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第21話 私の気持ち

むずかしい...

「前川君、行っちゃったね。」


私たちは正門で前川君を見送ったところ。


「そうだねー、このみ」


レイちゃんが返事してくれる。

さっきまで前川君と話していたことがまるで夢みたいに感じた。もうすこし一緒にいたかったな...




「さ、私たちも帰ろっか」


レイちゃんが私たちの方を向いて言った。


「そうだねー」


「帰ったら親に勉強させられるーいやだー」


でもルイちゃんは帰りたくなさそう。



私たちは帰り道を歩く。私は不意に独り言のようにつぶやく。


「でも、前川君ほんとに別人みたいになっちゃったね...。」


前川君の今日の姿を見て全然違うことに驚きを隠せなかった。今まではあんなに女子に対しては雑で、ひどい言動ばかり。私は男子はこの地域だと前川君しか知らないからわかんないけど男子ってみんなこんな感じなのかなって思ってた。


でも今日の前川君は私の知っている前川君とは遠くかけ離れてるような存在になっていた。今までと全然違うのは性格。とにかく優しい。女子を下に見ていないし、バカにしたりしない。ちゃんと丁寧語も使ってくれたし、感謝の気持ちとかもすごく伝わった。前川君が恥ずかしそうになるときとか、ほんとに可愛くて、あとは不意に笑顔になるときとか、失神するかと思った。結局何が言いたいかっていうと前川君がかっこいいのに、かわいかったり、恥ずかしがったりするギャップがたまらない。


「前川君、今日は本当に優しかったね。これからもあんな感じだとこれから大変そうだね、いろいろと...」


レイちゃんの言う通りだ。

私たちが通っている中学校「桜坂学園中学校」にいる男子は前川君だけなのだ。今まではただかっこいい口の悪い男子ってだけでみんなからそんなに好かれてはいなかった。私もかっこいいなとは思っていたけど別に好きではなかった。すごいわがままなのは知ってるけど、性格が優しい方が私は好きだった。

その前川君が今日一変して優しくて、かわいくて守ってあげたくなるような性格になってた。私も前川君が優しくて、嬉しかった。教科書を見せてるときとか前川君の顔が近すぎて泣きそうだった...。


「今日一日で前川君の好感度めっちゃ上がっちゃったよ...」


そう、クラスメイトの前川君を見る目がまるで変わっちゃった。みんな前川君を恋人にしたいって思ってる顔になった。私もちょろいって思われるかもしれないけど、前川君のこと好きになった。前川君の笑顔を見ると胸が苦しくなって、話しているときとか優しくて、前川君を恋人にしたいって思っちゃった。私は自分の気持ちに気づけないほど鈍感じゃない。私は前川君しか知らないからこういう気持ちになっちゃうけど、こんなに単純でいいのかな...。


「そうだねー。多分今はテスト期間だから何もないと思うけど、終わったら前川君に告白する人とか多そうだよね」


レイちゃんはそう言った。やっぱりそうかー。


「レイちゃんは前川君のことどう思う?」


私は聞いてみる。


「私?私は前川君のこと好きだよ」


「えー?レイちゃん大胆ー!」


ルイちゃんが反応する。ルイちゃんはあんまり興味なさそうだもんねー。

まさかこんなすぐにレイちゃんが前川君のこと好きって言うと思わなかった。てっきり、なんとも思ってないよって言って実は好きってパターンかと思ってたのにー。


「そういうこのみは?」


「私は、私は、えーっと、す、すきかな...」


最後の方すごい小声になってた。こんなに好きって言うの恥ずかしいんだ。でも、この気持ちきっと恋なんだってきづいちゃったから隠したくない。


「ふーん」


「なに?レイちゃん!」


「いや、このみは前川君のこと好きなんだなーって」


レイちゃんがからかってくる。私の顔が赤くなる。


「そういうレイちゃんだってー!!」


私はレイちゃんの背中をポコポコたたく。


「アハハ!ごめん、ごめん!」


レイちゃんが笑ってごまかす。

私たちは楽しく一緒に下校した。


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