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第29話 お疲れ様会が終わって

すいません、だいぶ遅くなりました...

「ただいま...」


家に帰るとお母さんと麻衣が出迎えてくれる。


「「おかえりー」」


「淳ちゃん、変な女に付きまとわれたりとかしなかった?大丈夫?」


「大丈夫だよ、みんな優しいよ」


「そう、それならいいけど気を付けるのよ?あと私に相談せずにそういう打ち上げとか行かないでね?別に行っちゃダメってことじゃないけど、帰ってきていなかったときはびっくりしたよ」


「ごめん、これから気を付けるね」



自分の部屋に入る前に麻衣に後ろからつつかれた。


「お兄ちゃん!明日、あと週末楽しみにしてるね!」


「わ、わかったよ...」



僕は自分のベッドに座る。


「はぁー」


思わずため息が出てしまった。ようやく落ち着いたかも。

この世界にきてすぐ入院、そのときにこの世界は女性が多くて男性が少ないことを知った。

それで退院したらすぐに1学期の期末テスト。まだ1週間も経っていないのに、全然落ち着けなかった。

僕自身も何も整理できてないのにいろいろと起こりすぎだよ、ほんとに...。


「とりあえず、この世界について調べてみるか...」


封印していた携帯もテストも終わって解放したことだし、この世界についてやっと落ち着いて調べられる時間ができた。


調べた結果はほとんど変わらなかった、ただ一点を除いて。わかっていたことだけど男女比がおかしいこと。日本だけでなく、全世界で男性がとても少ない。男性の割合が少ないのもかかわらず、人口は減りにくいのには疑問があったけど調べているうちにすぐに解決した。

男性は少なくとも4人以上と結婚しなくてはならない義務、1か月に1回精子を病院に提出する義務がある。また男性には教育の義務はあるが勤労の義務はない。男女比が狂っているから違う点も他にはあったけど、それ以外は通貨、言語など共通している点は多かった。


あともう一つ違うことといえば


「男性に対して優しいことだよね...」


僕にとってすごく新鮮でうれしいことだった。前は僕も優しくしていたのに、クラスメイトから嫌われていじめられて毎日学校に通うことが嫌になってしまった。まだ少ししか学校に行ってないけどみんな優しい。男性が少ないからきっと優しいんだろうけど、それでもよかった。優しくしてくれてお話しすることができてうれしかった。



でも今日のことがあって、この世界に来てから今日まで無意識に避けていたことを再び自覚せざるを得なかった。


「相沢さんを慰めることができなかった...」


相沢さんに慰める言葉の一つも言わずに家に帰ってきてしまった。


麻耶さんみたいに相沢さんに寄り添うことはできなかった。

岸さんみたいに励ますことができなかった。

僕は結局この世界に来てからも何も変わっていない。単純に周りに流されて行動しているだけだ。


この世界に来てからも結局僕は成長してないんだな


相沢さんがいじめられてる姿を見て、何もできない自分に嫌気がさす。これで相沢さんがこれからもいじめられてそれをただ傍観するのか?それだったら見て見ぬふりしているだけじゃないか。それだったら

僕をいじめてたやつらはクラスメイト全員ってわけじゃなかった。そりゃいじめるやつが一番悪いと思う。でも、それを止めない人も良くないと思う。


僕は相沢さんのことを守ってあげたい...


でも怖い。相沢さんをかばうことで僕がまたいじめられるんじゃないかって、また学校に通えなくなってしまうんじゃないかって、そう思ってしまう。


「姿が変わっても、環境が変わっても結局弱いままなんだな...。相沢さん、ごめん...」


僕は独り言をつぶやくようにそう言った。


ーーーー


私は今リビングにいる。ほんとならお兄ちゃんとお話ししたかったけどお兄ちゃんは自分の部屋に行ってしまった。お兄ちゃんちょっと悲しそうな感じだった...


「ママ、お兄ちゃん、なんか変だったよね」


「私のせいかな、帰ってきてすぐ注意しちゃったし...」


「ママが注意する前からちょっと元気なかったから違うと思う」


「何かあったのかな...」


「お兄ちゃん大丈夫かな...」


学校から帰ってきてあんな悲しそうな顔したお兄ちゃん見たの初めてかも。本当にどうしちゃったのかな...。

気になる...

私がお兄ちゃんの部屋へ行こうとすると


「麻衣、淳ちゃんのところ行っちゃだめよ?」


お母さんが真剣な面持ちで言った。


「なんで?」


お兄ちゃんが悩んでいるなら相談に乗ってあげたほうがいいと思うけど...


「なんでって、私が行くからよ!淳ちゃんの悩みは私の悩みなの!私が一緒に解決してあげたいの!だから麻衣はお風呂掃除でもしてなさい!」



「はあああ?!そんな理由だめでしょ!それなら私もお兄ちゃんの力になりたいの!ママが掃除してよ!」


ママとはいえど、ここは譲ることはできない。もっと違う理由だと思った私がバカだった



しばらくママと喧嘩した。

「これ以上口論しても仕方ないわね、じゃんけんしましょ。勝ったほうが淳ちゃん相談に乗ってあげること、恨みっこなしね」


「いいよ、こうなると思ってたし。でも負けたらあとで教えてね」


「それはもちろんよ」


そうしてママとじゃんけんした。

結果負けてしまった。ううー、悔しい!というかお兄ちゃんの相談相手になれないことが悲しい!


「じゃあ、お風呂掃除よろしくね?まい」


「はーい...」


ママは嬉しそうだ。あとでみっちりと聞いてやろう。

読んでくれてありがとうございます!

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