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第28話 お疲れ様会 2

感想、ポイント評価、ブックマーク登録ありがとうございます!

お疲れ様会が始まってから1時間ぐらいたったころ、


「少しごめんね、ちょっと席外す」


相沢さんが席を外した。


「何しに行くのー?」


「前川君、それは無神経だよ?こういう時は聞いちゃいけないんだよ?」


「あ、そっか、ごめん」


相沢さんは笑顔で答えてくれた。女子が席を外すときとか聞いた無神経なのか。男子だとトイレ行ってくるとか言うけどね、これからは気をつけよう。



あれから30分くらいたったけど、相沢さんはまだ帰ってこない。ほんとにトイレなのかな?

少し心配だな...


「麻耶さん、相沢さんはまだかな?」


「まだ帰ってこないね。どうしたのかな、ちょっとトイレ見に行ってくるね」


女子ってこんなに時間はかかるんだろうか...。




確かに前川君の言う通りレイが帰ってくるのがおそい。

私はすこし嫌な予感がした。

もしかしてレイになんかあったのかも...。

少し早足で女子トイレに行く。



ドアを開けると中にはびしょ濡れのレイがいた。


「レイ大丈夫??!!」


私は急いでレイに駆け寄って、ポケットの中のハンカチを取り出す。


「これ使って拭いて!!」


「ありがとう...」


レイは私のハンカチを使って顔を拭く。


「レイ、何があったの?」


「私がトイレしているときに上から水かけられた。それで個室から出るのも怖くて、出れなくてついさっき出たときに麻耶が来てくれたのよ。ハンカチとか服とか全部びしょびしょだったし、ハンカチすごく助かった、麻耶ありがとう」


きっと何回もかけられたんだろう。それほどびしょびしょだった。

あとレイから臭いにおいがする、ただの水をかけられたわけじゃないっぽい。


「ううん、こっちこそごめんね気づくのが遅くて、早く気づければよかったのに...。こんなひどいことやるなんて信じられない」


やったのはこのクラスメイトには変わりない。だってファミレスにはクラスメイトしかいないもの。


「なんで、こんなひどいことするかな...」


レイは泣いている。


「大丈夫よ!一緒にレイをこんなことにした犯人を捜しましょ!」


私はレイに抱き着く。レイが臭くても私には関係なかった。こんなになって、かわいそうに...


「とりあえず、落ち着いたらみんなのところに行きましょ?」


私はレイと一緒にみんなのところに行く。



麻耶さんがトイレに行ってからは僕と香奈さんは二人きりで少し気まずい状態だった。

さっきまで相沢さんと麻耶さんのおかげでお話しできていたけど、今は静かだ。


(何話せばいいんだろう...。早く麻耶さん、相沢さん帰ってきてくれー)


香奈さんは口を開く。


「あ、麻耶ちゃんトイレから帰ってきたよー。うん?レイちゃん?!」


あ、よかった帰ってきた。


でも香奈さんの見つめている方向をみると、そこにはびしょ濡れになった相沢さんと麻耶さんがいた。


「え?」


僕は思わず声が出てしまう。


それに気づいた岸さんと加藤さんが急いで駆け寄る。


「レイちゃん!どうしたの?大丈夫?!」


「レイちゃん、かわいそう...」


「このみ、ルイ、心配してくれてありがとう。大丈夫だよ」



「さっきトイレに行ったらびしょ濡れのレイがいたわ。この中にやった人がいるんでしょう?」


麻耶さんは怒っているがとても冷静だ。

みんなしんと静まっている。驚いた人もいるし心配してる人もいる。


「みんなの前で言いづらいなら後で私のところに来て」


その後僕たちはお疲れ様会を楽しめる雰囲気ではなくなって、お疲れ様会は早くに終わってしまった。




みんな解散した後、僕たちは今さっきの公園にいる。

僕も成り行きで一緒に公園に来てしまった。

帰り道の途中だけど、こんな雰囲気で帰れるはずなかった。


「麻耶ちゃん、結局あの後誰か来たの?」


香奈さんが聞く。


「来てない、まあ来るとは思ってなかったけどね」



「みんなごめん。楽しくできるように考えたお疲れ様会だったけど、やっぱり私に恨みを持ってる人がいたんだね...」


はて何のことだろう?相沢さんに恨みなんて持つことなんてあったかな?


「レイちゃんは何も悪くないよ!むしろ感謝してるぐらいだし、そんなひどいことする人のほうが悪い」


「くじ引きなんてしないほうがよかったのかな...」


そう岸さんと加藤さんは言う。

くじ引きって初耳なんですけど...


「あ、前川君がきょとんとしてるよー!実はね、前川君と同じテーブルになるためのくじ引きが前川君が帰ってから女子たちだけでやってたのよ。それで主催者自身に前川君と同じ席になれるくじが当たっちゃって、恨みなのかな、わからないけどレイちゃんをこうやって懲らしめられたわけだよ。あ、もしかして私のことわからないのかー?私は天見空(あまみ そら)だよー。以後お見知りおきをー」


「そ、そうなんだ...。よろしくね...」


さりげなく自己紹介もしてくる。びっくりしたなー。


えーっと、僕が帰った後にくじ引き大会があって、僕と同じ席になるくじ引きを相沢さんが作って、それをたまたま相沢さんが引いてしまったわけか...。あんまり自分で言いたくないけど、たぶん僕と同じ席をみんな狙っていたんだろう。それでムカついたクラスの誰かが相沢さんに水をぶっかけたってことか。


ちょっと嫌な記憶がよみがえる。あのいじめられてた時を僕は思い出す。

(でも今は関係ない...。あいつらもいないし大丈夫だ...)




「ごめんね、みんな迷惑かけて...。私は大丈夫だから。前川君にも悪いし、もう八時ぐらいだしそろそろ解散しよ?」


「なんかあったら言ってね?私にできることとかあったら言ってね?私レイちゃんの味方だから!」


「そうよ、レイ。まだ何か明日からもしてくるかもしれないし、困ったら私に言って」


みんな解散した。僕と相沢さんを残して、


「前川君も帰っていいよ、帰らないとお母さん心配するんじゃないかな?」


こんな時にまで僕に優しくしてくれる。


「相沢さん...えっと、...」


「なに?」



「ごめん、何でもない。今日はありがとう、またあしたね」


「うん、またあした!」


僕は相沢さんに声をかけてあげることはできなかった。

読んでくれてありがとうございます

ポイント評価、ブックマーク登録よろしくお願いします。

あと投稿ペースが遅くなってすいませんっ!!



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