親友にカミングアウトしたら反応が面白いっ!
私は豊田琴音。
今は5月、
高校1年生になったばかりです。
私は実は男性だけど、
女の子になりたいと思っている男の子。
だから、この物語での
一人称は「私」にします。
よろしくね。
詳しく私のことを説明しましょう。
私は幼いころから、女の子になりたいと思ってました。
だって、女の子って可愛いんだもん。
ゴツゴツした男と違って、柔らかくて、すべすべして、目がキラキラして、
色っぽくて、絶対男より魅力的に感じました。
髪の毛を伸ばして、可愛い女の子の服を着て過ごせるなら
自分の一生は後悔のないものになる。
そう考えるようになっていきました。
とは言っても、男性を恋愛対象とはしませんでした。
好きな子はどちらかというと女の子。
だって、可愛いもんが好きだから、恋愛対象も女の子になっちゃうんです。
仕方ないんです。
何、それ?って言われてもそういう考え方だったんです。
で、幸いにして、私は容姿に恵まれてました。
物心ついたころから、周囲にずーっと可愛い男の子って言われてました。
女の子みたいな顔立ちと評価されます。
家族も、女の子みたいって、容姿の話になると繰り返しコメントしてました。
その結果、小学校5年生の時に、家族に、実は女性に性転換したいんだって打ち明けます。
家族は何となく感じていたみたいで、それほど大騒ぎにならずに済みました。
ちょっとは驚きましたけどね。
「うん、女の子みたいだから、しょうがないか、今は性別を選べる時代になってきたから、
いいんじゃないか?」っていうノリで、許されちゃいました。
私の方が、ずいぶん簡単に許してもらっていいのかな?って心配しちゃったくらいです。
お金はかかるし、孫ができなくなるって決まっちゃうし、
それでいいの?と親に迫ったこともありました。
それでも、本人が幸せになれるなら、それが一番と私の生きる道を指し示してくれたのです。
家族には大感謝です。
ほんとにいい家族をもちました。
それで、小学校5年生から、精神科にかかり(性転換の手術をするための
予備診断を受けるため)、
髪の毛を伸ばしはじめ、家では家族公認で女装を始めます。
幸い姉がいたので、姉のいらなくなった服を着て、
下着だけ買ってもらったりしました。
髪は母や姉が行ってる美容室でカットしてもらうようになります。
中学の時は、プライベートの時は女性で十分通じる容姿になったと思います。
まあ、学校に行くときは男子生徒なので、怪しい容姿だったかも。
中学3年の途中から、女性ホルモンの投与を始めます。
体は少しずつ丸みを帯び、肌はきめ細やかになり、高校入学のころにはおっぱいが
Aカップくらいになって、十分少女の体つきになっていきます。
え、学校でばれなかったのか?って?
中学3年生の後半はみんな受験で他人の体型に気を配らなくなるし、
ちゃんと、胸の膨らみが目立たないように、サポーターみたいなシャツを着てたので、ごまかせました。
高校に入っても5月の今までは十分ごまかせています。
でも、学校の生徒をごまかすのは7月の夏休み前までです。
夏休み明けたら、全校生徒にカミングアウトします。
女子の制服で通います。
実は、学校側と交渉し、LGBT支援の一環として認めてもらったんです。
学校側では、トイレとか着替えとか、体育の問題について対策を練ってもらいました。
もう、万全です。
問題はずーと男の親友である佐久間武にいつカミングアウトするかでした。
女性ホルモンをはじめてしばらくたつと、何となく、私の体つきや顔つきの
変化に気づいたみたいで、なんかジロジロみられることが多くなったんです。
親友だし、早めにカミングアウトしようと
私は決心します。
武は体が女性化していることはわからなくても、以前より可愛いくなったと感じたようです。
それで、ちょっとエッチな目つきで私を見るのです。
女装したら似合うんじゃないか?とまで言い出しました。
同性愛者じゃないのに、面白い。
これがホルモンの力か!って思ったものです。
黙っているわけにはいかないと判断し、ついに、先日、言っちゃいました。
普段女装してるって。
女装姿も見せてです。
本格的に性転換するとか、夏休み明けから女子の制服で学校に行くとは言いません。
プライベートでは女装してすごしているとだけ言いました。
全部ばらしちゃうより、2段階に分けてばらす方が面白そうなんだもん。
でも、それだけでも、武のうろたえぶりはすごかったです。
私の女装姿に興奮してました。
面白い。
私は、別に武を恋愛対象と考えたことはありません。
というか男性を恋愛対象と考えたことはありません。
(お医者さんの前では、知らん顔して、性対象は男性ですって言いきっちゃいますけどね。
性転換を認めてもらうために。)
でも、私を可愛いと思っている武の心を刺激したくなっちゃいました。
そうです、武の純情なところをからかいたくなってきました。
だって、武はまったく女の子にもてないから、私が彼の理想の女の子っぽい雰囲気を醸しだせば、
誘惑できちゃいそうなんだもん。
ふふふ。
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武にカミングアウトした日は平日だったので、
後日、日曜日に武の家を完全女装して訪問します。
カミングアウトした日は武しか家にいなかったのですが、
日曜日はご両親と中学3年の妹の舞香ちゃんがいました。
思い切り可愛いブラウスに夏用のカーディガンを着て、ミニスカートを履いて、メイクをして、
皆さんに挨拶しました。
「ふだん女装しています。女の子のカッコが好きなんです。」って、家族全員に話しちゃいました。
反応は
「琴音くん?すごいっ!おばさん、この姿の方がいいと思う。
女の子のカッコの方がしっくりくる。
これからはずっとこのかっこで遊びにきてね。」
と母親の涼香さん。
「おおっ、可愛いじゃないか。
武には彼女がいなかったから、ちょうどいいな。
二人で仲良く出かけたらお似合いだぞ。」
と父親の勇也さん。
最後に「琴音くんじゃなくて、琴音さんですね。
すごく可愛い。これからは、女の子同士のお友達になってください。
一緒にお買いもの行きましょう。」と舞香ちゃん。
武は呆気にとられてました。
家族がけっこう好意的に反応したことに驚くしかなかったようです。
私は日頃の付き合いから、うまく行くって思ってましたけどね。
「これで、琴音の女装はうちでも公認になったな。
これからは女の子のカッコで来いよ。
そのほうが自然な気分なんだろ?」
武はホッとしたというような表情でしたが、目が泳いでました。
私のことを直視できないみたいです。
やっぱり面白い!
武の部屋に入って、二人きりになると、
「うわっ、寿命が縮んだよ。琴音はよくカミングアウトするな。
結果オーライだけど。」と武は脱力します。
緊張したみたいです。
そして、私に質問しました。
「その胸のふくらみって、ブラジャーつけてるのか?
何かパッドいれてるんだろうけど、何かリアルに感じるぞ。
それから、スカート短いよ。
パンツが見えそうで、気になっちゃう。」
「女の子だから、ブラは付けるよ。もちろん。
ミニスカは好きだから、いつも着てくると思う。
パンツが見えても私平気だよ。
武は親友だもん。」
「じゃ、スカートの中、覗いちゃうぞ、いいのか?」
「うん、いいよ。」
「うーん、やっぱダメだ。
そんなこと言うなよ。女の子はスカートの中は簡単に男に見せちゃだめだ。
あ、女装した男であってもだ。」
赤くなって、ちょっと不貞腐れる武。
もう、私のことを女の子と同じ存在と思っちゃってます。
これはからかいがいありそう。