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異世界“日本”へ  作者: 恵夢マチカネ
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第3章 帝都陥落

 ついに始まる“ラスボス”女神皇帝との戦い!

 帝都、女神皇帝の住む帝国の中枢。

 どんな帝国の都市より、広く大きく絢爛豪華な大都市。

 絢爛豪華と言ってもウーカの邸宅とは違い悪趣味性は無く、むしろ感じさせるのは神秘性と荘厳性、白く美しく、そして寒々しさを見るものに与える。



 帝都を睨みつけるように陣を取った【ゲファレナー・エンゲル】と各方面から派遣されてきた部隊との連合軍。

 前線に配置されたザビーネは飴を舐めている。おやつではなく呪文を唱えやすくするためののど飴。

 目を閉じ瞑想中のクンツ、オイゲンは被った麦わら帽子の位置を調整している。

 指揮を執っているエーアスト博士がいるのは中央。

 相も変わらず、エーアスト博士の顔は好々爺、何を考えているのか解らない。

 武者震いしても怯えて震えている戦士など無し、緊張もしておらず、あるのは決戦への高揚感のみ。

 何故か戦力の要であるはずのエリカが配置されているのは最後方。



 守るように、事実、守るために帝都を背に立ち並ぶ帝国軍。前線には神化人を中心に配置、帝国兵たちは白い鎧を着用。

 これまでの敵とは違い誰1人として油断をしていない、【ゲファレナー・エンゲル】を手ごわい相手と認識。強敵と戦えることを楽しみにしている帝国兵も。

 後方にいるのは指揮を任されたタロン・メート。女神皇帝の側近にして、最も忠実な部下。

「最強の戦力を後方に配置するとは、切り札として温存するつもりですかな? エーアスト博士」

 涼しそうな顔のメート。周囲に探査魔法を掛け、伏兵がいないことは確認済み、おまけに認識疎外の魔法の掛けた伏兵がいないことも確認済み。


 両軍並び立つ戦場。転移してきた女神皇帝と世界の決戦が行われてより200年。

 今、再び世界の命運をかけた戦いが始まろうとしていた。



「逆賊を殲滅せよ、何人たりとも女神皇帝様に近づけさせてはならない」

 メートの指令が響き渡った。

 先に動いたのは帝国側、兵の数が勝っているのは帝国軍、それも圧倒的に。

 各方面から援軍が来ても、帝国軍に及ばなかった。

 両側から【ゲファレナー・エンゲル】と派遣部隊の連合軍を包み込むように帝国軍が動く。


「中央を貫け!」

 エーアスト博士の好々爺の顔が司令官の顔に変わる。

 【ゲファレナー・エンゲル】と派遣部隊の連合軍は矢のような陣形を取り、帝都を目指す。

「女神皇帝の首を取るのじゃ! 今日で帝国の歴史に終止符を打つ」

 この戦い、女神皇帝を倒せば【ゲファレナー・エンゲル】と世界が勝つ。


 戦場にて両軍が衝突。横一列に並んだ神化人たちが白い寒々とした光を放つ。

 のど飴で喉を潤したザビーネが防壁の魔法を展開、それも魔人戦士の黒く温かい光を混ぜ合わせた特別性。魔法の防壁は【ゲファレナー・エンゲル】と派遣部隊の連合軍全体を包み込む。

