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魔力極振りの迷宮探索  作者: 大山 たろう
第零章 序章
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序章

 大山 たろうです。頑張って書いてまいりますので、応援のほど、よろしくお願いします。

三年前のある日に、それは起こった。


のちに、始まりの日とも称される、天災。




多数の隕石がこの星に降り注ぎ、その落下地点に大きなクレーターと同時に金の門を作った。




薄い膜の張られた円形の門の先は、今まで人類が物語で多く語ってきたものの、実際には存在しないと言われていた場所であった。






――迷宮――






それは人類に未知なるエネルギーや鉱石、そして新たな技術をもたらした。



そしてその技術は瞬く間に生活を豊かにしていった。


例えば発電所。


新たなエネルギーを電気エネルギーに変え、市民へと供給している。



また現在、昔にはなかった職業も誕生した。




その最たる例が、探索者だ。




探索者といっても、目的は様々。



ある探索者は、迷宮の最深部を夢見て最前線へ



ある探索者は、ものづくりに精を出し



ある探索者は、生活費を稼ぐ



そして今日も探索者は皆、門へと向かう―――


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 三年前、中学一年だった藍染 拓海は、テレビを見ながら朝食を食べていた。


 部活も一応入ってはいたものの朝練などがある部活ではなく、十分に間に合う時間に起きてゆっくり食べていたのがこの場合は幸いしたというべきだろう。


 いつもつけているテレビの画面が突如、ニュースが速報に切り替わった。


 「隕石が地球に衝突します! ここに表示されている場所にいる人は至急、安全な場所まで逃げてください。また、避難していない方も、震動に備えてください。繰り返します―――」


 急な災害に朝食を手に持ったままテレビの画面にくぎ付けとなる。

 どうやらうちは避難区域には含まれてはいないが注意域に入っている。おそらくだが、とてつもない震動が来るだろう。


 拓海は一度深呼吸をすると、冷静に考えた。

 震動つながりで地震と同じ対応をするなら、退路だけ確保しておこう。


 家の玄関の扉を開ける。

 お湯を沸かしていた火も止めた。


 他は......ああもうわかんねぇ!

 とりあえず身を守るために俺は机の下に隠れる。

 とりあえず安全と拓海が一息ついたころ。

 地球に隕石が衝突した。


 「うわぁぁっ」


 衝突の震動は家の棚を容赦なく揺らし、棚にあった食器を転げ落ちさせる。机は揺れ、玄関横の俺の部屋からドサドサァ!とラノベを収納していた本棚が倒れる音がした。テレビは倒れ、窓はガシャンと砕け散る。


 窓のガラスがあと一枚で全部割れるな、というところで震動が収まった。


 俺は机の下から出る。が、目の前に映る風景は見慣れないものだった。


 「うわぁ......」


 目の前に映ったのは、変わり果てた我が家だった。


 目の前にはガラスの破片が山を作り、その奥でテレビはテレビボードから転げ落ちている。

 俺の部屋のラノベは本棚に押しつぶいされてパッと見ただけでも千切れた本があった。


 とりあえずテレビを起こし、片付け大変そうだ......と掃除の用意をすると、テレビが急に回復し、先ほどまでのニュース番組がヘリコプターで上空からの風景を映し出した。


 少しでも情報を思い、と、テレビを見る。


 しかし、隕石の落下地点には思いがけないものが映っていたのだった。


 それは、輪っか。

 金色の輪っかが宙に浮いていた。

 何やらシャボンの膜のようなものが張られたその輪っかからは、異形の生物がはい出てきている。

 ニュースが謎の生物がと騒ぎ立てている間。俺をはじめとするゲームやラノベ大好き民はこう感じただろう。


 スライムじゃん、と。


 その画像がネットに上がってからは、 次々と画像が出てきた。

 あれは、迷宮だ。と結論付けられた頃に、警察と自衛隊が総出で門の封鎖をした。

 そして政府は、この門には危険性はない、と発表した。



 だが......






 誰も立ち入れなくなった門の先、そこでは第二の災害が幕を開けようとしていた。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 門ができてから数か月が過ぎた、とある夏の日。



 あるこの件に携わった警官は、こう語った。



 その日は、とても長かった、と。




 その日、日本は混乱の渦に包まれた。



 東京の郊外にある迷宮が、#魔物暴走__スタンピード__#を起こした。


 #魔物暴走__スタンピード__#とは、迷宮内で生まれ落ちた敵対生物......俗に言う、魔物が、処理されずにその階層に溜まった結果、容量を超えて迷宮の外へ、つまり、こちら側に魔物が来る、という現象だ。



 それが起きたのは、午前二時。

 ヴォン!と門と呼ばれる金の輪が光を帯びると、次第にその光を強くする。

 金の輪の上には、0/0という表示が半透明のディスプレイのような形で表示されていた。

 そして、金の輪が発する光が一定になったとき、始まった。


 最初に、1/1となったかと思うと、30、50......と急激に数字が増え、数分もしないうちに百を超えた。

 そしてその数字が示しているものが何か気が付いた警官は絶望した。

 迷宮から、分母の数だけ魔物が飛び出してきて、分子は残りの魔物の数なのだ!

 自衛隊とは違い、ロクに対魔物装備をしていない警官は市民に避難を呼びかけるため、現場から離れた。





 数日後。

 分子のところが、0になった。だが、特別な報酬が与えられるわけではない。手に入ったのは倒した魔物からとれた石だけだった。

 だが、その石が魔石と呼ばれ、自然にクリーンに安全に発電ができると分かってからは、高い値段で取引されるようになった。



 そして政府は、迷宮の攻略を魔石の確保と合わせて、探索者という職業を設けることとした。

 内容はいたってシンプル。

 門をくぐり、怪物を倒し、魔石の回収をする、これだけであった。



 そして探索者用の法律等々を政府が準備している間に、探索者の募集を行った。




 が、しかし。状況は芳しくなかった。


 政府は、このようなことに関して働いていない人は稼げるようになるし、ゲームその通りの状況にゲーム好きの人たちはアンリアルを求めてきてくれる、と考えていた。

 しかし、実際のところは、見るのは良くても、実際に命を懸けて戦うのはごめんだ、とあまり乗り気でない人が大半を占めた。

 また、政府が探索者の事故()()に責任は持てない、さらに特別な手当ても出せないとマスコミを通じていったからだろう。

 実際に集まったのは政府の想定の半分にも満たない人数。

 これでは足りないと思った政府は、ある策を講じた。


 探索者の参加条件、年齢の部分を高校生以上に変更した。


 それに乗ったのは流行に敏感な陽キャ組。

 そしてステータスがあったら無双するのにと日々妄想していた陰キャ組。


 悪く言えば危機意識が足りない高校生が多数参加したおかげで、ある程度人数が集まったため、探索者を迷宮への対策として正式に発表した。




 それが、今なお続く探索者ギルドの始まりであった。

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