第6話 退院、そして告白
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麻衣とお母さんは車で病院に迎えに来てくれた。玲子さんに聞いたけど僕がこの病院に入院していることは国家機密らしく、出待ちの女性とかはいないらしい。念のために病院の従業員用の出口から帰ることになった。病院の看護師たちにお見送りをされて中には別れを惜しんで泣いている人もいた。
「一週間と少しの間、僕のお世話をしてくれてありがとうございました!」
僕自身何も記憶はないから二泊三日の入院生活だったけど感謝は忘れない。看護師たち全員に向けてお辞儀をした。
「今私に向けてお辞儀したわ!」
「何言ってのよあんた、今のは私に向けてだわ。調子乗んな!」
「淳司様のサインほしい、サインほしい、サインほしい」
「なんて優しい男の子なの?天使なの?」
「天使だわ。神にも見えてきたかも」
「結婚したい...」
などといろいろな声が聞こえてくるが、とりあえず顔を上げて最大の笑顔を見せたら
「「「「「「「はうぅっ!」」」」」」
後ろに倒れる人、腰が抜けてしまって立つことができない人、鼻血を出して鼻を抑える人、気絶してしまった人とかいた。僕の笑顔でこんなになるなんて、笑顔をするときは気をつけないといけないかもしれない。
「玲子さん改めてありがとうございました」
僕は改めて玲子さんに感謝の気持ちを込めてお辞儀した。
「淳司様...」
顔を上げるとそこには涙目で今にも号泣しそうな玲子さんがいた。
そうして決意したかのように玲子さんは宣言した。
「私...私は淳司様の妻になります!こんな病院の院長なんかすぐにやめて淳司様のお世話をしたいですわ!だって淳司様の顔を見ているとドキドキが止まらないんですもの。こうやって別れそうになる時も胸が張り裂けそうになるぐらい悲しい!私、淳司様に恋していますわ!淳司様に迷惑かけてしまうかもしれません。今だって急に告白して淳司様は戸惑っているかもしれません...でも、それでも!淳司様のおそばにいさせてください、お願いします!私と結婚してください!」
玲子さんは本気だった。玲子さんは体を震わせてお辞儀をしている。
それにしてもいきなり告白してきてびっくりした。しかもいきなり結婚ですか?普通最初は恋人からでは?
でもこれほど真剣な玲子さんに中途半端な答えはできない。しっかりと玲子さんを傷つけないように応えてあげなくちゃ。
「玲子さんの思いしっかりと受け止めました。玲子さん顔を上げてください。勇気を出して告白してくれてありがとうございます。でもごめんなさい。僕はまだ結婚できません。僕はまだ14才です。まだ結婚するまでには4年かかります。それにまだ玲子さんとは出会ってまだ三日、正直僕は玲子さんの何も分かっていないと思うんです。だからまずはお友達から始めませんか?それで4年たった後に玲子さんがまだ僕のことを好きで、僕も玲子さんのことが好きになった時、僕から告白させてください。」
そう答えた。僕も緊張した。こんな経験したことなんてなかったから。玲子さん傷ついてないかな、大丈夫かな?嫌われたりしないかな。
すると玲子さんは号泣した。
「うわああーん」
僕は嫌われたと思って、そばに駆け寄った。
「玲子さん、ごめんなさい。でも玲子さんの気持ちすごくうれしかったんです。えっとそれで...」
どうやってフォローすればいいか分からない。すると玲子さんが僕に抱きついてきて
「違うの、悲しくて泣いたんじゃないの。嬉しくて涙を抑えられなかったの...。ありがとう、そうね私も先走りしすぎたわ。まずは淳司様とお友達から始めたいです。お友達から始める記念にメール交換したいです...」
どこか不安げな表情の玲子さんに僕は
「僕も交換したいです」
って言った。お母さんから携帯をもらって玲子さんのメアドを登録した。また裏切られたりしないか不安だけど、裏切られるのは慣れてるから。今はこれでいいや。
すると僕の目の前にはたくさんの看護師たちがいて
「玲子さんお取込み中すいませんね。勝手に抜け駆けというか病院やめる宣言しないでいただけますか?」
みんな顔は笑っているけど、怖いな。黒いオーラが見える気がした。
「え?」
玲子さんはきょとんとする。
「え?じゃないですよ!今すぐ病院で次の患者さんの診察しないといけないのですから、やめてる場合じゃないんです!ほら淳司様から離れてくださいって!」
「いやだああああーー!淳司様のそばにいたいのおおー!」
なかなか抱き着いて離れない玲子さんを看護師たちは総出ではがし、玲子さんの身柄を拘束した。
すると看護師の一人が
「後で院長には叱っておきますので、先ほどは淳司様ご迷惑を掛けました。でも淳司様の真剣な眼差し素敵でした。私も興奮してしまいました//。また体調が優れなかったらまたこちらの病院を利用してくださいね?みんな待ってますので」
頬に手を当ててそう言ってくる。さらっと興奮するとか言わないでほしいんだけど...
「はい、ありがとうございます。本当にお世話になりました。」
「淳司様、家に帰ったらメールしますわ!」
玲子さんから声が聞こえてきた。それに反応するようにお辞儀した。
振り返って車の隣で待つお母さんと麻衣を見た。
「お兄ちゃん、おうちに帰ろ?」
「うん」
僕たちは車に乗って病院を後にした。
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