのは困るだろう。未来が見えていた人が、急に未来が見られなくなるのだから、不安でいっぱいだったはずだ。なんか心読める人もそうだとか聞いたことあるし。


「はい、補充しました」


 俺はすぐにすべてのバッテリーに魔力譲渡を行うと、さっさと生徒会室を出ようとした。


「ちょっと待ちなさい。全部、できたっていうの?」


「そうですよ、終わったので、教室へと戻ります」


「......そう。あなた、偽装スキルもレベル高くなっているのね」


 なぜ偽装スキルが今ここで?あ、そうか。俺が偽装でバッテリーを隠したとか、バッテリーを赤く見せているとかと言いたいのか。


「正真正銘、すべて補充してありますが」


「そうじゃなくて......はぁ。もういいわ。教室へと戻りなさい」


 そういわれたので、おとなしく教室へと戻る。


 しかし、一学期とは違って研ぎ澄まされた精神と、レベルが上がった感覚強化が、そのつぶやきを聞き逃さなかった。


「読心も使えないなんて......どうしろっていうのよ」



 そうか。心を読まれていたのか。一学期あれだけ心を読んだような返答をしてきて、あれだけ余裕があったのもそういう理由なのか。

 しかし、俺は偽装で心を読まれないようにしたから、レベルが足りなくて読めなかった、と。


 会長一学期そんなことしてたのか。そう思いながらクーラーのきいた教室へと入る。中には結構な人数がいた。試しに魔眼で覗いてみよう。


 俺は目に魔力を少し通す。すると、視界にいろいろな色の魔力が見えた。

 数人色が見えるな―とか思っていたら、天ノ川が教室へと入ってきた。あいつは......白。魔力量もまぁまぁ多い。色も真っ白で、極光の勇者してるようだった。



 なんて見ていると、飯塚 紗耶香がこっちに近づいてきて、ひっそりと話しかけてきた。


「ねぇ、あなた、なんで魔力なくなってるの?」


「これは.....偽装でちょっといじった?」


「あぁ......なるほど! それならよかった」


「よかった?」


「えっ、まぁ......こっちの話! じゃあ行くね!」


 彼女はとたんに顔を赤くしたかと思うと、自分の席へと座って、すぐに寝てしまった。


 彼女は俺のこと知ってるし、今度徹と司もつれて四人で迷宮行ってみるか。


 次に来たのは徹と司だ。


 二人も結構迷宮へと行っていたようだ。


「おっす」


「久しぶりぃ、拓海」


 俺の席まで来て話しかけてきた。

 司はともかくとして、徹がイメチェンした!


 今まで、髪も長く、何物も近づけさせない眼力を放っていたのに、今は髪の毛もさっぱりしていて、眼鏡からコンタクトにしていた。しかも近接職をするから日常生活の筋力も上げると言っていたが、こんな細マッチョに仕上がるとは......


「そっちはどうだ!」


「まぁ、順調だよ」


「二人とも、この後は食堂でお話ししよっか」


 そう司にさえぎられた。仕方ないので俺は話すのをやめると、机に突っ伏した。


 チャイムが鳴り、教室のドアが開く。入ってきたのは変わらぬ先生が。



「みんな、問題を起こさなかったようで何よりだ。プリントはこれ。以上」


 やっぱやる気ねぇ......渡されたプリントをカバンに入れると、始業式のため体育館へと移動する。


「なぁ、徹、司、それから......飯塚さん! ちょっといい!」


 そう呼ぶと、二人は不思議そうにこっちへと来て、飯塚さんはやはり顔が赤いがこっちへと来てくれた。


「なぁ、今度一緒に四人で迷宮いかね?」


「「「えっ」」」


 真っ先に帰ってきたのはその言葉だった。


「まぁ、三人グルだったのは知ってたけど、今まで一緒じゃなかったの?」


「僕、戦闘苦手だけどぉ......いこっか!」


「まさかお前から誘ってくるとは思わなかった。俺も近々誘うつもりだったんだよ」


 と飯塚さん、司、徹。


「ありがと、今度の土曜日、迷宮都市のとこでいい?」


「「「えっ」」」


 と聞くと、またもや三人からその言葉が返ってきた。


「まさか、迷宮都市にもぐっていたとは......流石ね。それだけ強くなれるわけよ」


「うーん、僕は近場でいいかなぁー」


「迷宮都市、リーチのない俺はめんどくさいから近場のほうがいいかな」


 と三人。それなら仕方ないので近場にすることにした。

 翌日。門の奥で集合とのことなので、フル装備で集合する。


 現地へ行くと、すでに三人ともついていたようだ。


 俺も、三人のところに向かう。


「えっと、どちら様ですか......?」


「あ、僕聞いたことあるぅ、仮面をかぶって、#狂化_バーサーク__#を使うイカれた探索者がいるってぇ。え、でもその装備......」


「あなた、そのぼろぼろ具合......拓海くんね」


 と三者三様の返しをされた。どうやら確信があるのは飯塚さんだけで、司がもしかしてってレベル、徹に関してはわかっていなかったようだ。


 俺は仮面を外し、笑顔を作る。


「徹、俺がわからないだなんて、悲しいなぁ、およよよよ」


 そういうと、司はびっくり、徹は口をぽかんと開けていた。



 俺としては、この驚いた顔を見れただけで満足だ。

 しかし、飯塚さんのぼろぼろっていうのは何の話をしているのだろうか......