 黒く温かい光と混ぜ合わせた防壁が白い寒々とした光を弾いた。

 この防壁は一方的に敵の攻撃のみを防き、味方の攻撃は通す。反則的なほど便利な防壁魔法。

 オイゲンは天に向け、矢を撃つ。黒く温かい光により、矢は幾つもに分裂。

 黒く温かい光で作られた矢の威力は本物の矢以上。

 黒い光の矢は雨のように帝国軍に降り注ぐ。

 防壁で守られている間に、支援部隊が長槍で帝国兵を突く。この槍はただの槍ではない、魔人戦士の黒く温かい光で強化してもらっている。

 魔道士たちがエネルギーボルトを撃つ、詠唱の隙は弓兵たちが補ってくれる。この矢も魔人戦士によって強化してもらったもの。

 瞑想を終えたクンツの体の周囲に煙状の黒く温かい光が漂い、8体の人型を形成。

 やがて8体の人型はクンツの姿になる。

 クンツと8体の分身が同時に灼熱の魔法を放った。分身の放った魔法は本体よりも劣るものの、魔人戦士だけあり威力は十分。

 数の差などものともせず【ゲファレナー・エンゲル】と派遣部隊の連合軍は一方的に攻めていた。

 全ての攻撃を防がれ、どんどん押されていく帝国軍。

 この状況が続けば、さほどの時間を掛けず【ゲファレナー・エンゲル】と派遣部隊の連合軍が帝都に到達できる。


「怯む必要はありませんよ、そのまま攻撃を続けていればいい。絶え間なく休むことなく」

 帝国軍後方にいるメート。一方的に押されているのに、焦りの色は無く、むしろ余裕さえ浮かべていた。


 帝国軍の攻撃を防いでいたザビーネの反則的なほど便利な防壁魔法に綻びが生まれ始め、少しづつ攻撃が通るようになっていく。

「くっ」

 なんとか魔力を注ぎこみ、防壁魔法を維持していたザビーネ、ついに限界が来てしまう。

 反則的なほど便利な防壁魔法の崩壊。

 ザビーネの魔力を、たっぷり注ぎこんで作った反則的なほど便利な防壁魔法、それ故に強力、それ故に魔力の消費が大きく、それ故に同じものを作るには魔力が足りず、回復にも時間がかかってしまう。

