奇跡
こちらも微妙にセリフや状況説明を追記したり、修正したりしました。「こうしたほうがいいよ」ってアドバイスあればよろしくお願いします!
王都キラコラン郊外、この田園地帯が最終的防衛ライン"ミー"。ここでスカラル軍に奇襲をかける。偵察部隊の報告によれば奴らの先発隊はここを通過する筈だ。
スカラル軍約2万に対し反乱軍約2千。これでも総力戦だから笑えない。しかしここで先発の3千を退く事ができれば本隊に混乱を与え多少の時間を稼ぐ事ができるはずだ。既に近隣住民は王都に非難させ、多数の罠を仕掛けてある。準備は万端の筈だ…
ロイ「おかしい…情報によればそろそろ先発隊にぶち当たってもいい頃の筈だ。嫌な予感がする…グロウ!」
グロウ「なんだ?」
ロイ「偵察からの連絡は?」
グロウ「いや無い。通信魔法具をこの距離で使うとバレるぞ?」
ロイ「それはわかっている。しかし予定の時刻はとっくに過ぎてるはずだろ?状況の報告はまだか?」
グロウ「確かに…早馬を送ってみるか?」
ロイ「…いや、今は此方の情報が漏れるリスクは少しでも無くしたい。ここは仲間を信じて待機するしか…」
突然仮設テントのドアが勢いよく開かれ、息も絶え絶えな男が一人入ってきた。偵察に出ていた部隊の部下の一人だ。
「隊長!大変です!敵に囲まれています!」
その時、空から炎魔法の火玉が降り注ぎ、辺り一面が燃え上がった。
ロイ「クソ!!作戦が漏れてる!!!」
グロウ「ロイ!どうする?撤退するか?」
ロイ「駄目だ!ここで俺達が撤退する訳にはいかない!皆!剣を取れ!!魔法を使える者は索敵を最優先させろ!敵の数は?!マーロン!!」
情報が漏れていた。いやそもそも偽の情報を掴まされていたとみた方が自然だ。
マーロン「報告です!敵の数は最低でも約5千!我々の陣形を囲うように責めてきます!先刻まで隠蔽魔法を部隊全体にかけていた様でこの規模を扱えるという事は魔法部隊がまだ隠れているかもしれません!」
グロウ「マジかよ…」
ロイ「…部隊を全員ここに集めろ!マーロン、お前は若手や女を集めて隠蔽魔法をかけて逃げろ。俺たちで退路を切り開く!」
マーロン「しかし!」
ロイ「反乱軍は…クローゼルはここまでだ…。だがクローゼルの血をお前たちが守り抜け!」
マーロン「嫌です!隊長!私も最後まで隊長と…」
ロイ「これは命令だ!!」
グロウ「言い合いしてる時間は無いみたいだせ…行けマーロン!」
敵兵がすぐ目の前まで迫ってきていた…もはや一刻の猶予も無い。俺はマーロンを無理やり下がらせグロウ達と敵小隊相手に切り込む。辺りの炎は勢いを増し、反乱軍の必死の抵抗虚しく仲間たちの慟哭の声が飛び交う。もはやここまで、マーロン達の退路も開けそうに無い。
一瞬の隙をつかれ、敵兵が俺達をすり抜けていった。
ロイ「しまった!マーロン!!逃げろ!!!」
「キャアァァァ!!!」
敵兵の凶刃がマーロン達を切り裂こうとしたその時。
体が凍り付くような感覚、指先一本動かない。俺だけじゃない。敵味方関係無く空間全てが、まるで時が止まったかの様に佇んでいる。
なんだ?何が起こっている?
やがて俺たちが持つ剣や杖、弓などの武器が動かない腕からゆっくりと離れ、宙を舞った。まるで意思を持っているかのようにフワフワと空中を漂い、そしてやがて一カ所に集まった。まるで球体を形成しているかのようだった。
これは夢か?一体何が起こっているんだ?
全く理解し難い光景の中、何とか動かせる目で周りを見渡す。するといつの間にか俺のすぐ近くに不思議な女が立っていた。銀髪の淡く輝く長い髪をなびかせ、この世の者とは思えない不思議な存在感を放ちながら。
そして彼女はふわりと浮き上がり、最初の言葉を発した。
『皆さーん!戦いをやめてくださぁーい!』
本日はこれで最後の更新。明日また頑張ります!それにしてもシリアスな感じっ表現超むずいです。