第11話 麻衣の気持ち
今回は妹回です!
お兄ちゃんは私が8歳ぐらいから冷たくなっちゃった。私の首元にはさみを突き付けてきたときは、ほんとに怖くて泣くこともできなかった。それ以来私は刃物が持てない。包丁もはさみもカッターも怖くて使えない。
お兄ちゃんは毎日怖くて、話すことなんて最近はほとんどない。お兄ちゃんはかっこいいけど、最近すごく冷たい。こんなこと言うのは、男の子のいない家にはごめんだけど、お兄ちゃんと話せないのは寂しいし、つまんない。昔みたいに優しくて大好きなお兄ちゃんに戻ってほしいなって思ってた。今も大好きだけどね、昔の方がもっと好き!わがままな妹でごめんね?
でも、私お兄ちゃんが1週間前から眠ったままなのはもっと寂しいし、悲しい。お兄ちゃんが起きなかったときは号泣しちゃった。
私まだ小学生だから、携帯持ってないの。お兄ちゃん大丈夫かな?今日もほんとは学校なんて行きたくなかったのにー。
ママが帰ってくるのを待つ。早く、早く!
ガチャ
「ただいまー!!」
ママが帰ってきた。急いで玄関に行く。
ママものすごくうれしそう、もしかして...
「おかえり、ママ!もしかしてお兄ちゃん起きたの?」
「そう!起きたのよ!麻衣!淳ちゃんが起きたの!」
「ほんとー!やったぁー!」
ママに抱きついて喜んだ!
お兄ちゃん!やっと起きてくれた!
「ママ!明日お兄ちゃんのお見舞いに行きたい!」
私はお兄ちゃんに会いたい!
「行きましょ!明日も淳ちゃんに会えるなんて幸せ//」
ママのほっぺが真っ赤だ。そんなにうれしいのかな?
でも、お兄ちゃんのお見舞いに行くのちょっと不安...
「でも麻衣、少し話さないといけないことがあるの。」
打って変わってママが真剣な表情になる。
「なーに?ママ」
「玄関じゃ落ち着かないしリビングで話しましょ」
ママも部屋着に着替えてきて、今ママと私は向かい合ってテーブルに座っている。
何があったんだろ...
ママが話し始めた。
「麻衣、お兄ちゃんはね元気だけどね、記憶喪失になったのよ...。」
「きおくそうしつ...?」
「記憶喪失ってね、思い出とかを忘れちゃう病気なの。だからね、淳ちゃんは私たちのこと全部忘れちゃったの、そう今までの思い出も全部ね。」
「うそ...」
私のこと覚えてないの?あの優しかった昔のお兄ちゃんとの思い出は?なんで...
悲しくなって涙が出てきちゃった。
何で神様はお兄ちゃんにそんなひどいことするの?
ママはもう一回私を見つめて話し出す。
「そう、残念だけど淳ちゃんは何も覚えてないの。でもね私たちもつらいけど、淳ちゃんの方がもっとつらいのよ?だから麻衣、明日のお見舞いの時は悲しい顔しないでね?」
そっか、私たちもつらいけどお兄ちゃんの方がもっとつらいんだ。私が悲しい感じでお兄ちゃんのお見舞い行ったらお兄ちゃんもっと悲しむかも。明日はできるだけ明るく元気にお兄ちゃんと会う!
「わかったママ!明日はお兄ちゃんと明るく元気に会うね!」
「でも麻衣ー?明日淳ちゃんに会ったらびっくりすると思うよー。」
「なんでー?」
「だって、淳ちゃんがものすごく優しくて、丁寧で、天使だもの。私のことをお母さんって呼んでくれたりー、最高の笑顔を見せてくれたりしたんだよ?あの時は私天使過ぎて死んじゃうかと思ったわ、あとはねー...」
お兄ちゃんが優しくなってるの?まさかね、信じられない。あんなに怖いお兄ちゃんがそんなに優しいわけないでしょ。
でも、ママの惚気を聞いてるとちょっと本当かもしれないって思ってきた。
若干ムカつくけどね。
明日のお見舞い少し不安だけど、ちょっとだけ楽しみだ。
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淳司君なかなか学校に通わせることができません...
長い目で見守ってください。