 反則的なほど便利な防壁魔法は、一日に一回しか使えない。

「今です、一気に押し返せ!」

 メートの号令。これを狙っていた、時間経過で反則的なほど便利な防壁魔法が切れるのを。


 ここぞとばかり、巻き返しを図る帝国軍、メートも出撃。

 形勢逆転、今度は【ゲファレナー・エンゲル】と派遣部隊の連合軍が押され、後退を余儀なくされる。

 反則的なほど便利な防壁魔法が消えた今、普通の人間が神化人を相手にするのは自殺行為、魔人戦士たちが前に出て抑え込む。

 同じく女神皇帝の細胞を素にしているとはいえ、数と力にばらつきがある魔人戦士たちは神化人の攻撃の前に、みるみる追い込まれていく。

 黒く温かい光を掛けてもらって強固になった盾を持つ【ゲファレナー・エンゲル】の戦士たちが魔人戦士の前に飛び出し、帝国軍を押し留める。

 戦士の持つ盾に掛けたあるのはザビーネの防壁魔法と同系統魔法。個人専用とはいえ、防御力は高く、一時的に帝国軍の侵攻を止めた。

 とは言え一時的は一時的、一時しのぎにしかならず。

 この状況になっても、最後方にいるエリカは動かず。


 1人、また1人と魔人戦士や戦士が倒れていく。後退を余儀なくされ、じりじりと追い詰められる【ゲファレナー・エンゲル】と派遣部隊の連合軍。

 帝国軍が【ゲファレナー・エンゲル】の頭であるエーアスト博士の寸前まで迫る。

「ヨハン・エーアスト。その首、貰います」

 自分自身で首を取るべく、愛用のシミターを抜くメート。

「取れるものなら、取ってみるとよい」

「?」

 エーアスト博士の見せた微笑み、負け惜しみややけくそとは違う笑顔にメートが違和感を感じた途端、背後で爆発音が轟く。

 何事かと振り向いたメートは見た、あっちこっちで爆発が起こり、神化人と帝国兵が吹っ飛ばされる姿を。

 爆弾がばら撒かれている。一体、どこからばら撒かれているのかメートは周囲を探る。

 一斉に戦士たちは盾を上に向け、掛けていた防壁魔法を解放、傘の様に辺りを包み込む。

「上か!」

 メートは空を仰ぐ。

 爆弾をばら撒いているのは空。

 認識疎外の魔法が解け、上空にはグリフォンの群れが現れる。その背中には軽装の鎧を着た騎士が乗り、次から次へと爆弾を下へ落とす。

 空を飛ぶグリフォンならば短時間で長距離を移動でき、認識疎外の魔法を掛けることで攻撃するまで気づかれない。

 歯ぎしりするメート、自分の失態を呪った。もっと探査魔法を広範囲に掛けなかったのか、どうして空に対する警戒を怠ったのか。

 グリフォン戦団、これがヒルシュの言っていた“奥の手”。得意は長距離移動と空からの奇襲攻撃。

 グリフォンは勇猛果敢で知性も高く、調教して使役することは出来ない反面、信頼を得れば頼りになるパートナとなる。

 強力なグリフォン戦団だけども、グリフォンとの絆を結ぶことを必要とするため、多く確保できず、帝国を打倒するには戦力が足りなかった。

 だが【ゲファレナー・エンゲル】と各方面の援軍で、その問題も解決。

 メートは更なる失態を知る。

 爆弾の攻撃が止むころ、後方に待機していたエリカの姿が薄れて歪んで消えた。クンツの分身魔法の応用で作られた幻影、偽物、帝国軍の目を引き付けるための囮。

「そりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」

 グリフォンの背中に乗っていた本物のエリカが飛び降りて来て背負っていたグレートソードを引き抜き、バッタバッタと神化人と帝国兵を薙ぎ払う。


 それぞれ二体のグリフォンに吊るされたバスケットが帝国軍の左右と後ろへ置かれる。

 バスケット中に乗っていた【ゲファレナー・エンゲル】の魔人戦士と戦士、派遣部隊が飛び出し参戦。

 派遣援部隊の手には小型の魔法砲台“ライフル”が握られている。魔法砲台と同じく、魔法弾を撃ち出す。

 小型な分、威力は落ちるものの、大量生産が可能で連発も可能。

 バスケットを下ろし終えたグリフォンも嘴と鉤爪を使い、空中から帝国軍攻撃してくれる。

 後退していた派遣部隊の近くに、グリフォンが下ろした長篭の中には“ライフル”がぎっしり。

 “ライフル”を手に取り前進、帝国軍の前方を攻める。

 【ゲファレナー・エンゲル】も攻撃を再開。

 四方からの攻撃、帝国軍は【ゲファレナー・エンゲル】と派遣部隊の連合軍を包囲するように攻撃していたため、内部からも攻撃されてしまう。


 フルボッコ状態の帝国軍。一旦、勝利を確信してのこの状態、精神的にもフルボッコ。

 頃合いを見計らって揚げられた白地に黒い髑髏が逆さを向いた旗。

 降伏の意味の白旗と死の象徴の髑髏が逆さを向いている図柄、これは降伏すれば命は助けるという意味。髑髏が黒いのは、白地に目立たせるため。

 旗を見た帝国兵の1人が武器を投げ捨て降伏の意を示したのを皮切りに、帝国兵たちは武装解除して降伏、投降していった。

 残ったのは女神皇帝に絶対の忠誠心を持っている神化人だけ。

 しかしすでに死に体であり、神化人に出来るのは1人でも多くの【ゲファレナー・エンゲル】と派遣部隊の連合軍を道連れにして果てること。



 帝国が誕生して200年、初めて帝都が攻め込まれた。

 帝都の臣民たちは家と戸と窓を固く閉じ、引き籠ってブルブル震えている。

 中には女神皇帝に祈りを捧げるものまで。

 帝都の上空を飛んでいくグリフォン戦団、向かう先にあるのは女神皇帝の住む、どうどうとした白亜の城。末広がりの独特の形、屋根の上の左右に置かれているのは、この世界のどこにも見かけたことの無い魚のような生物の彫刻。

