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第8話 前川恵子の憂鬱2

ポイント評価やブックマーク登録ありがとうございます。

基本的に不定期更新ですが、午前3時にあげることはやめときます。

淳ちゃんが産まれたことで生活は一変した。女性が子供を産むと保証金が出るけど、男の子だった場合それが1000倍にもなる。だからお金に苦労することはなかった。むしろ他の家庭に比べると裕福な生活が送れるほどだった。淳ちゃんを産んでから2年後ぐらいに妹を出産した。もちろんかわいい。このころになると淳ちゃんもしゃべれるようになってきて


「ママー、名前は?」


「麻衣っていうのよ、かわいがってあげてね?」


「うん、わかった!」


淳ちゃんはすごくうれしそうに麻衣を見ている。今の私に向けての笑顔やばかった、失神するかと思った。あまりに天使すぎて、やばいという単語しかでない。語彙力が切に欲しいです。


淳ちゃんを私が育てているということは6才までの間、他言禁止と政府から言われていた。一昔前に男子の誘拐、監禁事件の影響のためらしい。そんな法律無くても誰にも言わないし、私の子あげませんけど。だから幼稚園とか保育園にも通わせることができなかった。そんなことしなくてもお金には困らないし、会社で働く必要はなかった。


淳ちゃんと麻衣はすくすくと育ち、淳ちゃんが小学4年生だったころかな。淳ちゃんがまるで別人みたいになってしまったの。私は淳ちゃんを共学じゃなくて男子校に入れたんだけど、周りの環境のせいもあるのか、私に対して冷たくなった。最初は反抗期かなって思って淳ちゃんかわいいなと思ってた。



でもそれはだんだんとエスカレートしていって私や麻衣に対しての言葉がだいぶひどくなった。

例えばだけどこんな感じね。


「おい、クソババア!金くれ!」


いきなり怒鳴ってきて、私は


「淳ちゃん、はい、どうぞ」


と笑顔で応える。私だって小5になろうとしている子にお金をやすやすと渡したくなかった。でも一回渡さなかった時、麻衣の首にはさみを突き立てたの。「渡さなかったらどうなるか分かってんのか?」私は怖くて、腰を抜かした。「ごめんなさい、お金も渡すから麻衣を放してください...」そう言った。


(ちまた)で聞いてたけど男の子は自分の方が権力が上だと自覚すると、こうやって反抗する人が多くなるって聞いてた。ついこの間まで無邪気な淳ちゃんがこんなことになるとは思わなかった。


「おい、少ねえよ、もっと渡せ!たくさん金もらってること知ってるんだからよ!」


5万円渡していたけど、さらに加えて10万円渡してしまった。だって渡さないと麻衣が殺されるかもしれないから。


そうしていつの日か淳ちゃんに通帳とキャッシュカードを渡すことになった。だから今こうして働きにいかなくてはならない。いつかこの反抗期が終わってくれると信じて、懸命に働いた。またあの優しい淳ちゃんに戻ってくれると願って。



淳ちゃんが中学2年生になった時、夏休み前のことだった。朝、淳ちゃんがいつもなら起きてくる時間に起きてこないから心配で部屋まで呼びに行った。


「淳ちゃん!朝ごはんできたよ、起きてる?」



返事がない、もう1回呼んでみる。


「淳ちゃん起きてる?大丈夫?心配だから入ってもいい?」


いつもは無断で入ることを禁止されてるけど、全然返事がないからもう1回呼んだ。


「やっぱり、返事ないなぁ。淳ちゃん、ごめんね。入るね?」


そう言って恐る恐る淳ちゃんの部屋に入る。部屋の中にはベッドの中で寝ている淳ちゃんがいた。


「なんだ、寝てただけなのね、心配して損したわ。淳ちゃん起きて!おーい、朝だよー」


淳ちゃんは全く反応しない。


「ね、淳ちゃん、起きてー、淳ちゃん?淳ちゃん!淳ちゃんってば!!!!!」


体を揺さぶっても起きない。なんで起きないの?なんで!お願いだから起きてよ!


私淳ちゃんが起きてくれなかったらって思うと...。淳ちゃんお願いだから起きて!


その様子に気づいた麻衣も入ってくる。


「ママ、どうしたの?」


「淳ちゃんが目を覚まさないの!どうしよう、どうしよう、どうしよう」


「お兄ちゃん、起きてよ。何で起きないの、わあああああーーー!」


耳元で麻衣が大声を上げた、淳ちゃんは全く反応しない。


「ね、お兄ちゃん、起きてってば!お兄ちゃん、死んじゃったら私...うわああーん」


麻衣も淳ちゃんの体を揺さぶる。

それでも淳ちゃんは目を開けない。

麻衣が号泣した。私も泣きたい、でも泣いちゃダメ。まず何すればいいんだっけ、えっと救急車呼ばないと。私は急いでリビングにある携帯を取りに行った。110って携帯にうつ。


「こちら東日本警察署です。事件ですか?事故ですか?」


私は間違えて警察に連絡してしまったけど、わけもわからず思いっきりしゃべった。


「淳ちゃんが目を覚まさないの!助けて!」


「お母さん落ち着いて!救急車は呼んでおきますから住所言ってください。」


落ち着かないと


「えっと住所は、えっとなんだっけ?」


こういう時に限って住所が思い出せない。


「お母さん、1回深呼吸しましょう!」


私は深呼吸した。スー、ハー。少し落ち着いたかも。

住所言わないと


「住所は......」


そのあと間もなくして救急車は到着、淳ちゃんと私と麻衣は急いで救急車に乗って病院に向かった。

淳ちゃん、お願い生きてて!!

読んでくれてありがとうございます。ポイント評価やブックマーク登録よろしくお願いします。

私も切に語彙力が欲しいです。

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