「まぁ、とりあえず迷宮に行こうぜ」


 そう言って、俺は先に迷宮に潜って行くのだった。



 今日はニ十階層へと向かう。ここの森はコボルトが出現する。

 一度クリアしたため、俺は攻撃力としては余裕なのだが、司と飯塚さんのレベルがここくらいだったので、ここにもぐっていた。


「あ、そうそう、拓海、装備できてたんだけどぃ、連絡取れなかったからいまわたすねぇ」


 そう言って渡されたのは何かの金属でできた銃。金属光沢がかっこいい。


魔銀(ミスリル)は中の回路に使ってるから見えないところにあるよぉ、詳しくはこの紙を見といてねぇ」


 紙には結構簡潔に説明がかかれていた。

 魔力を込めたら、魔法陣を転写しだすから、引き金を引いたら射出するよ、とのことだった。



 最初に戦闘をしたのは、徹だった。


「俺もいつも一人だから、大抵のことはできるぜ。んじゃ、まずそうだったら入ってくれ」


 そういうと、黒いコートをはためかせながら、背中に担いでいた真っ黒な片手剣を抜くと、一直線にコボルトの群れに突っ込んでいった。


 そして響く破壊音、破壊音、破壊音。

 明らかにオーバーキルな火力を叩き込む徹。


 五十ほどいた群れが数分で壊滅してしまった。


「お見事」


「徹くん、いっつもあぶないよぉ......」


「あいつ、あんな脳筋だったの......」


 ポーチに魔石をこんもり詰めて戻ってきた。


 っと、ここで第二陣のようだ。


「拓海くん、僕と飯塚さん二人でいい?」


「え、私?」


「あぁ、いいよ」


 そういうと、司は飯塚さんを連れてコボルト戦に備え出した。


 飯塚さんは杖を手にし、魔女の帽子っぽい三角形の帽子をかぶりなおした。


 司は小さいキューブを手に持ち、それを前に突き出した。

起動(オープン)


 すると、どこかのヒーローのように箱から飛び出してきた装備を装着していった。


 装着が終わると、真っ白なパワードスーツのような見た目をした人が立っていた。


 武器はないが、背中に何かタンクのようなものを背負っている。


「拓海くん、このタンクに魔力譲渡お願いできるぅ?」


「おう、わかった」


 司に言われた通りに魔力譲渡をしていく。


 やがてマックスになったのか、「いいよぉ」という声が聞こえてきた。


 準備ができたころには、コボルトたちは戦闘圏内に入っていた。


 飯塚さんは、魔力で魔法陣を描き、魔法を発動させた。


爆発する火球エクスプロード・ファイヤーボール


 飛んで行った火の玉は、地面に着弾したかと思うと、大きな爆発を起こした。

 これだけで八十いたうちの二十ほどは倒れただろう。


 さて、次は司だが......


 そう思い、司を見ていると、両手を突き出した。


「両腕、魔力粒子砲(マナ・カノン) 起動(オープン)!」


 そう言った瞬間、彼の腕に大きな砲身が付いていた。

 背中の魔力から砲身へと魔力が移る。

 限界までたまったところで、司が放つ。


掃射(ファイア)!!」


 その瞬間だった。

 彼の砲身からレーザービームが飛び出し、地面、木々もろともコボルトを消し去ってしまった。


「どう、これが僕の装備さぁ。前に出ないから楽でいいよねぇ!」


 司が興奮しながら俺に話しかけてきた。

 どんだけ機械系が好きなのかは知らないが、威力はこっちもオーバーキルだった。


 にしても、司が戦闘をできるようになっていることに驚きだ。最初は戦闘したくないとか言ってたはずなのに。

 そう疑問に思っていると、司がその目線に気づいたようで、恥ずかしながら俺に言う。

 俺は男の、しかもおとこの娘じゃない人のはずかしがっているところなんて見たくねぇと思いながらも真剣に彼の話を聞く。


「僕も覚悟を決めたんだぁ、しなくていいからいつでもできるようにってぇ」


 その言葉を聞いて、俺は何か言葉にできない感情を胸に覚えた。

 これが......恋!?


 そんな冗談はさておき、覚悟ができた司がこの中で一番の精神的な成長を見せているように感じた。


 と、ここで小さな群れを見つける。

 二十ほどなので、俺でもちょうどいいだろう。


「次は俺行ってくるわ」


「おう、こっちで見ておくぜ」


「いってらっしゃーい」


「拓海くん......」


 俺は隠密を発動すると、まずは前衛を魔法刀身で処理する。


 三体ほど倒したところで、奇襲の混乱から我に返ったのか、コボルトが攻撃を仕掛けてくる。


 コボルトは、小柄な犬なのだが、いつも歯をむき出しにして、武器を持って攻めてくるのでゴブリンよりも脅威度が高い。

 というのも、身体能力がゴブリンよりも高いため、乱戦になったときは連携もあるので慣れてない人は即撤退が暗黙のルールだ。



 コボルトの攻撃も、魔法を使う者や矢を放つもの、投げナイフなどもいたが、すぐさま魔法を発動して一点に集めると、それを射出して返してやる。


 後衛がひるみ、一度距離をとったところで剣持や槍持が前へ出てくる。


 俺はリモートマジックで後衛をけん制しているうちに前衛を射出による衝撃波でぐらつかせると、すぐさま魔法刀身で切る。


 前衛を射出でひるませると、すぐさま強化(エンハンス)を使って後衛へと距離を詰めた。


 一気に早くなった俺に対応できず、俺の魔法刀身と魔弾に貫かれる。


 追いかけてきた前衛に銃口を向けると、引き金をためらわずに引いた。


 これで、ニ十体ほどのコボルトとの戦闘は終了した。


これから更新速度遅くなることがほぼ確定しました。

いつも夜に執筆しているが故の深夜テンションの文章の改稿と、翌日の寝不足感が......そのうえアルファポリス、(少し進行早いんですが)書き溜めなくなりました。

更新は遅くなりますが、ここまで続けた以上、完結までもっていきたいので、これからも応援のほど、よろしくお願いいたします。

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