 女神皇帝以外の転移者や転生者がこの場にいたのなら、白亜の城が日本のお城をモチーフにしたもので、屋根の両端に置かれているのが鯱だと解っただろう。

 白亜の城へ、これでもか言うばかりグリフォン戦団は爆弾を投下する。

 爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発、大爆発。

 ちゃんと風の向きを計算、臣民を巻き込まないようにして爆弾を落としていく。

 いくら憎々しい帝都の住人とは言え、それだけで巻き込むのは帝国と変わらない。

 白亜の城だけを狙ったピンポイント爆撃。



 爆撃が止む、粉々に破壊された白亜の城、爆発の起こした煙や飛ばされた塵が覆う。

 これで倒せるとは誰も思ってはいない、そんな甘い相手ではないのだ女神皇帝は。

 煙と塵と土の隙間に姿が見えた。派手でもなく、それでいて質素でない玉座に座っている女神皇帝。その周囲だけ、瓦礫が避けたかのように落ちてはいない、一片たりとも。

 黒鉄の兜と黒鉄の片当てに漆黒のマントで身を包み、笑ったような、それでいてどこか悲しそうな顔の青白い仮面を被っている。

 あんまりダメージが入っていない様子、思った通りとはいえ、ショックはショック。

 ゆっくり女神皇帝が立ち上がる。

 女神皇帝がオーラを放つと、今まで一度も見せたことの無い怯えをグリフォンが見せた。

 勇猛果敢なグリフォンを怯えさせるほどのオーラ、世界を相手にして圧勝するのも道理。

 人の身でも鳥肌か立つほどの女神皇帝のオーラ、恐ろしすぎる相手。

「私たちの役目はここまで、後は【ゲファレナー・エンゲル】に任せます、撤退開始」

 悔しくとも撤退の指示を出すヒルシュ。グリフォン戦団の最大の特徴のグリフォンが怯えてしまった。これ以上、戦うのは無茶すぎる、そこまで無理はさせられないパートナには。

 今から始まる戦闘に自分たちの出る幕無し、最悪、足手まといになりかねない。

 撤退していくグリフォン戦団、女神皇帝は攻撃をするどころか見向きもせず、真っすぐ街の方角を見ていた。



 女神皇帝の見つめる先、帝都の大通りを【ゲファレナー・エンゲル】が進撃してくる。

 前衛に魔人戦士、後衛は戦士、手には派遣部隊から託された“ライフル”。

 危険なので魔人戦士以外は来ないようにと警告したが、本人たちのたっての希望で同行した。

 同じ【ゲファレナー・エンゲル】戦士、最後まで一緒に戦う。

 いくらなんでも派遣部隊は、立ち入りが出来ない戦いになるので帝都の外で待機。【ゲファレナー・エンゲル】もザビーネの様に魔力を使い果たしたり、負傷者たちが一緒に休息中。

 女神皇帝の前で止まる【ゲファレナー・エンゲル】。

 見つめ合い、睨み合う【ゲファレナー・エンゲル】と女神皇帝。両者の間に決戦への闘志が渦巻く。

 のっそり先頭にエーアスト博士が出てくる。

「久しぶりじゃのう、女神皇帝よ。と言っても、あまり顔を合わせたことは無かったがのう」

 まずは笑顔で挨拶。

 女神皇帝は無言、仮面を被っているので本当の表情は不明。

 笑顔のまま、後方へ下がるエーアスト博士。それを合図に魔人戦士人たちが黒く温かい光を一気に放つ。

 白く寒々しい光の盾を張り、全てを受け止める。

 受け止めても威力までは抑えきれず、ずるずると後ろへと押された。 そこを目掛け、戦士たちが“ライフル”を一斉射撃。

 疾風のごとく動き、全ての魔法弾を躱す。

 立てた人差し指の先に小さな白い光が灯る。

 純白で見るものに神々しさを与えながらも、凍えるような冷たさを与える光。光は強く、大きく、眩しくなる。200年前、この世界の最強戦力を、一瞬で消し去った純白の光。

 純白の光が【ゲファレナー・エンゲル】を包み込む。



 純白の光が消えた……【ゲファレナー・エンゲル】は消えてはおらず、誰一人として。

 前衛にいた魔人戦士の魔法使いが、反則的なほど便利な防壁魔法を張って攻撃を防ぎ切っていた。

 ザビーネは魔力を使い切ったが、何も反則的なほど便利な防壁魔法を使えるのは彼女1人だけではない。むしろ便利な魔法だからこそ、使い手を複数用意しているのは当然。

 女神皇帝との決戦のため、温存しておいたのだ。

「てあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」

 気合一閃、グレートソードを振り下ろし斬りかかったエリカ。

 女神皇帝の回避、グレートソードは僅かに届かず。

 ここで攻撃の手を緩めないのがエリカ、パワーを乗せた蹴りを打ち込む。

 蹴っ飛ばされた女神皇帝、真後ろにあった玉座と衝突、粉々に砕く。

 普通の人、少しばかり頑丈な人ならば全身の骨が木っ端微塵になってしまう威力の蹴り、しかし普通の人でも少しばかり頑丈な人とも違う相手。

 起き上がった女神皇帝、肩当てごと漆黒のマントを脱ぎ捨て、黒鉄の兜を外した、解放された銀色の長髪。

 漆黒のマントの下は乳白色のチョハ。

 投げ捨てられた黒鉄の兜が、からんからんと音を立てながら転がって行く。


 助走を付け、女神皇帝は拳を右上から左下に振り下ろす。そこから衝撃波が生じ、一直線に【ゲファレナー・エンゲル】襲う。

 張られた反則的なほど便利な防壁魔法が衝撃波を防ぎ、今度はこっちの番だよと、“ライフル”を撃ちまくる。

 発射された魔法弾に魔人戦士が黒く温かい光を纏わりつかせ、格段に攻撃力を増強。

 前方の空間を歪め、魔法弾の弾道を捻じ曲げ反らさせる。

 女神皇帝に向かうオイゲン、幾つも分裂させた黒く温かい光の矢を撃つ。

 軽く避ける女神皇帝。ところが黒く温かい光の矢は躱しても躱しても、どこまでも追いかけてくる。

 躱すのは無理と判断した女神皇帝は立ち止まり、振り返りざまに両手から白く寒々しい光の矢を幾つも放ち、全ての黒く温かい光の矢を叩き落とす。

 続けざま白く寒々しい光を、オイゲンと【ゲファレナー・エンゲル】に向けて放った。

 またも白く寒々しい光を、ことごとく防いでくれた反則的なほど便利な防壁魔法。

 1人の魔力が尽きれば、次の魔法使いが受け持つ。こうして反則的なほど便利な防壁魔法を絶やさないで維持しておく。

 反則的なほど便利な防壁魔法を使える魔人戦士の魔法使いは、まだまだ残っている。

 そこへクンツが8体の――否、倍の16体の分身を生み出し、女神皇帝を取り囲んだ。

 灼熱、極寒、雷、加重力、同時に4種類の、黒く温かい光を重ね合わせた強化魔法、クンツの全ての魔力を込めていっぺんに打ち込む。

 取り囲んでからの魔法攻撃逃げ場なし、全ての魔法が命中。

 命中直後、エリカはグレートソードを投げつけた。

 それを女神皇帝は素手で払い飛ばす。

 がら空きなった女神皇帝のボディ目掛けけ、

「これで終わりだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ、女神皇帝!」

 両手の拳を突き出し、全力を込めた温かな神々しい漆黒の光、ウーカに放ったよりも、はるかに破壊力を高めた光を放つ。

 回避行動が間に合わず、右腹の肉を削がれ、抉られ、大穴を穿ちながら貫かれ、思いっきり吹っ飛ばされる女神皇帝。衝撃でチョハの上右半分が引き裂かれ、放漫な乳房を露出、床に叩きつけられた。

 倒れた女神皇帝、指先1つ動かなくなり、血が床を染める。

 200年に渡って世界を支配してきた女神皇帝が倒れた……。これはエリカ1人の力だけではない、【ゲファレナー・エンゲル】戦士たち全員が力を合わせ、各方面からの協力と支援があったからこそ、成し遂げられたこと。




 【ゲファレナー・エンゲル】と女神皇帝との決戦の結末……。

 実は帝都戦の前に、もう一つ帝国都市との戦いを入れようと思いましたしたが、このまま帝都攻めにした方がいいと思ったので帝都決戦の話にしました。

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